【例文あり】小学生の上手な作文の書き方や子どもへのアドバイスの伝え方をご紹介
小学生の作文を上手に書くためにはどのようなコツが必要なのでしょうか。本記事では、具体的な改善のポイントや低学年、高学年向けの例文も合わせて紹介しています。国語力の重要性、作文が国語力の育成に役立つことを伝えているため、ぜひチェックしてください。
小学生の作文の上手な書き方について、いくつかのコツがあるのはご存じでしょうか。
長い文章を書いた経験がないお子さんにとって、作文は苦手な宿題の1つに挙げられます。最初は、何を書いたらいいか迷ったり、文章が浮かばずに、ペンを握ったまま手が止まってしまうことも珍しくありません。
この記事では、小学生向けの上手な作文の書き方について、4つのステップに分けて紹介していきます。書く時のポイントを押さえておけば、小学生のお子さんでも、しっかり出来事や自分の意見を伝えられる文章を書けるようになるでしょう。
またお子さんへのアドバイスの伝え方も合わせて紹介しますので、上手く教えられるか自信がない保護者の方は、ぜひチェックしてみてください。
【基本】小学生向けの作文の書き方4ステップ
小学生の子どもは作文など長い文章を書くことに慣れておらず、いきなり長い文章を書かせるのはハードルが高く、苦手意識を持つ子どももいます。
小学生向けの作文の基本的な書き方を簡単にまとめると、4つのステップになります。このステップを踏むことで、スムーズに質のよい作文を書くことができるでしょう。
ここでは4ステップについて具体的に解説します。この4ステップを子どもに伝え、見守りながら一緒に作文に挑戦しましょう。
「テーマ」を決める
上手な作文の書き方にはいくつかのポイントがあります。まず、興味を持っていることや身近な出来事から作文のテーマを決めるとよいでしょう。
運動会や学芸会などの学校行事は、普段の授業とは違う体験ができて、印象に残りやすいです。また楽しかったことや怖かったことは、そう感じた出来事や理由を深く掘り下げることができ、比較的書きやすいテーマといえます。
家族など身近な人についても、「普段その人をどう思っているか」「どんな人なのか」は、低学年のお子さんでも書くことができます。
高学年になれば、社会に関することやお金、プログラミング、スポーツ・アート、自然環境、化学・技術など、疑問に思ったことやニュースで見た話題などを参考に、より複雑なテーマについて書けるようになるでしょう。
「文章構成」を考える
作文の構成についても考慮しましょう。はじめ・なか・終わりの三部構成を考えると分かりやすく伝わります。最初にテーマを紹介し、中間部で詳細に説明し、最後にまとめや感想を持ってくるとよいでしょう。
【はじめ】
最初に、選んだテーマについて簡単な紹介や、興味を引くエピソードを紹介しましょう。分かりやすいタイトルをつけるのも効果的です。
【なか】
次に、具体的な出来事を書き、自分の経験したことを読者に伝えましょう。そのとき自分がどう感じたのか、感想を述べます。1つのまとまりごとに新しい段落を作るとわかりやすいです。また時系列を整え、読者がイメージしやすくなる描写を意識しましょう。
【終わり】
最後に、まとめやふりかえりの感想を述べます。感謝の気持ちや教訓として学んだことを書くとよいでしょう。
最初にこのような大まかな構成を考えておくと、わかりやすい作文が書けるでしょう。
構成に沿って作文を書く
はじめ、なか、終わりの構成を決めたら、それに沿って実際に作文を書いていきます。構成を考える段階で書く内容を箇条書きにしておくと、情報を整理しやすく、長い文章を書く時に順序立てて書きやすくなります。
作文の見直しはこまめにする
一気に書き上げてから確認すると、ミスがあった場合に直すのに時間がかかってしまいます。たとえば、脱字をした場合、マスが1マスずつずれる可能性があります。
また1文が長すぎたり、同じ接続詞が繰り返されたりしていた場合、その部分を修正する必要があるでしょう。場合によっては大幅に書き直さなければなりません。
そのため原稿用紙1枚書き上げたら、一度読み直して確認するようにしましょう。
【基本】小学生向けの作文の書き方4ステップ
小学生が作文を上手に書くためには、読みやすく、読者を引きつける文章を書くコツを押さえておく必要があります。
作文の書き方を知っていても、コツを知らなければ読みづらく不格好な文章になってしまいます。テーマの決め方や文章を書く時のコツなどを知り、他の人の作文と差をつけましょう。
ここでは誰もが陥りがちな注意点と、作文を書くコツを6つ紹介します。
書きやすいテーマを決めよう
家族や好きなものなど、身近で興味のある内容をテーマに選ぶと、作文のアイデアを引き出すのに役立つでしょう。
プログラミング教育に関することやお金の学びなど、小学生のお子さんにとってあまり馴染みがないテーマの場合、体験することで理解が深まり、書きやすくなります。
一文は読みやすいように短くする
文章を書く時に気をつけたいポイントは、1つの文に書きたいことを詰め込みすぎて、長くなってしまうことです。いいたいことをすべて書こうとすると長くなり、読みづらい文章になってしまいます。
内容はできれば1つ、多くても2つ程度に留め、読みやすい文章にすることを意識しましょう。
形容詞の使い方に気をつける
形容詞を活用して表現すると、作文が魅力的になります。
たとえば、「家族で山に登った時、頂上からの景色がとても美しく見えました」など、イメージや感情を伝えるためには、形容詞を効果的に使うことが重要です。
表現を豊かにし、読者に強い印象を与えるには、形容詞を工夫しましょう。「〇〇して楽しかった」「〇〇だからおもしろかった」などの感想で終わってしまうと、文章がそこで終わってしまい、次の書き出しに悩むことになります。
具体的に状況や出来事を描写することで、読者にその楽しさやおもしろさを強く印象づけられるでしょう。
話し言葉で書かないようにする
話し言葉は友達や家族相手など、特定の人とのコミュニケーションで使われることが多いです。
一方、作文は誰が読んでも理解できるように書くことが求められます。書き言葉のルールをしっかり覚え、正しい日本語で文章が書けるようにしましょう。
文末の表現が重複しないようにする
同じ文末を繰り返すことで、文章が単調に感じられることがあります。単調な作文は引き込まれにくく、読み手を飽きさせてしまいます。
「です」や「ます」など、特定の文末の言葉が重複すると、感情や意味のニュアンスが伝わりにくくなります。
そうならないためには、文章の途中で会話文をはさんだり、過去のことを表現する時「でした」「ました」と変えてみたりすると、文章に変化が生まれ、単調さを避けられるでしょう。
原稿用紙の書き方のルールを覚える
原稿用紙の書き方にも以下のルールがあります。
・題名は上を2~3マスあけて書く
・段落のはじめは1マス下げる
・句読点、かぎかっこの閉じる方は行のはじめには書かず、行の最後にきて下にマス目がない場合に最後のマス目か欄外に書く
・会話文はかぎかっこを用いて書き、原則として行を変える
原稿用紙の使い方をしっかり覚えてから、作文を書きはじめるようにしましょう。
【例文つき】学年ごとで求められる書き方
ここからは、学年ごとに作文で求められるレベルに合わせて書き方を解説していきます。具体的に1~3年生と4~6年生向けに、それぞれ書く時に意識してほしいポイントを紹介しています。
ポイントを押さえた例文つきで紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
小学校1年生~3年生の書き方
小学1年生~3年生の作文は、「いつ、どこで、誰が」をわかるように書くことを目標にしましょう。日時や数字、場所などを書いていくと、正確で伝わりやすい文章になります。縦書きのときの数字は漢数字にしてください。
会話を文章で表現すると、そのときの様子が具体的に描写できるようになります。会話文はかぎかっこを使い、行を変えてください。カチカチ、きらきらなど、擬声語・擬態語を使う時は音はカタカナ、状態はひらがなで書きましょう。
作文の終わりには感想や意見を書きます。「楽しかった」などの単純な感想で終わらせず、自分なりに思ったことを書きましょう。
【例文】小学校1年生~3年生のポイントを押さえた作文
家族でしおひがりにいったこと
ぼくは、どようびに家族でしおひがりにいきました。おとうさんとおかあさんと、いもうとのみなと一緒です。うみについたら、くもっていて、ちょっとさむかったです。おかあさんがバケツをくれました。
「うみにはいらないでね」とおかあさんがいいました。ぼくはみなと一緒にすなをほりました。「みな、ここらへんにアサリいるよ」とぼくはゆびで教えてあげました。みなはどれがアサリかわからなかったみたいです。
「おにいちゃん、これ」と、ひろったものをみせてくれました。それはほしのようにかがやく白いきれいなかいがらでした。
「それアサリじゃないよ」とぼくは教えてあげたけど、みなは「これがいいの」とかいがらをずっとはなしませんでした。
小学校4年生~6年生の書き方
小学4年生~6年生は、表現を工夫して文章を書きます。段落分けは、三文ぐらいを目安にしましょう。
実体験をもとにした作文を書く時は、過去形が多くなりがちです。「です」「ます」などの現在形も入れて、文章が単調にならないように気をつけます。「だ」「だった」「である」などの常体でも書けるように、練習しましょう。
高学年になると、実体験中心の作文から、テーマを中心とした作文に徐々に変化していきます。例えば、「これからもずっと友達でいたい」という終わり方を「友達の存在が、心の支えになる」という風に、一般化したまとめ方ができるようになるとよいでしょう。
表現力が上がってくると、無意識に脚色してしまいがちです。事実と異なる描写にならないよう、そのまま書くことが大切だと子どもに教えてあげましょう。
【例文】小学校4年生~6年生のポイントを押さえた作文
自然を守るためにできること
今日、授業で地球の自然に関する映像を観た。世界では、畑を作るために森を焼きはらう人がたくさんいて、そのせいで砂漠が広がっているという話だった。
木がなくなると、地球の二酸化炭素が増えて、温暖化が進んでしまう。温暖化が進むと、南極の氷がとけて、海に沈んでしまう国もあるそうだ。
その地域の人たちはとても貧しく、畑を広げて食べるものを作らないと、みんな死んでしまう。あなたたちが森を焼くと、別の国の人たちが困ってしまうのだと言っても、今生きるのに精いっぱいな人たちには通じないだろう。
森を焼かないと暮らしていけないのなら、この人たちの生活を支援するために、わたしができることはないだろうか。思いついたことは、学校で集めている緑のはね共同募金だ。この募金で集めたお金は、自然を守るための活動に寄付される。
あたり前のようにそこにある自然も、世界中を見渡したら、人間の手で破壊されている。森を焼いて、地球温暖化が進めば、結局困るのは人間だ。自然を守るために、どんな小さなことでもこつこつと、わたしにできることをこれからもしていきたい。
一人ひとりにできることは小さなことでも、みんなが同じように行動したら、きっと大きな力になるはずだ。
【3選】子どもの作文をレベルアップさせるアドバイス
子どもの作文を添削する時は、修正したい部分を一度に全部伝えてしまうと、混乱してしまいます。特にここだけは直させたいと思う部分を伝えて、一か所ずつ訂正していくようにしましょう。
ここでは、子どもの作文の書き方を上達させるアドバイスを3つご紹介します。
一番伝えたいことを詳細に書くように促す
子どもが一番強く印象に残ったことを思い出させ、的をしぼってその場面を書かせると、引き込まれる文章を書くことができます。
「わたしは友達と一緒に、リレーで走りました。途中、バトンをもらう時に手からすり抜けそうになり、ひやひやしました。どうにか落とさずにすみ、しっかりバトンを握って走りだしましたが、しばらく胸がどきどきしていました。三位になれて、よかったです。」
上記文章は、バトンミスをしそうになった部分をクローズアップしています。こうすることで、よりそのときの場面を読み手に印象づけられるでしょう。
具体的に書くように促す
具体的な描写を入れさせたいと思ったら、「バトンを落としそうになって、どうなったの?」や「ドキドキした?」など、そのときのことを子どもに聞きながら書かせましょう。
「わたしは友達と一緒に、リレーで走りました。途中、バトンをもらう時に手からすり抜けそうになり、思わず「あっ」と声を上げてしまいました。友達も「しまった!」という顔をしていました。
なんとか落とさずにすみ、しっかりバトンを握って走りだしましたが、しばらく胸がどきどきしていました。三位になれて、よかったです。」
バトンミスしそうになった時の具体的な描写が入ると、読み手を引き込む作文を書くことができます。
文末を「楽しかった」などで終わらないように促す
どうしてそうなってよかったのかなど、子どもに質問しながら書かせてみましょう。
最後を「よかった」「楽しかった」「おいしかった」などの形容詞で締めくくるのをやめ、それらの言葉を使わずによかったことを伝えられると、文章がさらに良くなります。
子どもにそうなってよかった背景をしっかり聞き出し、文末が形容詞を使っただけの感想で終わらないように注意しましょう。
書き方を理解しても上達しない場合に確認するポイント
上達するポイントや上手な書き方を伝えても、どうしても書けない場合もあるでしょう。
なかなか上達しないお子さんには、文章を書く以前の問題として、いくつかの要因が考えられます。ここでは、上達が止まってしまった際に確認すべきポイントを紹介するので、事前にチェックしておきましょう。
語彙力が足りない可能性
近年は小学生の語彙力の低下が問題視されています。動画を観る小学生が多く、本を読む機会が減ったことも要因の1つでしょう。
語彙力とは「相手の伝えたいことを理解する力」と「言葉を使って自分の気持ちを相手に伝えることができる力」のことをさします。語彙力の低下は、自分の気持ちを正確に伝えることができなくなり、コミュニケーションの阻害にもつながるでしょう。
語彙力を増やすために親子で一緒に読書をしたり、家族で会話をする機会を増やすなどの方法があります。会話する際は会話の内容を掘り下げることが重要です。内容を掘り下げることにより、会話中で使われている語彙の使い方を学べます。
文章の表現力が足りない可能性
語彙力が低下すると、具体的な言葉や表現が限られてしまいます。語彙力はそのまま表現力に直結しており、語彙力が低下すると、表現力も不足してしまうでしょう。
表現力が不足してしまうと、適切な言葉を見つけて正確に感情や意思を伝えることが難しく、文章や会話がぼんやりとしてしまいます。
同じ言葉や表現が繰り返し使われると、表現が単調になり、読み手へ与える印象が弱まってしまいます。
お子さんの文章表現力不足が気になる場合、新聞や本の文章表現を一緒に調べてみましょう。会話中や日常生活では学ぶことが難しい言葉は、新聞や本で知れます。
また文章を読むことによって、会話ではあまり出てこない表現であったり、独特のいい回しを学習でき、言葉への興味を引き出せるでしょう。
文部科学省の見解つき】国語力の必要性
子どもたちを取り巻く環境が急速に変化していく「これからの時代」に、国語力を上げることはこれまで以上に重要となります。
見知らぬ人や外国人、異なる世代、価値観の人と円滑にコミュニケーションするためには、適切な言葉を使い、正確に情報を伝えるための国語力が求められます。
また、他人の痛みを自分の痛みとして感じる共感性、社会的・文化的な価値にかかわる感性などは、主に国語教育を通して体得されます。
作文は国語力を測る1つの手段であり、言葉や表現力の習得、コミュニケーション能力の発展にも役立つでしょう。国語力は自己表現の一種であり、言葉やフレーズを使いこなすことで、国語力の総合的な向上を促進できます。