【ほったらかしとは違う】放任主義の子育て実践方法をご紹介!
みなさんは、「放任主義」という教育方針をご存知でしょうか。この記事では放任主義とネグレクトの違いをはじめ、放任主義のメリットやデメリット、実際に行うためのポイントなどをまとめています。子どもの自主性を重視した教育をお考えの方は、ぜひこちらをご一読ください。
「ほったらかしにして育てるのが放任主義なの?」
「放任主義で子育てしたら、何かよいことがあるの?」
このように、放任主義についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「放任主義」という教育方針と、ネグレクト(ほったらかし)との違いについて紹介しています。この記事を読めば、子育てにおける放任主義の内容が理解できるため、虐待とは違うことがわかるでしょう。
また、放任主義で子育てするメリットやデメリット、親が心がけておくことなども紹介しているため、さまざまな側面を理解した上で、放任主義を実行するかどうかの判断基準にできます。
子育ての放任主義について詳しく知りたい方や、取組み方を知りたい方は、ぜひこちらをチェックしてみてください。
「放任主義」とは
一般的に、「放任主義」とは、親が指示して子どもにやらせるのではなく、子ども自身に考え、選ばせる教育方針をさします。
ただし、放任主義が成り立つのは、子どもが親の愛情を感じ、お互いに信頼し合っている場合が多いです。親子に愛情も信頼もなければ、子どもはあんしんして選択したり、思ったとおりに行動したりすることはできません。
ここでは、子育ての3つのタイプを紹介します。
放任型
「放任型」は、親が決めるべきところは決め、それ以外は子どもの考えや選択に任せる子育てです。
放任型の子育ての特徴は、親子の信頼関係が構築されていることと、子どもが社会のルールを理解していることです。
親が子どもを信じて見守ることで、子どもは親からの愛情や信頼を感じとり、自分の意思で行動するようになるでしょう。
その結果、自分が決めたことに対して、責任と意欲を持って取組む姿勢が身に付きます。
放置型
「放置型」とは、親が子どもを教育しないことで、子どもが自分だけの意思や選択で動くようになるタイプの子育てです。
親の子どもに対する関心が低かったり、子育ての知識が不足していたりする場合に、放置型になってしまう可能性があります。
放置型で育てられた子どもは、親子の愛情や信頼を感じておらず、社会のルールを理解しきれていないまま成長する傾向があります。そのため、周囲とトラブルを起こしやすく、集団のなかで行動することも苦手な傾向があります。
過管理型
「過管理型」とは、子どもの意思で行動や選択することを許さず、親の思いどおりに動かそうと管理してしまうタイプの子育てです。
親のなかに理想があるため、親の理想に向かって子どもの行動をコントロールしようとします。過管理型で育てられていた子どもは、人生の選択を親に決められることに慣れてしまい、自分の意思では動けなくなってしまう可能性があるでしょう。
親と共依存になってしまうと、大人になっても親から自立することができません。
「放任主義」と「ネグレクト(ほったらかし)」の違い
「ネグレクト」とは、子どもや高齢者に対する保護や養育の義務を放棄し、放任することを表す言葉です。
子育てにおいては、親が子どもに愛情を注がず、生活して行くために必要な基本ルールさえ教えていないような場合に使われます。
一方の「放任主義」は、親子間の愛情や信頼があって成り立っている関係で使われる言葉です。
放任主義の親は、子どもの保護や養育義務を果たしており、教えるべきことはきちんと教え、叱るべきときはきちんと叱るため、この二つは全く違うといえるでしょう。
子どもの自主性を尊重することと、子どもに無関心になり放置することとは、根本的に違います。
放任主義で子育てを行うメリット
親が子どもの選択や行動を見守り、子どもが助けを求める場合のみ手を出すのが、放任主義の子育ての特徴です。
その結果、子どもの自主性が育ち、自分の意思でものごとを決められるようになる点は、大きなメリットといえるでしょう。
ここからは、放任主義で子育てすることのメリットを4つ紹介します。
自発的に行動できる人に育つ
社会に出れば、自分で判断して動くことを求められる場面の方が多くなるでしょう。
放任主義で育てられた子どもは、小さな頃から自分の意思でものごとを決める経験を積んできているため、大人になっても自発的な行動ができます。
教師や上司の指示がなくても、自分が必要と判断したことであれば、実行できるだけの力が身に付いているでしょう。
自分の世界観を持つ人に育つ
自分の世界観を大切にしており、他人を気にして自分と比較したり、自己肯定感を下げたりするようなこともありません。
その結果、何ごとに対してもポジティブに、自信を持って取組める人になります。
好奇心に溢れた人に育つ
放任主義の子育ての場合、子どもが親の目を気にせずに行動できます。
何をするにもある程度は自由であるため、さまざまなことに自分から興味を持ち、好奇心の強い子どもになるでしょう。
人の意見も尊重できる人に育つ
放任主義で育った子どもは、親に自分の意思や選択を尊重されて育つため、自然に他人の意見や選択を尊重できるようになります。
自分の親にならい、子ども自身も他人の意見を認めて尊重するため、嫉妬したり、意地悪したりするようなことはしないでしょう。
他人に嫉妬や意地悪をしない人に育つ
放任主義で育った子どもは、自分の意思や選択を大切にする価値観が身に付いています。周囲に優秀な人がいたとしても、その人と自分の違いをポジティブに受け止められるため、嫉妬や意地悪はしないでしょう。
自分の意見と違う人がいたとしても、そのことを認めた上で、相手を尊重するようになります。
放任主義で子育てを行った際のデメリット
放任主義にはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。
周囲が放任主義についてあまり理解していない場合や、子どもへのサポートが必要になった場合を想定して、対処法を用意することをおすすめします。
放任主義での子育てを検討する際は、メリットとともに、デメリットについても押さえることが大切です。放任主義でも、子どもに教えておく必要がある事柄については、しっかり把握しておきましょう。
愛情不足と誤解されることがある
子どもの意思や選択を尊重している教育方針は、「子どもに対する無関心」や「愛情不足」と誤解される可能性があります。
実際の放任主義の子育ては、家庭で親子の信頼関係を築いたり、社会のルールを教えたりしています。しかし、外からは家庭のなかのことが見えないため、そのような誤解を受けるケースは多いでしょう。
また子ども自身が、ほかの家庭で親が口出ししている様子を見て、「自分は愛されていない」と誤解してしまう可能性もあります。
大人になってから社会とのギャップに戸惑うこともある
放任主義で育てられた子どもは、大人になってから、自分と社会との間にギャップを感じることがあります。
社会にはさまざまなルールがあるため、これまでのように自分の意思や選択で動けないことで、ストレスを感じる可能性もあるでしょう。
しかし、放任主義は「ルールを守らなくてもよい」ということではありません。自由に過ごすためには、守らなければならないルールがあることを、親子で話し合っておきましょう。
自主性を尊重するといいながら叱る必要もある
放任主義でも、社会のルールを逸脱する行動や、他人に迷惑をかけるような行動をした場合は、子どもを叱る必要があります。
たとえば、ほかの子どもの悪口をいったり、暴力をふるったり、持ち物を盗ったりした場合は、きちんと叱りましょう。危険なもので遊んだり、危険な場所に近づいたりすることも、止める必要があります。
子どもの自主性を尊重するといっても、叱るときは叱らなければ、放任主義ではなく「ほったらかし」になってしまいます。
信頼関係の構築、失敗のフォローが課題となる
放任主義の子育てで大切なことは、子どもとの信頼関係を構築することと、子どもが失敗した際にフォローできる準備をしておくことです。
信頼関係ができていないと、口出ししてこない親に対して、子どもが不安に思う可能性があるでしょう。
また、子どもが失敗したとき、迅速にフォローできなければ、親子の信頼関係が損なわれてしまいます。何かあったときは親を頼るように子どもに伝え、適切にフォローすることが大切です。
放任主義の子育てでは、ネグレクトする親と勘違いされないように、これらのことを心がけておく必要があります。
放任主義の子育てを行うために親が心がけること
放任主義で子育てするには、子どもが自分で考えたり、自分の意志で選んだりできる環境作りが重要になります。
子どものお手本になるように、親が自分の意思で行動する姿を見せましょう。子どもへの口出しは、社会のルールやあんぜんに関することにとどめ、必要以上に口をはさまない自制心が必要です。
子どもを信頼して見守るスタンスを大切にし、たとえ正解や最適解を選んでいなくても、危険がなければ口を出さないように心がけましょう。
ネグレストの子育てをする親の特徴とは
ネグレクトをしてしまう親は、子どもよりも自分のことを優先する傾向があります。子どもにも無関心で、自分の気持ちが向いたときだけ相手をするでしょう。すべてが親の都合で行われるため、子どもの生活や教育を大切に思ってはいません。
ネグレクトする親は、目的のために放任しているのではなく、親の都合を最優先した結果、放置になったという特徴があります。
放任主義で子育てをするための考え
子どもが、親は自分に無関心だと誤解してしまわないように、口出しすべきときは口を出し、教えるべきことは教えておく必要があります。
放任主義になっても問題ないよう、しっかり子どもと関係を築いて、環境を作っておきましょう。
危険・迷惑に関することについては叱る
「放任主義」は、すべての責任を放棄することではありません。子どもが、危険なことをしたり、他人に迷惑をかけたりした場合は、きちんと叱るようにしましょう。
叱るときは、頭ごなしに叱るのではなく、まず子どもの話を聞くことが大切です。なぜそのような行動をとってしまったのかを聞いてから、叱る理由を伝えましょう。
そのようにすることで、子ども自身がしてはいけないことを理解し、同じような場面に直面したときに、自分で考えられるようになります。
社会ルールは最低限について教える
子どもの意思を尊重する前に、守らなければならない社会ルールがあることを教えておきましょう。
子どもに社会ルールを教えるのは、親の役目です。社会ルールは、行動を縛るものではありますが、人があんしんして暮らすために必要なことでもあります。
自由に考えたり行動したりするためには、決められたルールをしっかり守る必要があることを教えましょう。
自然にあいさつができるように教える
家庭のなかでの生活や、家の外での人づきあいにおいて、あいさつは大切です。さまざまな場面でのあいさつを教えておきましょう。
「おはよう」・「こんにちは」・「さようなら」・「いただきます」・「ごちそうさま」などは基本のあいさつです。何かしてもらったら、「ありがとう」と感謝の言葉を伝えることも、大切なことです。
あいさつや感謝の言葉を日常的に使えるように、親子で実践しておきましょう。
親子で信頼できるよう関係を築く
放任主義に必要なのは、子どもが間違った選択をしていても見守る姿勢です。失敗することがわかっていても、親が口を出すことは避けるのが、放任主義の大きな特徴といえるでしょう。
もし子どもが失敗したときは、なぜ失敗したのか一緒に考えます。親がフォローすることで子どもは親の愛情を感じ、信頼関係を築いて行けるでしょう。
たとえ失敗したとしても、子どもを信じられるような関係が理想です。
自信を持って子育てをする
放任主義の子育てでは、親が自分たちの子育てに自信を持つことが大切です。
親に自信がなく、不安に思っていると、それが子どもにも伝わってしまいます。子どもを不安にさせないためにも、親が自信を持って、放任主義の子育てをして行きましょう。
放任主義を実現するための5つのポイント
「放任主義」は、子どもをほったらかしているように誤解されることがありますが、そのような場合は、以下に挙げる項目を確認してみましょう。
いくら子どもの自主性を育てるといっても、生活習慣や基本的なことができていなければ、放任主義の成功とはいえないでしょう。
あんしんして子育てできるよう、以下に挙げるポイントを参考にしてください。
規則正しい生活をする
「放任主義」は、子どもを好きな時間に行動をさせるわけではありません。子どもが健康的な生活を送れるように、規則正しい生活をさせる必要があります。
もし子どもが夜更かししたり、好き嫌いで偏食したりする場合は対応します。将来、生きていくために必要な知識として、親子で健康的な生活習慣を身に付けましょう。
基本的なやり方を教える
たとえば、単に紙や鉛筆、ハサミなどを渡すだけでは、子どもはどう使ってよいのかわかりません。どのように使えばよいのか、親が基本的な使い方を教えてあげましょう。
やり方さえわかれば、子どもは自由にそれらを使って遊んだり、工作したりするようになります。
理由を説明して叱る
子どもを叱るときは、理由をきちんと説明することが大切です。
何も説明せず、ただ叱るだけでは、子どもは叱られた理由がわからないため、同じことを繰り返す可能性があります。
親が叱った理由を伝え、子どもがそれを理解できれば、今後はそのような行動をしないように気をつけるでしょう。
子どもの話をしっかり聞く
子どもが話しかけてきたときは、しっかり子どもの話を聞きましょう。
子どもの話を聞くときは、内容を一度は受け止めましょう。親が子どもの話を受け入れることで、子どもはあんしんし、さらに自由に考えたり、判断したりできるようになるでしょう。
親が質問をして会話を広げるのも効果的です。問いかけをきっかけに、子どもは自分がした行動について考えるため、自ら考える力を伸ばしていけます。
子どもの助けに応じて全力でサポートする
ただし、親がすべて解決することは避けましょう。子どもと一緒に、どこに問題があるのか考え、解決策に導く手助けをすることが大切です。
子どもが困っているときに、一人で悩まないで済むようにサポートしましょう。
放任主義についての理解を深めよう
放任主義の子育てのメリットは、子どもの自主性や好奇心が育まれ、他人の意見を尊重できる人に育つという点でしょう。
ただし、これは親子でしっかりと信頼関係を築いた上で、子どもの意思や判断を尊重する姿勢ができていることが前提です。
子どもが求めるときには適切にサポートする必要があるため、その準備がなければ、ネグレクトやほったらかしと誤解されてしまうでしょう。
放任主義を検討する際は、メリットとデメリットの両面を考えることが大切です。子どもの自主性を伸ばす子育てに興味がある方は、ぜひ本記事を参考に、放任主義についての理解を深めてみてはいかがでしょうか。