“新しいNISAは親子で学ぶチャンス!! 前編”

この記事は、こんなアナタにオススメです!

・小中学校のお子さんをお持ちの保護者の方

・新 NISA 制度について知りたい方

登場人物:金融教育実務家:キャサリンとナンシー(株式会社マネイク)
「お⾦のことをかんたんに!おもしろく。そして投資をもっと⾝近に」を理念に2⼈のファイナンシャル・プランナーが⾦融教育実務家としてお⾦の授業を展開。2⼈ともに元証券会社出⾝、⼦育て中のリアルな⺟親であることを活かし、お⾦の話を分かりやすく提供。ファイナンシャル・プランナーは〝お⾦のお医者さん〟と⾔われるため、キャサリンはブルー、ナンシーはピンクの⽩⾐を着ている。加えて、キャサリンはお気に⼊りのカチューシャとヒゲ眼鏡を付けていることが特徴。

NISA という言葉をよく目にするようになりました。

金融機関やメディアでもこの言葉を見つけることができると思います。実際、私たちも「NISA 始めました」という方々 とお会いすることが増えています。

一方で、やってみたいと思いつつ、まだ一歩が踏み出せていない方も多い印象です。

この記事の前編では新しい NISA の概要について、後編では新しい NISA をきっかけにして、ご家庭でできるマネー教 育についてお話しています。さあ、一緒に学んで一歩踏み出しましょう!!

まずは大前提から!!
NISAって、一体何なの?
資産形成に有利な税制の制度のことです!

NISAとは、2014年1月にスタートした私たち個人投資家のための税制優遇制度です。正式には「少額投資非課税制度」という名前で、イギリスで1999年に個人の貯蓄や投資を促進する目的で導入された個人貯蓄口座 ISA(Individual Saving Account)という制度の日本版ということでNISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)と名付けられました。

本来、投資で利益を得ると、そこから約20%課税されますが、NISA 口座を利用した場合は非課税になるという制度です。

同じ投資をするなら非課税枠を

ポイントは商品ではなくて、「制度」であることです。NISAは「買う」ものではなくて、「利用するもの」です。

たとえば投資で10万円の利益が出たとします。そこで、通常の課税口座なら2万円の税金を納め、手元に残るのは8万円になりますが、NISA口座を使えば税金がかからず、10万円がそのまま手元に残るという、まさにお得な制度なのです!

投資において、利益や損失については自力でコントロールできませんが、コストについてはコントロール可能です。手数料や課税に関わるコストは、投資家自身が調整できるものです。投資を成功させるためには、コストを管理することが非常に重要です。同じ投資をする場合、非課税口座を活用することで利益を上げやすくなりますね。

利益10万円が出た場合 非課税の場合税金無し!10万円がそのままもらえる

そのNISAが新しくなるって?どういう内容??
かなりのパワーアップ!利用しやすくなりました!!

パワーアップ

日本では2014年に一般NISA、2016年にジュニアNISA、2018年につみたてNISAという制度ができ、それぞれ対象者や条件が異なっていました。そして2024年、「家計の安定的な資産形成」をさらに推し進めていくことを目的に新しい NISAが導入されました。

私たちが資産形成に前向きになれるように、大幅に内容が拡充され、使いやすくなっています。

一気にパワーアップする感じです。ざっくりパワーアップの内容を3つに分けてみました。具体的に見ていきましょう。

知っておこう!新しいNISAパワーアップの3つの内容

①期間限定じゃなくなった!

NISA制度が恒久化

 旧NISA制度は期間限定の制度でしたが、ずっと使えるようになりました。「早く始めないと終わっちゃう!利用できる期間が短くなってしまう!!」ものではなくなったのです。

非課税保有期間の無期限化

 今までは金融商品を購入した後、5年や20年など期間限定で非課税となり、その期限を過ぎると課税される仕組みでした。そのため、期限がやってくる前に慌てて売ったり、手続きしたりといったことがありましたが、これが無期限化されたことで、自分のタイミングで売買できるようになりました。

②いろいろ拡大した!

つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能

 今までは、一般NISAとつみたてNISAの2つのうち、一人どちらか1つしか利用できませんでしたが、新しいNISAではこれが一体化。つみたてNISAは「つみたて投資枠」、一般NISAは「成長投資枠」とそれぞれ名称が変わり、併用が可能になりました。どちらか1つを選択する必要がなくなったのです。

つみたて投資枠と成長投資枠の違い

年間投資枠の拡大

 併用できることに加えて、年間で投資できる金額も拡大されました。つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能になりました。

 非課税で保有できる投資買付限度額は全体で1,800万円となっています(成長投資枠は1,200万円が限度)。年間投資枠の360万円を全部使って投資したら5年で使い切りますが、新しいNISAは前述の通り恒久化されていますので、少しずつ投資して、ゆっくり1,800万円の枠を使うことも可能です。

③再利用できるようになった!

枠の再利用が可能

 今までのNISAの非課税枠は使い切りで、商品を売却しても、一度利用した非課税枠は復活しませんでした。新しいNISAでは、保有商品を売却すると、非課税保有限度額が翌年以降復活して再利用が可能となりました。また再利用できるのですから、安心して投資に向き合えます。

詳しくは…こちらも参照ください

新NISAについておしえて!|マネックス証券(monex.co.jp)

新しいNISAは始めたほうが良いのよね?
「始めなければならない」でなく、
資産形成を考える中で自然に選択肢として挙がってきてほしい

この記事を読んでくださっているあなたは、単純にお金を増やしてみたいと思っていますか?コツコツ貯蓄を続ける方が安心して将来暮らせるという価値観ならば無理して始める必要はないと思います。投資には絶対はなく、ある程度のリスクが伴いますから、それがストレスならばやめておきましょう。

私たちは、リスクを取りつつ、お金が増える可能性があるなら投資をしてお金を増やしたいと思っていますし、また投資のしくみ自体が世の中の見方を変える素晴らしいしくみだと思っているのでNISAを利用しています。

ひとつ知っておいた方がいい考え方をご紹介します。購買力という言葉があります。お金を使って様々なモノやサービスを買うことができる力のことです。最近は物の値段が上がってきていることはみなさんも感じておられることでしょう。同じ金額のお金を持っていても、買える量が減る。これを購買力の低下といいます。購買力は物価と密接に関わっています。一般的に株式などの金融商品はインフレに対応した資産だと言われます。物価が上がると株価(株式の価格)も上がる傾向にあるので、すべてを現金で持つのではなく、一部をそういった金融商品で持つことは、実は資産を守ることに繋がります。

現在の経済環境やご自身の環境、価値観から考えた先に、自然にNISAを利用する選択肢が出てくると良いですね。

購買力の低下

NISAにデメリットはあるの?
いくつか注意点を確認しておきましょう

利益が出なかった場合1人1口座しか持てない

新しいNISA、とても利用しやすくなったお得な制度ではありますがいくつか注意点はあります。

NISAは投資に関わる利益が非課税になる制度です。結果的に損をし売却した場合はメリットはありません。

投資をするということは損も利益も許容するということです。必ず儲かるものではないことは注意が必要です。

また、NISA口座は1人1口座しか持てません。

限度額が決まっている非課税制度ですから、複数の金融機関で利用することはできません。ご自身でどの金融機関で税制優遇を受けるのか選択する必要があります。少々面倒な手続きを伴いますが1年毎に利用する金融機関の変更は可能です。

また、デメリットではないですが、短期間で売買を繰り返したい方にはあまり向いていません。

そもそも安定的な資産形成の制度です。売買を繰り返したい方には、非課税の枠を利用して投資できなくはないですが、あまり向いていないかもしれません。

資産形成の制度でiDeCoもよく聞くけど違いは?
NISAは投資の制度、iDeCoは年金の制度

NISAは資産形成の制度、iDeCoは年金の制度

NISAとの比較対象にiDeCoの名前も良く上がりますね。どちらも資産形成の制度です。

ザックリ違いを言うならばNISAは家庭の安定的な資産形成の制度、iDeCoは老後のために用意された制度で自分で作る年金。年金なので60歳まで引き出せません。その代わり、NISAに比べてさらに有利な税制優遇を兼ね備えています。

どちらを選択するのが良いかはその人の環境・条件・考え方などで変わります。ご自身で勉強されるかファイナンシャル・プランナーなどにご相談されるのも良いでしょう。

そして、いざ始めるにはどうすればいいの?
まずは新しいNISA口座を作成する金融機関を選択

1.金融機関選択 2.口座開設 3.入金・買い付け設定

NISAを始めるためのステップをお伝えします。まずはNISAを利用する金融機関を選択します。既にお付き合いのある金融機関でも良いですし、証券会社に口座をお持ちでない方はこの機会に1社開設されるのも良いでしょう。様々な金融機関でNISAは利用できますが、ネット環境が整っているなら、おすすめはネット証券会社です。

最初は慣れない手続に時間がかかるかもしれません。ですが、携帯を初めて持った時だって手続きに時間がかかった事でしょう。それと同じです。一度開設してしまえばあとは大して面倒なことはありませんので頑張って。

1つ知っておいて欲しいことはNISA口座を作る時に一緒に課税口座も作成しなければならないこと。非課税口座だけではなく課税口座も作成しておく必要があります。

このサイトも参考にしてみてください

NISAを始める:金融庁(fsa.go.jp)

Letʻsマネ育®!コラム
安定的な資産形成に必要な知識 投資における一番の味方は時間!⻑期・積立・分散を叶えることが大切

それはつまり投資信託を時間をかけて積立購入し続けること。

投資とは、今すぐ使わない資金を使って企業を支援し、成⻑するのを期待することが本来の目的です。子どもの成⻑と同 じように、企業も⻑い時間をかけて成⻑します。投資の一番の味方となるのは、特別な知識でも優れた判断力でもなく、時 間であることは覚えておくと良いでしょう。また、子育てでは子どもの好きなこと・得意なことに一点集中で将来に投資す ることもアリですが、資産形成においては一点集中はリスクが高め。投資する地域、通貨、タイミングなどを分散させるこ とで、安定的な資産成⻑を期待することができます。 こういったことを叶えることができるのが投資信託という商品を積立購入することです。投資信託とは金融商品を詰め合 わせたパッケージ商品。自然に分散投資が叶います。また少ない金額から積立購入することができ、時間をかけてコツコツ 資産を形成できます。売却を考えずに⻑期的に投資を続けることができれば、資産が増える可能性が高まります。

資産運用シミュレーション:金融庁(fsa.go.jp)を使ってシュミレーション

毎月1万円を20年積立して、想定利回りを3%にした場合 期待できる利益は88.3万円!!

条件:毎月1万円を20年積立して、想定利回りを3%にした場合

投資したお金:1万円×12か月×20年=240万円

期待できる利益:88.3万円 (約20%課税される場合、利益は70.64万円)

※あくまでシュミレーションです。手数料、税金等は考慮しておらず、実際値とは異なる場合があります。本シミュレーションのいかなる内容も、将来の運用成果を予測し、保証するものではありません。

NISA口座なら17.66万円の税金が非課税!!

新しいNISAについて理解が深まったでしょうか。

後半では新しいNISAをきっかけに出来るマネー教育について考えます。

使用しているスライド画像のコピー、複製、または改変は固く禁止いたします。スライドの内容や素材の無断転載、再配布を禁止します。