論理的思考力とは?子どもへの必要性・メリットや鍛える方法も解説
「論理的思考力」という言葉をご存知でしょうか。近年では、論理的思考力が重要視されるようになり、学校などでもこの能力の育成に力を入れています。本記事では、論理的思考力を伸ばすメリットや、論理的思考力を養う方法などを紹介するため、興味のある方はぜひご一読ください。
「論理的に考えるってどういうこと?」
「どうやれば思考力が上がるのだろう?」
「論理的思考って、なんの役に立つのだろう?」
など、「論理的思考力」という言葉を聞いたことがあっても、具体的にはよくわかっていない、という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、論理的思考力の意味を解説するとともに、論理的な考え方を養う方法についても紹介しています。
さらに、論理的思考を実践するために役立つフレームワークにも触れているため、この記事を読むことで、さまざまな角度から物事を考えられるようになるでしょう。
論理的思考力について詳しく知りたい方や、子どもの論理的思考力を高めたいと考えている保護者の方は、ぜひ本記事をご一読ください。
論理的思考力(ロジカル・シンキング)とは
論理とは「議論・思考・推理などを進めていく筋道」のことです。
つまり、論理的とは、他人と話し合って意見を出したり、自分が考えをまとめたりするなかで、それらに至る過程がはっきりとわかる状態であることといえます。
まとめると、論理的思考力とは、ある意見や考えに至るまでの流れをはっきりさせながら思考できる能力のことです。
また、論理的思考はロジカル・シンキングと呼ばれることもあります。
「ロジカル・シンキング」と「クリティカル・シンキング」の違い
クリティカル・シンキングとは、日本語で「批判的思考」といいます。
批判とは、悪い内容に限らず、物事を評価するという意味であり、何かを評価するときには、その根拠もあわせて示すことが一般的です。
よって、批判的思考とは、物事に対していくつかの根拠に基づいて評価していく思考ということになります。
自身の思考を評価するかどうかという点で、ロジカル・シンキングとは異なるといえるでしょう。
「ロジカル・シンキング」と「クリエイティブ・シンキング」の違い
ロジカル・シンキングは思考の道筋を明確化させることで、ある問題を解くために有効な手段です。
一方、クリエイティブ・シンキングとは、さまざまな角度から思考することで、何らかの問題を探すときに役立つ考え方です。
従って、問題を解決するために用いるのか、発見するために用いるのかという違いがあるといえるでしょう。
子どもの教育でも論理的思考力は重要視されている
論理的思考力は、これからの世界を生きる子どもに必要な能力として、教育でも重視されています。
インターネットやAIなどの技術革新は、第4次産業革命と呼ばれる社会変革をもたらしました。発展を続ける科学技術に対応するために、論理的思考は不可欠だといわれています。
この情勢を踏まえ、近年では小学校からプログラミング教育が実施されはじめました。プログラミング教育により、コンピューターの使い方を学ぶだけでなく、その過程で論理的思考力をはじめとするさまざまな能力を育んでいくことをめざしています。
子どもの論理的思考力が高いことのメリット
論理的思考力は、子どもたちが習得すべきスキルとして挙げられることがありますが、子どもたちには、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下に5つの例を挙げて紹介していきます。論理的思考力を養うことは、どのような場面で役立つのかなど、しっかりと把握しておきましょう。
・コミュニケーション能力が向上する
・問題解決能力が高まる
・未経験のことに対応しやすくなる
・説得力のある話し方ができるようになる
・客観的な判断ができるようになる
コミュニケーション能力が向上する
論理的思考力は、他人とのコミュニケーションにおいて役に立ちます。
論理的に考えられれば、自分の考えをわかりやすく相手に伝えることが可能です。また、さまざまな人の意見や考えを的確に理解できるとともに、他人の意見も尊重できるようになるでしょう。
結果として、教室内での友達や先生とのコミュニケーションが円滑になれば、活発な授業につながるため、クラス全体の学習力の向上につながるでしょう。
問題解決能力が高まる
論理的思考を身に付けることで、問題解決能力の向上も期待できます。
1つの問題を解決するためには、その問題のなかにあるさまざまな要素や事象を抜き出して整理することが必要です。
多くの情報を処理し、必要な情報だけを組み立て、解決策を導き出すことで、問題に対する理解力と解決能力が養成されます。
未経験のことに対応しやすくなる
論理的思考力を高めると、経験したことのない状況や事柄にも対応できるようになります。
物事に含まれる個別的な内容を分析し、その本質的な意味を理解して抽象化することで、これまでの経験との比較が可能になります。さらには、未知の事柄に対しても仮説を立てられるようになるでしょう。
このような物事の本質を見抜く力は、論理的な思考によって向上させることができます。
説得力のある話し方ができるようになる
論理的思考によって、説得力のある発言ができるようになります。なぜなら、自分がその意見をもつに至った根拠や理由を簡潔に説明できるからです。
また、自分が発言する状況や、相手に応じて適切な言葉遣いを選べるようにもなるため、相手に納得してもらいやすくなるでしょう。
客観的な判断ができるようになる
論理的な思考は、客観的な判断にもつながります。
論理的思考を行うときには、主観的な感情と客観的な事実をわけることが欠かせません。これは、その思考過程で情報を単純化する必要があるためです。
その結果、論理の飛躍につながりかねない個人的な意見を除いた中立の立場から、物事を考えられるようになるでしょう。
論理的思考力を鍛えるトレーニング方法例
「論理的思考力」は、文部科学省が作成する学習指導要領でも、「生きる力」として示されており、学校ではその向上のための授業が行われています。
では、学校外ではどのようにして伸ばしていけばよいのでしょうか。
ここからは、具体的なトレーニング方法を5つピックアップして紹介していきます。
順序立てて会話をするようにする
順序立てて会話をするよう心がけることで、論理的思考力を鍛えることができます。
誰かと会話するときは、理由や根拠を交えながら、前後関係を明らかにして自分の意見をいうようにしましょう。
相手の意見を聞くときには、単純に聞くだけでなく、相手が何を伝えようとしているのかまで考えることが重要です。
相手の発言の道筋を理解し、これからどのような話になるのかを推測する必要があるため、論理的な思考の訓練になります。
本をたくさん読む
論理的思考力を付けるには、たくさんの文章に触れることも大切です。
さまざまな文章を読むことで、文章の構成に関する知識や語彙を増やせます。また、日常的に読書をすることで、たくさんの情報を処理することが容易になるでしょう。
こうした知識や経験は自身の引き出しを増やすことにつながるため、正しく情報を認識できるようになります。ひいては、ある情報が必要かどうか取捨選択する力が向上し、物事の解決能力も伸ばすことができるでしょう。
ロボットなどを制作してみる
自分の考えを実践するために、「ものづくり」をとおして想像力のトレーニングをしてみるのもいいでしょう。
ものづくりのためには、理論を順序よく組み立てる必要があります。また、失敗したときはその原因を考えながら試行錯誤することが欠かせません。その過程で発想力が養われます。
近年では、さまざまなものづくりのイベントが開催されています。
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プログラミングに取組む
プログラミングに取組むことで、ゲーム感覚で楽しみながら論理的思考力を磨くことができます。
論理的思考力が鍛えられるゲームやアプリで遊ぶ
内閣府の調査によると、子どもにスマートフォンをもたせる家庭は増加しており、そうした子どもの多くは、ゲームや動画の視聴のために使っていることがわかります。
しかし、インターネットには、ただ遊ぶだけでなく、さまざまな知識を学べたり、知的好奇心を刺激したりするようなアプリやゲームをすることで、時間を有効活用できるというメリットがあります。
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出典:dキッズ|comotto
論理的思考の基礎となる3つの考え方
一口に「論理的思考力」といっても、その具体的な能力はさまざまです。実際に、国立教育政策研究所は、学生の論理的思考力をはかる活動として6つを挙げています。
ここでは、そのなかでも基礎的な3つの考え方を取上げて説明しましょう。
帰納
帰納とは、いくつかの具体的な事象を観察し、得られた情報から仮説を立て、一般的な法則を見つけ出すことです。
これらの仮説は経験から導いたものになるため、普遍的に正しいかどうか検証することが必要になります。
たとえば、顧客からのご意見のなかから、共通点が多い意見を集計します。その結果、より効果的な改善ポイントを仮説だてて改善を行うことがあてはまるでしょう。
演繹
論理的思考の基礎となる考え方には、演繹(えんえき)もあります。演繹とは、ある仮説をもとに、順序立てた類推を積み重ねることで、妥当な結論を導き出すことです。一般的に、帰納と演繹は対義語の関係にあるとされています。
たとえば、もし雨が降っていたとしたら、道が雨の水で濡れているはずだと仮説をたてます。そこから、実際に確認をすると道は濡れていませんでした。なので、雨は降っていないといえます。という結論を導き出すことになります。
アブダクション
帰納や演繹に加えて、アブダクションも論理的思考に欠かせない考え方です。
アブダクションとは、一般的な知識や法則をもとに、ある意外な事実を説明できる適切な仮説を立てることです。
日本語で「仮説推論」と訳されることもあります。
たとえば、リンゴが木から落ちるのを見た人が、なぜリンゴが木から落ちたのかを調べることに近いでしょう。個別に現象を一般化するのではなく、「リンゴが落ちた」ことに対し、背景にあるであろう原因を発見する行為です。
論理的思考と関連性が高いフレームワーク
さまざまな情報があふれる現代において、「論理的思考力」は必要不可欠です。
1つの事柄に対し、あらゆる面から情報を得て考察できる力は、情報化社会を生きる私たちにとって大いに役立つでしょう。
ここからは、論理的思考を活用したフレームワークを3つ紹介します。
自分が必要とする情報を得るために、適したフレームワークを用いることで、より論理的な思考が行いやすくなるでしょう。
MECE(ミーシー)
MECEとは、Mutually Exclusive(互いに排反な)、Collectively Exhaustive(集合として網羅的な)の頭文字から作られた言葉です。
簡単にいえば、集合のなかにある要素を漏れなく重複なくすべて考えるということです。
要素をすべて抜き出すことで詳細な情報を手に入れやすくなり、重複せずに行うことで効率化できるでしょう。
具体的な情報が多いほど論理的思考は行いやすくなるため、その点でMECEは役に立つフレームワークといえます。
ピラミッドストラクチャー
ピラミッドストラクチャーとは、結論と根拠を整理する方法の一つです。
結論となる主張や意見を考え、それを支える根拠を階層状に構築していきます。この形がピラミッドに似ていることから、ピラミッドストラクチャーと呼ばれています。
この手法の長所は、結論と根拠のつながりが可視化されるため、それらのつながりが整理しやすいことです。ピラミッドの頂点から下っていくと演繹的な考え方になります。一方、ピラミッドの底辺から登っていくと帰納的な考え方になるでしょう。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、問題をいくつかの要素に分解しながら、ツリー状に書き出していくという方法です。
問題を要素に分けていくため、単純化することができ、その原因や解決策などを発見しやすくなります。
見た目はピラミッドストラクチャー同様、階層構造になりますが、ロジックツリーは主に問題解決のために使われるツールであるという点で違いがあります。
論理的思考力について理解を深めよう
本記事では、論理的思考力と関連する能力、論理的思考力の意義と鍛え方、基盤となる考え方とそれを活かしたフレームワークについて紹介してきました。
文部科学省がこれからの教育課程の理念として掲げている「社会に開かれた教育課程」のなかには、教えられる各科目の内容を単に勉強するだけでなく、必要となる能力を自分で考え、身に付けることが求められています。
論理的思考力は、自分自身で考えたり、出した結論が正しいかどうかを判断したりするときに役立つでしょう。
また、子どもたちが社会人になり、予測できない事態や問題に遭遇した際、その解決策を考えたり、誰かと協力して仕事に取組んだりするときにも有益でしょう。
子どもが学校や今後の社会でさらに活躍できるよう、論理的思考力について理解を深めてはいかがでしょうか。