高校の金融教育ではどんなことを学ぶ?義務化された理由についても解説

高校で金融教育が義務化されましたが、ご存じでしょうか。この記事では義務化の理由や金融教育の内容、教科別のポイントなどを紹介しています。高校生が金融教育をする必要があるのはなぜか知りたい方、どのような教育をするのか知りたい方はぜひこちらをご覧ください。

「高校で金融教育が義務化されたのはなぜ?」
「高校生が金融教育で何を学ぶの?必要なこと?」
このように、高校での金融教育義務化について疑問や不安がある方もいるのではないでしょうか。

この記事では、高校生に対して金融教育が義務化された理由や内容を紹介します。どうして高校での金融教育が義務とされるのか、その理由がわかるでしょう。実際にどのような教育が行われるのか、その内容も知ることができます。

また、高校での金融教育の教科別のポイントについても紹介しています。高校生が金融教育を受ける際に、どのようなことに気をつければいいのかわかるようになるでしょう。

高校での金融教育の義務化は、これまでにない試みです。そのため、わからないことや知りたいことがある場合は、ぜひこちらをチェックしてみてください。

高校生の金融教育とは

高校生の「金融教育」とは、お金を通じて生活や社会について考え、よい社会を作っていくために必要な知識や判断力などを身に付けるための教育です。金融教育は、生きていくためにはお金に対して正しい知識や、判断力が求められるということで始まりました。

高校生に対しては、「高校学習指導要領改訂」により、2022年度から金融教育が始められています。

出典:高校向け 金融経済教育指導教材の公表について|金融庁

そもそも金融教育の定義とは

金融教育の定義とは、お金や金融がどのような働きをしているのか理解し、自分の生活や社会について考えることです。また自分自身を磨いて、よりよい生活・社会づくりを主体的に行えるように養うことも目的としています。

この定義は、「金融広報中央委員会」によるものです。金融広報中央委員会は政府や日本銀行などと協力し、中立かつ公正な立場で、金融に関して活動を行っている委員会です。

出典:金融広報中央委員会とは・・・|金融広報中央委員会

高等教育における金融教育の重要性

高校卒業後は、自分の判断でお金や金融について判断することが増えるため、その前に金融教育をすることが重要と考えられています。

高等教育を受けている間は、基本的に社会に出ることはなく、親もとにいる状態です。親がいるため、自らお金のことで重要な判断をするような機会はあまりないでしょう。

しかし高等教育を終えれば親元を離れ、1人暮らしをする人が増えるため、その前に教育することが重要です。

高校で金融教育が義務化された理由

高等教育での金融教育の義務化は、成年年齢が18歳になったことが影響しているでしょう。「民法第四条」の改正により、2022年4月1日以降、成年年齢が18歳へと引き下げられました。

18歳で成年と見なされるようになったことで、金融商品のなかには18歳から対象になるものが出てきています。また一部の金融機関では、クレジットカードの発行も、18歳で本人の意思があれば行えるようになりました。

これまでよりも早く、金融商品やクレジットカードに触れる機会が訪れることが、金融教育の義務化につながったのでしょう。

出典:民法|e-gov法令検索サイト

出典:民法(成年年齢関係)改正 Q&A|法務省

金融トラブル防止のため

金融トラブルに巻き込まれないようにするためにも、高校での金融教育は必要だと考えられています。

成年年齢の引き下げにより、現在の高校生は金融に関するさまざまなことが行えるようになりました。

成年になる前の段階では、金融商品の対象にはならず、また自分だけでクレジットカードを作るようなこともありません。

しかし成年になれば、それらを本人の意思で行えるようになります。それと同時に、詐欺や金融トラブルに巻き込まれる可能性も増えるのです。

資産運用の重要性が増したため

高校生の金融教育が実施される背景には、将来に向けて資金を用意する必要ができ、資産運用の重要性が増したことが理由にあります。

日本には少子高齢化の問題があることは、多くの方がご存じでしょう。この問題により、現在若い人が老後を迎えたとき、年金だけで生活を維持するのは難しいと考えられています。預貯金についても、低金利であるためあまり増加は望めないでしょう。

高校の金融教育では、資産運用について長期的かつ全体的な視点で学ぶことになっています。そのため、将来の資産形成に向けて、必要な知識を得られるでしょう。

海外と比較して金融教育が遅れているため

日本は海外と比較して金融教育が遅れているため、その遅れを取り戻すことも、義務化の理由の1つになっています。

たとえばアメリカでは、地域や学校によって金融経済教育が行われています。クレジットシステムが広く使われているため、金銭管理についての学習は欠かせないものとなってきました。イギリスでも金融能力を育成するためのガイドラインがあり、教科横断型の科目を導入しています。

出典:高校で義務化された金融教育とは?学習内容や重要性まで徹底解説|四国銀行

高校の金融教育で学ぶ内容

実際に高校では、金融教育をどのように教えるのでしょうか。金融庁では金融教育の義務化を受けて、中学生や高校生向けに、教育ガイドや教材、講座などの紹介を行っています。

ここからは高校の金融教育のカリキュラムについて、金融庁の「高校向け 金融経済教育指導教材の公表について」を参考に紹介します。

出典:高校向け 金融経済教育指導教材の公表について|金融庁

お金の使い方

お金を「使う」とはどういうことなのか、ほしいものと必要なもの、家計管理やキャッシュレスなどについて学びます。

お金を使うとき、それはただほしいものなのか、それとも必要なものなのかを考えるようにします。家計管理で学ぶのは、収入から支出して残ったものを貯蓄に回すのではなく、収入から貯蓄を引いてそこから支出するという形です。

また、現在はキャッシュ(現金)を直接使わないキャッシュレスへ移行しています。キャッシュレスのメリットを知ると同時に、注意点についても把握するよう学んでいきます。

出典:第2章:「使う」|金融庁

家計管理・ライフプランニング

働いて収入を得ることや必要な支出の管理のほか、貯蓄管理や給与明細の見方などについて学びます。家計管理シミュレーターを実施し、生涯の収入や支出について考えるだけでなく、ライフプランニングの描き方についても学ぶことになるでしょう。

1人暮らしをするにあたって必要となる費用はどの程度か、それを補うにはどの程度の収入が必要か、貯蓄はどうするのか学びます。給与明細どおりに給与がもらえる訳ではないため、手取り額の把握の仕方についても学びます。

家計管理やライフプランニングを通して、実際の自分の将来について考えることが必要になるでしょう。

出典:第1章:家計管理とライフプランニング|金融庁

社会保険と民間保険

日常生活を送るにあたってどのようなリスクがあるのか、備える方法にはどのようなものがあるのか学びます。保険とはどういうものなのか、仕組みや、社会保険と民間保険の違いについても学ぶことができます。

高校生では、保険といわれてもピンと来ない生徒が多いでしょう。実際にどのような保険があるのか、そもそも日常でどのようなリスクにさらされる可能性があるのかを学びます。

日本には社会保険もあるため、民間保険との違いも押さえておく必要があるでしょう。

出典:第3章:「備える」|金融庁

資産形成

実際にどのようにして資産を増やしたり、貯めたりするのかといった方法について学びます。利子や金利についても知るとともに、金融商品のリスクやリターンの知識も得ることができるでしょう。

お金を借りるとき、預けるときに金利はどちらがより得なのかといったことを学びます。また単利だけでなく複利もあるため注意が必要なことや、金利の推移に気をつける必要性についてもわかるようになるでしょう。

*1単利とは、利息を計算する方法の一つで、最初の元金だけを対象とし、利息を計算する方法です。

*2複利とは、利息が元本(元のお金)に組込まれ、それが次の利息を計算するにあたって使用される元本となることです。

金融商品はさまざまな種類があるため、収益性はどうなのか、安全性や流動性といった特徴での見方も学びます。

出典:第4章:「貯める・増やす」|金融庁

消費生活・金融トラブル

実際の消費生活において、発生する可能性のある金融トラブルの具体的な例や、相談窓口などについて学びます。金融トラブルを避けるための方法や、もし遭ってしまった際の対処方法の知識が得られるでしょう。

消費生活を送るなかで、金融トラブルに巻き込まれることがあります。しかしどのようなトラブルがあるのか、高校生ではわからない場合が多いでしょう。そのため実際にどのような金融トラブルがあったのか、具体例をもとに学んでいきます。

金融トラブルに遭わないためにはどうすればいいのか、また遭ったときの対処方法もわかるため、将来役立つでしょう。

出典:第6章:「金融トラブル」|金融庁

ローン

お金を「借りる」こと、その際に知っておくべきことを学びます。クレジットカードや、クレジットカードの後払いについての知識も学ぶでしょう。

クレジットカードを使った後払いでは、返済の必要性や金利にも気を付けなければならないことなどを学びます。ほかにも奨学金について、大学で必要となる費用や奨学金の借り方、返済の知識も得られます。

お金を借りる際、何も考えずに借りるのではなく、将来の返済額を考えることの大切さがわかるようになるでしょう。

出典:第5章:「借りる」|金融庁

高校の金融教育の教科別のポイント

高校での金融教育には、教科別に身に付けるポイントがあります。ここからは、公民科や家庭科の授業で高校生にどのようなことが求められているのか紹介します。実際に金融教育の授業を受けるにあたっては、これらのポイントを押さえておきましょう。

公民科における金融教育のポイント

現代の経済での、金融の意義や役割を理解することが求められます。

たとえば貯蓄や民間保険では、自助と共助、公助のバランスについて考えなければなりません。また多角的かつ多面的に考え、構想したことを表現できるようになる必要もあります。

金融市場はどうなっているのか、銀行や証券会社、保険会社などの役割についての理解も必要です。仮想通貨や金融商品を使った資産運用も、具体的に考えられるようになるでしょう。

出典:茨城県・「教員セミナー」「新学習指導要領の金融教育」|日本銀行

家庭科における金融教育のポイント

家庭科における金融教育は、「家庭基礎」と「家庭総合」にわかれます。

家庭基礎では家計管理で必要な資金を考え、保険の知識も深めることが求められます。社会保障制度の内容を押さえた上で、株式をはじめとした金融商品や資産形成について、生涯を見通して検討できるようになる必要があるでしょう。

家庭総合においては、金融商品は損得だけでなく将来の生活や、地域・社会に還元されるものもあることを学びます。経済と社会との関わりへの理解が必要になるでしょう。

出典:茨城県・「教員セミナー」「新学習指導要領の金融教育」|日本銀行

高校の金融教育はとても重要になってきている

成年年齢が引き下げられたことにより、社会に出る前の、高校での金融教育はとても重要になりました。将来への資産形成、また金融トラブルに巻き込まれないために、高校生のうちにしっかり知識を蓄えておく必要があります。

金融教育の義務化に不安がある場合は、「comotto」のサービスである「comottoウォレット」の利用がおすすめです。

「comottoウォレット」は、おうちで気軽にお金のはたらきを学べるアプリです。ご家庭でのお手伝いやおこづかい管理を通じて、お金の教育をはじめることができます。

詳細や利用条件等は下記リンク先よりご確認ください。

出典:comottoウォレット|comotto

【金融教育】義務化された理由とは?日本の現状や学習内容を解説

【金融教育】義務化された理由とは?日本の現状や学習内容を解説

金融教育 2024.03.25