自己肯定感とは?低い人の特徴や高める方法・トレーニング例をわかりやすく解説!

子どもの自己肯定感を高める方法をご存じでしょうか。本記事では、自己肯定感が低い人の特徴や仕事・家庭への影響、自己肯定感を高める方法やトレーニングを紹介しています。子どもの自己肯定感を高めたい方は、ぜひチェックしてみてください。

「よく耳にする自己肯定感とはどんなもの?」
「うちの子どもは自己肯定感が低いような気がする」
「子どもの自己肯定感を高めたい場合、何をすればいい?」
最近、よく耳にする子どもの自己肯定感に関して、このような疑問や不安がある保護者もいるのではないでしょうか。

本記事では、自己肯定感の概要や自己肯定感が高い人と低い人の特徴、低くなってしまう原因に加え、高める方法・トレーニングや親の接し方を紹介しています。

この記事を読むことで、自己肯定感が低くなる原因や子どもが自分を肯定的に捉えられるようになるヒントをつかめます。その知識をもとにトレーニングを重ねることで、子どもが自信を持って過ごせるようになるでしょう。

子どもに少しでも自己肯定感を高めてほしいと考えている保護者は、ぜひこの記事をチェックしてください。

目次

自己肯定感とは

自己肯定感とは、「ありのままの自分を受け入れる感覚」「今の自分を認める感覚」のことを指します。能力や自分が置かれた環境に左右されることなく、自分を肯定することで生まれる感情です。

自己肯定感が高いと何事もポジティブに捉えることができ、人生の満足度が上がるでしょう。逆に自己肯定感が低いと、他者と自分を比較しコンプレックスを感じたり、自分のことを嫌いになったりとネガティブな思考を抱いてしまいます。

自己肯定感は、人生の幸福度にも影響するでしょう。

「自己肯定感」と「自己効力感」の違い

自己肯定感と似た言葉に自己効力感があります。

自己効力感とは、自分には目標達成や問題解決のための能力が備わっているということを認識している状態のことです。自己効力感が高い人は、目標達成や問題解決が求められる状況になっても、チャレンジできるといわれています。

自己肯定感は自分自身の存在が評価の対象であるのに対し、自己効力感は自分が持つ能力であるかという違いがあります。

「絶対的自己肯定感」と「社会的自己肯定感」の違いとは

自己肯定感には、「絶対的自己肯定感」と「社会的自己肯定感」の2つがあります。

絶対的自己肯定感とは、自分の欠点も含めて自分の存在自体を肯定する感覚のことです。

一方、社会的自己肯定感とは、努力することで得られた成功体験や達成感、他者からの評価といった外的要因によって形成されるものです。

自己肯定感を高く持ち続けるためには、絶対的自己肯定感と社会的自己肯定感のバランスが大事でしょう。

絶対的自己肯定感が低いと、外的要因に頼って自己を肯定しようとします。他者からの評価や満足のいく成果が得られなければ、自信を失ってしまうため危険です。

しっかりと絶対的自己肯定感を培っていれば、たとえ成果や評価を得ることができなくても自己を保つことができ、困難に打ち勝てるでしょう。

何があっても乗り越えられるように、絶対的自己肯定感でしっかりとした土台づくりをすることが大切です。

自己肯定感が高い人の特徴

自己肯定感の重要性はわかっていても、どのような特徴があればよい状態であるといえるのか完全に理解している方は少ないでしょう。

ここでは、自己肯定感が高い人の特徴を紹介していきます。自己肯定感が高い人の特徴には、自信があり主体的に行動できることや自分の感情をコントロールできるなどがあります。

自己肯定感を子どもが持てているか確認してみましょう。

自信があり主体的に行動することができる

自己肯定感が高い人は、他者の意見に左右されることなく、人の目を気にすることなく、主体的に行動できる傾向があります。

「〇〇さんがいったから、行動する」ではなく、「自分は〇〇したいから」とはっきりした意見を持ち、積極的な行動が取れるでしょう。

これは、自分の長所に焦点を当てられ、欠点があることを卑屈に思わないためできる行動です。

前向きで常にものごとを肯定的に捉える

常にものごとを前向きに、肯定的に捉えられることも自己肯定感が高い人の特徴です。

このように捉えられる人は自身の欠点を卑屈に感じることはありません。ありのままの自分を肯定的に捉え、自信を持って意思決定し行動できます。

このような思考を持つ方は、他者に対しても前向きな姿勢で接することができるでしょう。相手の粗を探すのではなく長所を見つけ肯定的に捉え、相手の意見を尊重しようとします。

他者と良好な人間関係を構築できる

自己肯定感が高い人は、ありのままの自分を尊重する気持ちを他者にも向けることができます。傲慢な態度、自分勝手な行動を取ることがなく、人に対し優しく接することができるため、良好な人間関係が構築できるでしょう。

逆にありのままの自分を受け入れるが、相手の欠点は認めないという状態は自己肯定感が低く、自分勝手な人の特徴として挙げられます。

自分の感情を受け入れて自らをコントロールできる

自己肯定感が高い人は、ネガティブな感情もポジティブな感情も受け入れて自らをコントロールできるという特徴があるでしょう。

褒められると「そんなことないですよ」などと謙遜してしまう人もいますが、自己肯定感が高い人は褒められたことを素直に喜び、受け入れる傾向があります。また仕事でミスをしたときは自分の悪い部分を認め、冷静な対処ができるでしょう。

失敗を恐れず人のせいにもしない

自己肯定感が高い人は、何事も失敗を恐れずに挑戦できますし、たとえ失敗したとしても人のせいにすることはありません。

ものごとを楽観的に捉えることができますし、実行する前に自分が成功した姿を想像できるため失敗を恐れずに挑戦できます。

また、自分に自信があるため失敗したとしてもそれは自分の実力であり、また挑戦すればいいやと考えるため、人のせいにすることもないでしょう。

自己肯定感が低い人の特徴

自己肯定感が低いといわれても具体的にどのような状態がそれにあたるのかわからないという人もいるでしょう。

自己肯定感が低い特徴には他人と自分を比較してしまったり、承認欲求が強かったりすることなどがあります。

ここからは、自己肯定感が低い人の特徴を紹介していきます。お子さんの言葉や行動と照らし合わせながら読み進めてください。

他人と自分を比べる癖がある

他人と自分を比べて、自分に有意な部分はないか評価しようとする癖があります。

他人と自分を比べることで、モチベーションのアップや自己成長につながる場合もありますが、過剰な比較は劣等感や嫉妬を生じさせるでしょう。

比較を繰り返し、自分が劣っているという感情が多くなれば自己嫌悪に陥り、自己肯定感を高めることが難しくなってしまいます。

ものごとを否定的に受け取る

肯定的な感情を抱くことが難しいことから、ものごとを否定的に受け取ってしまいます。

他者からみると十分に成果を上げている状態でも「満足のいく結果が得られなかった」と思ったり、トラブルの原因は自分にあると思い込んだりします。

まだ起きていない出来事に対しても恐怖を募らせるようになり、挑戦すること自体を躊躇してしまうようになるでしょう。

承認欲求が強く他人に依存しやすい

自分で自分を肯定してあげることができないため、承認欲求が強く他人に依存しやすい傾向があるでしょう。

他人の目が常に気になり、行動原理に主体性がなく「他者から評価を得られるか」という点を重要視します。

他人任せにすることで、ミスや失敗が起きたら、他人のせいにするような人間になってしまうでしょう。

劣等感が強い

他人と比べ自分の劣っている部分ばかりに目を向けてしまう、劣等感が強い人は自己肯定感が低い人といえるでしょう。

他者から見て、十分な成果を上げていた場合でも「〇〇さんの方がトータルでは業績がよい」などと劣っている部分を探してしまいます。

自信がなく精神的に不安定

自己肯定感が低い人は自分に自信を持てず、精神的に不安定になりやすいです。

ありのままの自分をさらけ出すことができないために、いつも神経をとがらせながら過ごしています。周りの目を気にして優れた自分を演じようと頑張る人も少なくありません。

常にギリギリの状態にいるため、少しの失敗で落ち込み、自己嫌悪に陥ります。

自己肯定感が低くなる原因

ここからは、自己肯定感が低くなる原因を紹介していきます。

子どもの自己肯定感を高めるには、「なぜ自己肯定感が低くなってしまうのか」という原因を知ることが大切です。自己肯定感が低くなる原因を知っておけば、行動に注意し、子どもが自信を持てるように過ごせるでしょう。

過去にトラウマやコンプレックスがある

過去のトラウマやコンプレックスは自己肯定感の高低に影響します。

親から兄弟と比べられ育った経験など自尊心が傷つけられた経験がある人は、「自分はダメな人間だ」などと自信を失くし、自己肯定感が育ちにくいでしょう。

また、いじめを受けてコンプレックスを感じてしまうと、自分が価値のない人間のように感じられ、自己肯定感が低くなってしまいます。

幼少期に親に甘えることができなかった

幼少期の家庭環境は、自己肯定感の形成に大きな影響を与えます。

下の子が生まれると忙しくなり、「お姉ちゃん(お兄ちゃん)だからしっかりして」などと上の子にいってしまう親もいるでしょう。

このようなことをいわれて育った子どもは、甘えたい気持ちを抑えて親の役に立とう、期待に応えようと振る舞います。そして、親の期待に応えられない場合、無価値だという気持ちが生まれ、自己肯定感が低くなってしまうのです。

幼少期に十分に親に甘えることができる環境を作ることは、自己肯定感を培うために重要なことです。

失敗や挫折を経験している

失敗や挫折を経験することも自己肯定感が低くなってしまう原因です。

失敗や挫折を繰り返してしまうと、「私には何もできない」「何をやってもダメだ」という自分を否定する思考が完成します。

失敗や挫折への恐怖から、ものごとにチャレンジする姿勢が失われ、自己肯定感を高める機会を得られず、自分を否定し続けることになるでしょう。

自己肯定感の低さがおよぼす日常への影響

自己肯定感が低いと生きづらさを感じ、日常生活に大きなデメリットをもたらします。

具体的には学校、仕事や家庭に影響をおよぼす可能性があります。

ここからは、自己肯定感が低いことで発生する仕事および家庭への具体的な影響について見ていきます。

仕事への影響

自己肯定感が低い人は、少しの失敗でも自分を全否定してしまうため、新しいことへの挑戦を嫌い、成功することがわかっているやり慣れた仕事を選んでしまうものです。

また、主体性が失われているため、上司や同僚に依存し、失敗しても誰かのせいにしようとしてしまうでしょう。

このような状態では仕事で成果を上げることが難しく、自己肯定感が高まることもないでしょう。

家庭への影響

自己肯定感の低さは親から子へと伝わってしまうでしょう。

子どもは身近にいる親の姿を見て育ちます。親が自己肯定感が低い行動や言葉を繰り返し発することで、子どもにネガティブな思考が植えつけてしまうでしょう。

親の言動は子どもの成長にも大きな影響を与えるため、親がポジティブな姿勢でいることが大切です。

学校での影響

自己肯定感が低いことは学校という組織で生活する際に大きな影響を与えるでしょう。

組織の中では意見が否定されることを恐れて、コミュニケーションが滞るため、チームで結束することや連携することが難しくなります。

結束や連携が生まれないことはストレスや疲弊につながるため、チームとして弱くなってしまいます。学校生活においても自己肯定感の高さは重要であるといえるでしょう。

【5選】自己肯定感を高める方法・トレーニング例

自己肯定感が低い人は仕事や日常生活にさまざまな影響が出てしまいます。何をやってもうまくいかない生きづらさを感じてしまうため、できるだけ自己肯定感が高まるように努力をしなくてはいけません。

ここからは、自己肯定感を高める方法や簡単に実践できるトレーニングを紹介していきます。

今の自分と向き合い認めてあげる

自己肯定感が低い人は、自分で自分を認めることができません。自分を認めるためには、今の自分と向き合うことが大切です。

不安な気持ちや自信がない部分をノートなどに書き出してみましょう。書き出すことで、客観的に今の自分の状況を見ることができます。気持ちを整理することで冷静になり、少しずつ自分を認めてあげられるでしょう。

小さな成功体験を積み重ねる

成功体験は、目標や目的を成し遂げた経験のことです。成功体験を積み重ねることで「自分はできる」と自信がつき、自己肯定感が高まっていきます。

自己肯定感が低いことに悩んでいる人は、小さな目標を掲げて成功する経験を積むことからはじめましょう。お手伝いをして家族に褒められる、親切をして感謝されるなど小さな成功体験でも自己肯定感を高めます。

成功を重ねることで、さらに自己肯定感を高めることも期待できるでしょう。

リフレーミングをうまく使う

リフレーミングとは枠組みを変え、別視点からものごとを見ることをさす心理学用語です。枠組みを変え、別視点から見ることで、それまで否定的に捉えていたことも肯定的に捉えることができるようになります。

リフレーミングを行えば、神経質な性格は几帳面な性格、頑固は芯が強いなどとポジティブに捉えることができるでしょう。

ネガティブなことも前向きに、否定的なことも自分を高めるための貴重な情報などと受け止められるようになるのです。

肯定的な言葉を使い自分のよいところに目を向ける

肯定的な言葉を使い、自分のよいところに目を向けることも大切です。

否定的な言葉を知らないうちに発している人は、行動もネガティブなものになります。逆に肯定的な言葉を使っている人は、ものごとをポジティブに捉えることができるようです。

ものごとをポジティブに捉えられるようになれば、自分の良さに目を向けられるようになり、自己肯定感が上がるでしょう。

常に笑顔を心掛ける

笑顔を作ることで、幸せホルモンが多く分泌されるといわれています。

作り笑顔でも幸せホルモンは分泌されるといわれており、自己肯定感を高めるために笑顔は効果的です。

楽しい出来事がなくても1日数秒、口角を上げる動作を繰り返すと、充足感が得られ自己肯定感が高まります。また、作り笑顔を繰り返すことで笑顔のハードルがさがり、自己肯定感がより高まるでしょう。

子どもの自己肯定感を高める親の接し方

親の関わり方が不適切であれば、子どもの自己肯定感は低くなり、自信を持って行動することが難しくなってしまいます。子どもの自己肯定感を高めるためには、子どもへの親の関わり方が重要です。

ここからは、子どもの自己肯定感を高めるために親ができること、親の接し方を紹介していきます。

子どもが失敗しても後ろ向きに捉えない

子どもが失敗したときに、「何でできないの」「また失敗したの」など後ろ向きな言葉をかけてしまうと、自信を失くしてしまいます。

子どもが失敗したら、「頑張ったね」「もう一回やってみようか」など前向きな言葉をかけましょう。前向きな言葉をかけることで、失敗しても大丈夫だとあんしんし、次にまた挑戦したいという気持ちがわいてきます。

また、失敗を受け入れることで、自分はダメな存在ではなく大切な存在だと認識できるでしょう。

すべてを受け入れ認めてあげる

親からすべてを受け入れられた経験のある子どもは、自分は大切な存在だと思うようになり、自分を肯定できるようになります。

たとえば、子どもが悪いことをしてしまった場合、一方的に叱ったり責めたりすると子どもは自分を否定するようになります。「次は気をつけようね」「こうした方がいいと思うよ」など子どもを受け入れ寄り添うことで、自分が大切な存在だと意識するようになるでしょう。

たくさん褒める

褒められるとうれしいですし、自信にもつながるでしょう。たくさん褒められた経験があることで、自己肯定感が高まります。

褒めるときは、「1位を取れて偉いね」など結果や成果、能力を褒めるのではなく、そこに至るまでの過程を褒めてあげましょう。過程を褒めることで、思うような結果が得られなくても頑張った自分を認められるようになります。

子ども自身が頑張った自分を認められると、人に対しても同じように優しく接することができるようになるでしょう。

ほかの子どもと比べない

ほかの子どもと比べないことも大切です。

「〇〇くんはできるのに、どうしてあなたはできないの」などと人と比べられて過ごすと、劣等感が生まれ、他人の目を必要以上に気にしてしまいます。自分を否定するようになり、自己肯定感が低くなってしまうでしょう。

兄弟姉妹と比べる行為も同様で、「自分はできない子だ」と自己肯定できなくなり、家族の中で亀裂を生むことにもつながります。

自己肯定感を高める習慣を作っていこう

ここまで、自己肯定感について紹介してきました。

自己肯定感は、ありのままの自分を肯定する感覚のことです。自己肯定感は過去のトラウマや家庭環境で低くなってしまうことがあります。

一度、自己肯定感が低くなってしまっても、トレーニングを重ねることで高めることが可能です。また、親の接し方次第で子どもの自己肯定感は変化します。

子どもが笑顔で過ごせるように、自己肯定感が高まるような接し方を意識してください。