非認知能力とはどんな能力?伸ばすためにできることやおすすめの習い事をご紹介
非認知能力は、どういった能力のことをいうのか気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、非認知能力とは何か、認知能力との違い、非認知能力を向上させるために効果的な子どもへの接し方、おすすめの習いごとなどを紹介します。興味がある方は参考にしてください。
「非認知能力ってどんな能力を持っていること?」
「子どもの非認知能力は、どうやって鍛えるといいんだろう」
「非認知能力を伸ばしていく上で親が気をつけることってあるのかな?」
このように、子どもの非認知能力について疑問や関心を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、非認知能力とは何か、非認知能力が注目されている理由、非認知能力を伸ばす・高めるためにおすすめの方法、習いごとなどを紹介します。そのほか、非認知能力が実際の教育現場へ取入れられている内容についてもお伝えしています。
この記事を読むことで、認知能力と非認知能力の違いや非認知能力の大切さがわかってくるでしょう。そのため、非認知能力を子どもに身に付けてほしいという気持ちが出てくる可能性も高いです。興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
「非認知能力」とは数値化しにくい内面的な能力
「非認知能力」とは、知能指数(IQ)や偏差値など数値化しにくい内面的な能力です。大きくわけると、他者との関わりで発揮される能力と自分のなかの力として発揮される能力があります。
たとえば、相手の伝えたいことを理解する力、自分の気持ちを表現する力、頑張ろうとする心、真面目さ、などが非認知能力に当てはまるでしょう。
非認知能力を鍛えることで認知能力も上げていける、という研究結果が発表されています。精神的な部分に作用して認知能力を底上げするために必要なもの、という理由から非認知能力は最近注目されています。
ここでは、非認知能力とはどのような能力を指しているのか紹介します。数値化できない内面的な力とはどのようなものなのか、認知能力との違いなどしっかり把握しておきましょう。
具体的な非認知能力はコミュニケーション能力や忍耐力などをさす
非認知能力は、相手の気持ちを読み取る力、自分の気持ちを表現する力、自分を好きだと思う気持ち、他者への思いやりの心、誠実さなども該当します。対人関係でも必要な能力です。
また、非認知能力は、物事に対して自信を持って取組む力、忍耐力も含まれることから、学習に向かう姿勢でも必要になるでしょう。読み書き、計算など認知能力を高めていくためにも、一緒に伸ばしていくことが大切です。
認知能力と非認知能力の違い
「認知能力」とは、文字の読み書き、計算といった偏差値や知能指数(IQ)など測定できる能力です。対して「認知能力」は自分を大切にする心、自信、自立、協調性、共感などの心の力といわれる、数値として計測しにくい能力です。
文部科学省の発表でも非認知能力は重要だとされている
文部科学省の資料によると、大人になって社会的、経済的に成功するには、認知能力だけではなく非認知能力を持っているかも重要とされています。
非認知能力は、忍耐強くやり遂げられる自制心、意欲・意志などの実行力です。また、周囲と同じ目標に向けて協力し合う協調性も含まれています。日常生活や社会活動に影響を与えるものであり、将来的に子どもが成功するかにかかわってくる能力といえるでしょう。
また、文部科学省の資料では、非認知能力は就学前、特に幼児期(満4歳から5歳)に顕著な発達が見られることや、認知能力と非認知能力の両方の必要性も記載されています。具体的には、認知と非認知は相互に関連し、支え合って育っていくものとされており、1つの活動の中に認知面と非認知面が必ず含まれ共に育つと記載されています。
出典:中央教育審議会 初等中等教育分科会・幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会―第2回会議までの主な意見等の整理― |文部科学省
非認知能力は大きく3つに分類される
認知能力が自分を大切にする心や、自信、自立、協調性、共感などの心の力といわれるのに対して、非認知能力は自分の内部にある力と周囲の人との関わりのなかで発揮される力です。
主に3つに分類されるといわれています。3つの区分けを知り、非認知能力への理解を深めていきましょう。
自己にかかわる力
自己にかかわる力は、自分を制御する力です。たとえば、「自分を好き」「大切」と思える自尊心や、自分が動くことで対象に変化を及ぼせる自己効力感です。
そのほか、興味関心を持ち進んで取組める力、目標など最後までやり遂げる粘り強さなども含まれます。
社会性にかかわる力
社会性にかかわる力とは、他者にかかわるものになります。自分の気持ちを伝えたり、他人の気持ちを察したりする感情知性や、困りごとを抱えている人への共感性などです。
また、集団でのルールを理解して守る規範意識、価値観の違う人でも譲り合える寛容さ、善悪を判断する道徳心も該当します。
セルフコントロール
セルフコントロールは、自分の気持ちや考え方、行動などを自分で抑制や調整、制御することをいいます。自己にかかわる力と社会性にかかわる力の両方が関係しています。
たとえば、自分の目標を達成するために勉強の時間を増やして遊びを我慢する、周囲の人間関係をよくするために自分がやりたいことを控えるといった行動です。
非認知能力が高い子どもの特徴
非認知能力が高い子どもにはどのような特徴があるのでしょうか。認知能力が高い子どもは、知識・技能、思考力など学力に代表される力が高く、テストなどの結果からその高さがわかりやすいものです。しかし、非認知能力は数値化しにくい内面的な能力であるため、子どもの言動を観察して下記のような言動を取る場合は非認知能力が高いと考えられるでしょう。
■自己にかかわる力
興味を持ったことに対して、積極的に挑戦する。
疑問に思ったことは、自分で調べようとする。
自分の能力や価値を信じている。
周囲の人の意見に流されず、自分の信念を貫く。
■社会性にかかわる力
友達と協力して遊んだり、活動をしたりする。
意見が対立しても、互いに尊重し、話し合いをする。
周りの人の気持ちに共感し、思いやりを持って接する。
約束を守る。
■セルフコントロール
美しいものや感動的なものに対して、心動かされる。
困難な状況でも、諦めずに取り組む。
目標達成のために、努力を続けることができる。
失敗から学ぶことができる。
上記はあくまで一例であり、すべての非認知能力が高い子どもがこのような行動をとるわけではありません。
非認知能力は、様々な要素によって構成されており、子どもによって言動への現れ方は異なるため、個々の子どもの個性や特性を理解し、その子に合った伸ばし方を考えることを大切にしていきましょう。
【5選】非認知能力を伸ばす・高めるためにできること
非認知能力を伸ばし、高めるには、周囲との関わり方、日々の過ごし方が大きく影響しているといわれています。
数値として認知できない力になるため、伸びてきているのか目に見えにくい能力ですが、以下のポイントを把握して、ていねいに子どもの環境を整えていきましょう。
子どもの挑戦は積極的に応援する
子どもが頑張っていることは、「能力的に伸びるものではないのでは」と感じることでも、まずは積極的に応援しましょう。
子どもが「自分が頑張っていることはいいことだ」「好きなことをやると親が応援してくれる」と感じることで、非認知能力向上に関係する自己肯定感が上がります。
子どもの失敗を肯定する
失敗を責めてしまうと子どもの挑戦意欲が失せてしまうことがあります。自発的な行動をしなくなる恐れもあるため、失敗は否定的に捉えず肯定してあげましょう。
失敗は、学びの一環であり、成長のための貴重な経験になります。失敗から学べることはないか見つけ出す力を身につけさせる方向で、ポジティブな声掛けをしてあげてください。
非認知能力を鍛える遊びを取入れる
無理なく非認知能力を伸ばす方法として、遊びのなかに非認知能力の要素を入れる方法があります。ブロックや積み木、粘土などで遊ぶことによって、発想力や創造力、集中力、根気強く取り組む持続力といった、非認知能力の向上を期待できるでしょう。
「comotto」では、お子さまの非認知能力を鍛える遊びを13個ご紹介しています。こちらもご参照ください。
幼児期から習いごとをはじめる
幼児期から習いごとをはじめることで、脳にさまざまな刺激を与え、潜在能力を引き出す可能性があります。子どもが意欲的に取組めるように、苦手の克服ではなく、子どもが興味を示した習いごとをはじめるとよいでしょう。
非認知能力の向上を狙うには、勝敗や競争よりも自分のペースで成長できたり、周囲と合わせることを経験できたりする習いごとがおすすめです。
子ども自身に決めさせる
子どもが意欲的に取組む遊びや行動は、非認知能力の向上につながる傾向があるため、何かをはじめるときは、できるだけ子ども自身に決めさせるようにしましょう。
自主的にはじめたことは、創造力や探求心が育まれます。子どものときに育ちやすい能力でもあるため、子どもが決めたことを親は見守ってあげてください。
スマホやタブレットで遊ぶことが好きな子どもであれば、非認知能力向上に向いている知育アプリを活用してみましょう。なかでも「comotto」のスマホ・タブレット向け知育アプリ「dキッズ」がおすすめです。
「dキッズ」は、子どものデジタル時間が”学べる・遊べる・夢中になれる”時間になるように設計された知育アプリです。豊富なジャンルで、実績のあるコンテンツを、人気キャラクターと楽しく学べます。
詳細や利用条件等は下記リンク先よりご確認ください。
出典:dキッズ|comotto
非認知能力の向上は社会人基礎力の向上につながる
社会人基礎力とは、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つから構成されていて、2006年に経済産業省が提唱した能力です。
社会人基礎力は、「前に踏み出す力」であれば主体性・実行力、「考え抜く力」では粘り強さ、「チームで働く力」は、柔軟性・規律性などが非認知能力と深く関係しています。
社会人基礎力は職場や地域社会で、良好な人間関係を築けるかが重要なスキルになってくるでしょう。子どもへの教育では、早期から非認知能力の理解を深め、向上できるように対策しておくことが大切です。
出典:社会人基礎力|経済産業省
子どもの非認知能力を育てるために避けるべき行動
子どもの非認知能力を育てるために避けるべき行動には、誰かと比較したり、子どもがやろうとしていることを否定したり、親が手を出しすぎないことなどがあります。子どものやる気をそぐことにもなりかねないため、以下の行動はとらないように注意しましょう。
子どもを他人と比較する
「あの子はもう○○できるよ」「○○くんは上手だったのに」など、他人と比較するような発言をしていると、子どもは劣等感を抱いてしまう可能性があります。自信を失い、自己肯定感が下がることにも関係してくるため、比較することは避けましょう。
挑戦に口出しをたくさんする
子どもがやる気を持ってチャレンジしていることに口を出しすぎると、子どもが萎縮してしまいます。大人が思う以上に子どもは敏感です。
親の顔色を見て行動するようになり、子どもがやりたいと思ったことができなくなると能力を伸ばすことも難しくなります。いろいろと心配になることがあっても、子どもの成長のために細かい点は気にせず、静かに見守りましょう。
子どもの失敗を防ぐために動く
失敗すると子どもががっかりするから、と思って親が子どもの失敗を防ぐために動いてしまうと、失敗から学ぶことができなくなります。
「失敗はいけないことではない」「改善策を考えられる」「失敗する可能性を考え、予測が立てられるようになる」「失敗してもやり直せる」などの認識を持つことが大切です。
失敗も経験になるため、子どもがやりたい気持ちを持っているときは自由に挑戦させましょう。
子どもの非認知能力を伸ばすためにおすすめの習いごと
子どもの非認知能力を伸ばすためには、さまざまな習いごとがあります。
運動系の習いごとでは、体の基礎的な使い方や周囲で力を合わせる協調性などが育ちます。具体例は、ダンスや水泳、総合型スポーツ、合気道などです。特に合気道は、集団のなかで礼儀作法を学び、自己成長を感じやすいところで非認知能力を伸ばせるでしょう。
芸術系の習いごとでは、創造力を育み、自己表現の楽しさを学べるでしょう。具体的には、絵画・工作、楽器・リトミックなどがあります。楽器・リトミックは、指先を使うため脳の発達によいでしょう。
そのほかの習いごとでは、自然体験・ボーイスカウトもおすすめです。自然に対応する能力が身につき、仲間と協力する楽しさを体験できるでしょう。
論理的思考や問題解決能力などを鍛えたい場合は、プログラミングがあります。粘り強さや挑戦力、創り上げる喜び、達成感を味わいながら非認知能力を養っていけるでしょう。
デジタルデバイスを活用した実証実験も行われた
幼稚園・保育園の年長児を対象に、デジタルデバイスを活用した実証実験が、2020年度以降に静岡県袋井市で行われています。
実証実験は、日々の記録と特定活動前後の記録をするものです。日々の記録では園児が好きなときにタブレットに報告するというもので、園児が報告したいものを撮影して、アプリに記録していきます。特定活動前後の記録では、活動の感想を記録します。
この実験でデジタルデバイスの使用により、子どもたちの数や量、図形への関心、デジタルデバイスの活用力、自己効力感、協同性などの非認知能力が上昇したという結果が出ました。
この結果を受けて子どものデジタル時間を利用して、非認知能力を伸ばしたい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。
デジタルデバイスを利用した非認知能力の向上を行う場合は、「comotto」などの知育アプリの活用を考えてみましょう。
「dキッズ」は、子どものデジタル時間が”学べる・遊べる・夢中になれる”時間になるように設計された知育アプリです。豊富なジャンルで、実績のあるコンテンツを、人気キャラクターと楽しく学べます。
詳細や利用条件等は下記リンク先よりご確認ください。
出典:dキッズ|comotto
出典:袋井市と凸版印刷、幼稚園・保育園などでのICT利活用実証にて非認知能力育成と保育の質向上効果を確認|TOPPAN
非認知能力が教育現場へ導入された事例
最後に、非認知能力が教育現場へ導入された事例を紹介します。園庭の活用やクラス編成など、取り上げた3つの事例から、それぞれどういった点が非認知能力を伸ばすことにつながるか注目してみてください。
【事例1】石垣への挑戦
元々は遊具が置かれている園庭だったところの遊具を取払い、石垣を作り、子どもたちに自由に遊んでもらうという取組みです。
石垣によって自然に近い形状のものに登ること、高さの意識などが身につき、非認知能力を伸ばす内容になっています。子どもの主体性、意欲を伸ばすために、「小さい子が石垣に登っても大人は止めない」というルールを設けました。
子どもたちは石垣の上に登り、高さを自分の目で確認し、石垣のてっぺんや途中から飛ぶなどして、高さを体感しながら、自分の力を確かめていたそうです。
【事例2】泥んこ遊び
園庭で泥まみれになり、泥のぬるぬるとした感触を体験できる取組みです。
泥は季節やその日の天候によって、ぬるかったり冷たかったりします。水を加えると量によって柔らかくもなり固くもなります。
これは、泥の様子の違いや泥を触ったときの感触を楽しむことが狙いです。肌で感じ、さまざまな感覚が身につき、好奇心や想像性が育まれていくでしょう。実際に、自由に泥と遊ぶ楽しそうな様子が見られたそうです。
【事例3】異年齢での園児同士の関わり
こちらの事例は、3歳、4歳、5歳が一緒に生活する取組みです。年齢ごとのクラスがあるのと同時に、各年齢を縦割りしてグループを作ってクラスを編成します。
年齢が異なることで、上の年齢の子が下の面倒を見る、下の年齢の子が上の年齢の子を真似するなどの相乗効果が見られました。思いやりの心を育てることや、憧れる気持ち、意欲的なチャレンジ精神などを伸ばすことにつながったでしょう。
また、保護者としても同じ年齢では「○歳ではこういうことができないとだめ」という意識が減り、子どもに対して比較するような発言が減ったという方も多かったそうです。
非認知能力は幼少期から鍛えることが大事
数値として図ることができない非認知能力は抽象的な概念であるため、身に付いているか確認しづらい面があります。
しかし、やり遂げる力、コミュニケーション能力、自制心など「どのような力、姿勢が育ってほしいか」という願いを持ち、日常の遊びや過ごし方を大切にすることで育てていけるものです。普段の生活のなかで、非認知能力に意識を向けると感じられるでしょう。
非認知能力は、幼児教育が大事といわれています。興味がある方は、ぜひ本記事で紹介した習いごとを検討したり、知育アプリを取入れたりしてみましょう。