早期教育のメリットとデメリットは?子どものために注意すべきことも解説
子どもが将来困らないように早期教育を受けさせたいと考える保護者は多いでしょう。この記事では、早期教育の概要や種類、早期教育で得られるメリットやデメリットなどを紹介しています。早期教育について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
「早期教育を取入れることで得られるメリットは?」
「早期教育を取入れることで、子どもに悪影響がおよぶことはないのか?」
「具体的に何をはじめたらいいの?」
早期教育に興味がある方のなかには、このような疑問があるのではないでしょうか。
本記事では、早期教育で得られる効果やメリット、早い時期から教育を取入れることで起こる可能性がある弊害やデメリット、早期教育でやるべきことの具体例などを紹介しています。
この記事を読むことで、早期教育がどのようなものであるか把握できます。また、早期教育を取入れることで起こるメリットとデメリットを事前に把握できるため、自分の子どもに早期教育を取入れても問題ないか判断できるでしょう。
早期教育に興味がある方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
早期教育とは
早期教育とは、小学校入学前の未就学児に対して、スキルや知識を習得することを目的として施される教育のことをさします。読み書きや計算、英会話、スポーツなど早期教育で取入れるものはさまざまです。
子どもの脳は、柔軟で高い吸収力や順応能力を持つといわれています。この段階から、教育を取入れることで高い効果が期待できるため、多くの保護者から注目されています。
早期教育と幼児教育の違いは?
小学校入学前の幼児期に行われる教育に幼児教育がありますが、早期教育とは別物です。
早期教育は、知識やスキルの習得を目的として行われるのに対し、幼児教育は、生きるために必要な社会性や学習の基礎を身に付けることを目的として行われています。
早期教育や幼児教育は、目的に違いがあるということを理解してから、教育を取入れることを検討しましょう。
早期教育でやるべきことの具体例
子どものスキルや知能を伸ばすために、早期教育を取入れたいと考える保護者のなかには、どのような内容に取組めばいいのかわからないという方もいるでしょう。
早期教育には、学習や知育、スポーツなどさまざまな種類があります。ここでは、早期教育でやるべきことの具体例を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
小学校の勉強の先取り
小学校に入学してから勉強するひらがなやカタカナ、漢字の読み書きや、足し算、引き算などの計算を先取りで身に付けます。
未就学児向けの学習教室に通いながら学ぶほか、自宅で通信教育や市販のドリルを利用して学習することも可能です。
英語などの語学学習
英語などの語学学習は、吸収力が高い幼児期が外国語に触れることで、苦手意識が芽生える前に習得できる可能性があるというメリットがあります。
特に、学習指導要領の改訂により2020年から小学校で英語の授業が強化されたことを受けて、早期教育で英語教育を取入れたいと考える家庭が増えているでしょう。
語学学習を早期教育で取入れる具体的な方法としては、未就学児向けの英会話スクールやプリスクール、通信教育、市販の教材を使った自宅学習などがあります。
出典:新学習指導要領全面実施に向けた 小学校外国語に関する取組について|文部科学省初等中等教育局 情報教育・外国語教育課
プログラミング学習
現代社会は、さまざまな分野で通信機能を備えたものとインターネット通信がつながるIoT化が行われ、生産の効率化や今後起こる労働人口の減少に対応しようとしています。
また、新型コロナウイルスの流行を機にICT活用が急速に進められ、デジタル技術を扱えることはあたり前なことになっているでしょう。
教育の現場でも同様にICTを活用した学習が増え、改訂された学習指導要領によりプログラミング教育がはじまっています。
急激に変化する社会に対応できる人材であることは、現代社会を生き抜くために非常に重要で、早期教育でプログラミング学習を取入れたいと考える保護者は多いでしょう。
習い事
5、6歳児の約7割が習い事に「通っている」「通うことを検討中」という調査結果が出ており、早期教育のなかでも習い事は人気です。
運動系の習い事としてはスイミングや体操、武道、ダンスなど、芸術系の習い事としてはピアノ・バイオリン・エレクトーンなどの楽器や、絵画、リトミックなどの種類があります。
*リトミックとは、子どもの心身へ発達を促す音楽教育のことです。
早期教育にはどんな効果やメリットがあるの?
早期教育にはさまざまなメリットがあり、子どもによい効果をもたらす可能性があります。
ここからは、早期教育にはどんな効果やメリットがあるのかを紹介していくため、家庭で取入れる際の参考にしてください。
子どもの基礎学力が付く
小学校に入学すると国語ではひらがな、カタカナ、漢字の読み書きを、算数では足し算や引き算を学びます。
非常に簡単に感じますが、はじめての出来事を経験する1年生にとっては難しい内容と感じてしまうでしょう。1年生の勉強につまずくと、2年生以降の学習にも影響します。
早期教育で小学校の勉強の先取りを行うことで、基礎学力が身に付き、授業にスムーズについていけるでしょう。
子どもの興味が広がる
子どもは好奇心の塊で、思いもよらないものに興味を示します。幼児期に早期教育でさまざまな体験をすることで、きっかけを作ることができるでしょう。
子どもの興味を広げ、将来の選択肢を増やすことにもつながります。
子どもにスキルが身に付く
プログラミングや語学など、子どもに何らかのスキルを身に付けさせたい場合、早期教育は効果を発揮するでしょう。
例えば、英語は大人になってからでも学べますが、音声認識力や記憶力が高い子どものうちからスタートする方が定着しやすいといわれています。語学以外のスキルに関しても、脳が柔軟な子どものうちからスタートすれば定着の度合いが上がるでしょう。
また、長い時間をかけて学ぶことで、より高いスキルを獲得できる可能性もあります。
子どもの自己肯定感が高まる
「できる」という成功体験を繰り返すことで、子どもの自己肯定感を高めることができます。できることが増えていけば子どもの自信につながり、より高い目標や新しいことへ挑戦しようとする積極性が身に付くでしょう。
早期教育を受けさせる場合には、「よくできたね」「頑張ったね」など肯定的な言葉をかけて子どもの自己肯定感が高まるように導くことが大切です。
親子の仲がさらに深まる
保護者が子どもの学びをサポートすることで、ふれあいの時間やコミュニケーションの機会が増え、親子仲によい影響を与えます。
早期教育をご家庭で取入れる場合には、親が子の学びのサポートをしつつ、親子のふれあいやコミュニケーションを楽しめるようにしましょう。
子育ての相談相手が見つかる
子育てなかは忙しく、外に目を向ける余裕がなくなり、ほかの大人とコミュニケーションを取る機会を失い孤立しがちです。
身近な相談相手として家族があげられますが、身近な人だからこそ話せないことがあり、お互い忙しい場合は会話の機会が少なくなる可能性があります。
早期教育の場で先生やほかの保護者に出会うことで、子育ての悩みを相談できる相手が見つかる可能性があります。気軽に相談できる相手が見つかれば、孤独感やストレスが軽減されるでしょう。
早期教育を行う弊害やデメリットはあるの?
早期教育は、子どもや保護者によい効果やメリットをもたらしてくれるものですが、利用の仕方を誤ってしまうことで、弊害やデメリットが起こってしまうこともあります。早期教育は、弊害やデメリットも理解したうえで、利用を検討することが大切でしょう。
ここからは、早期教育を行う弊害やデメリットを紹介していきます。
子どものストレスにつながる可能性がある
早期教育で何を行うかを判断するのは、保護者の場合が多いでしょう。保護者が過度に子どもに期待しすぎたり、あれもこれもと詰め込みすぎることで子どものストレスにつながったりする可能性があります。
精神的に負担が大きくなってしまえば、スキルや知識が身に付かず、勉強嫌いになってしまう恐れもあるでしょう。
早期教育を取入れる場合は、子どもの意思を尊重して、楽しくのびのびと学べるような環境づくりが大切です。
主体性が付きにくいことがある
早期教育では保護者がやることを決めてしまうことが多く、子どもの主体性がつきにくい可能性があります。
また、子どもがやることを決めたとしても、知識やスキルを一方的に教え込むだけの指導法を取る教室やサービスを使えば主体性を奪ってしまうことになるでしょう。
子どもが自ら考え、行動できる環境を整えることが大切です。
費用がかかる
早期教育を取入れる場合、費用負担が重くなる可能性があります。
文部科学省の令和3年度「子どもの学習費調査の結果」によると、幼稚園から高校までの15年間の学費は、すべて公立に通った場合で約574万円、すべて私立に通った場合には約1,838万円になるという結果が出ています。
また、日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によると、高校卒業後、大学に進学すると上記の学費に加え、国公立大学に通うと約481万円、私立大学(理系)に通うと約821万円の費用が必要です。
早期教育にかけることができる金額は、家庭によって変わります。幼稚園から大学まで進学させることを想定している場合は、早期教育にいくらかけるのか検討しましょう。
出典:令和3年度子どもの学習費調査の結果を公表します|文部科学省
出典:子ども1人あたりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~|日本政策金融公庫
早期教育に意味はないの?
就学前の幼児期は心身ともに大きな成長を遂げる時期であり、情緒の形成や知的発達、社会性の育成に重要な期間です。
ある研究機関の結果によると、幼児期に質の高い教育を受けさせることで、学業成績が上がる・優れた社会性が身に付く・将来の所得向上などの肯定的な効果が得られることがわかっています。
早期教育を受けることで、目に見える効果がすぐに現れるわけではないため、意味がないのではと不安になることもあるでしょう。
早期教育は将来にわたり効果を示すものであり、意味のないものではありません。将来に役立つ力を培うということを意識して、目先の結果ではなく長い目で見ていくことが大切です。
早期教育を行うときに注意すべきポイント
早期教育を行う場合、メリットやデメリットだけでなく注意点があります。
最後に、早期教育を行うときに注意すべきポイントを紹介していきます。注意点を理解して、早期教育の効果が最大限に発揮されるように、子どもをサポートしましょう。
ほかの子と比較しない
子どもによって得意とすることは異なり、スキルや知識を習得するスピードもまちまちです。全員が同じようなことをしても能力の出方には差が出るため、比べることに意味はないでしょう。
ほかの子と比較してプレッシャーをかけしまえば、子どもがやる気を失ったり、勉強嫌いになってしまったりする危険性もあります。
「よそはよそ、うちはうち」と考え、子どもに合わせたペースで学べるようにしましょう。
子どもが自由な時間を作る
幼児は、ほかの子とかかわることで社会性を構築し、自由に絵を描いたり工作したりすることで創造力や思考力を身に付けていきます。幼児にとって遊びは貴重な学習の場です。
早期教育に力を入れるあまり、遊びの時間を確保できないというような事態にならないようにしましょう。
子どもの意思を尊重しよう
早期教育を受けさせることで、将来役立つスキルや知識を身に付けることができるでしょう。その反面、気を付けた方がいいデメリットや注意点があるため、注意が必要です。
また、大学までの進学を考えている場合は、幼児教育の費用について計画を立て、無理のない範囲で教育をするのがおすすめです。
最後に、早期教育を受けさせる場合には、子どもの意思を尊重して、それぞれに合わせたペースで進めるようにしましょう。