子どもの学習障害(LD)とは?小学生のうちに確認できる特徴やおすすめの教材をご紹介

子どもの学習障害(LD)とは?小学生のうちに確認できる特徴やおすすめの教材をご紹介

学習障害とはどんな障害で、どう対応すればよいのかをご存じでしょうか。本記事では、学習障害の概要や特徴だけではなく、学習障害の子どもに対してできることもご紹介しています。子どもの学習状況や行動に不安がある方はぜひ参考にしてみてください。

「学習障害とはどんな特徴があるの?」
 「勉強が苦手な子どもと学習障害の子どもの違いは?」
 「学習障害がある子どもにはどう接したらよいの?」

 このように学習障害について疑問や不明点がある方もいるのではないでしょうか。

この記事では、学習障害の具体的な特徴やその原因、学習障害かどうかを確認する方法について紹介しています。記事を読むことで学習障害とはどんな障害なのかを理解することができるでしょう。

また、学習障害の子どもが勉強をする際に保護者ができることや、学校と保護者が連携の上でできることを紹介しています。

子どもの学習障害について理解を深めておきたい方や、不安をお持ちの方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

【文部科学省の定義】学習障害(LD)とは

文部科学省は学習障害(LD)を以下のように定義しています。

学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、さまざまな困難に直面している状態をいいます。

つまり、学習障害とは知的な障害のことではなく、学習する際に必要な能力が欠如していることで、困難が生じる障害のことです。学習障害は「Learning Disorder(LD)」と呼ばれる場合もあります。

医学的定義では、読むこと、書くこと、計算することに困難がある場合をさし、教育学定義では医学的定義に加えて、聞くこと、話すこと、推論することに困難がある場合もさします。

出典:(8)学習障害|文部科学省

出典:学習障害(限局性学習症) | e-ヘルスネット(厚生労働省)

通級による指導の方針

ここでいう「通級」とは通常学級のことです。通常学級では、子ども一人ひとりの状態や障害の程度など教育ニーズに合わせた教育的対応をとっています。

通常学級での教育では、学習障害を持つ児童・生徒がその困難を主体的に改善、克服することをめざしています。そのために行われているのが、学習障害の内容や程度に応じた自立活動の指導です。

また、通常学級では、学級や学年など集団での学習が基本となっているため、学習障害のある児童・生徒に対しては個別で支援をしています。たとえば、文章を目で追って音読することに困難がある生徒の場合は、拡大したコピーを用意するなどです。

出典:通級による指導|文部科学省

学習障害の原因

学習障害の原因は「中枢神経系の機能障害」だとされています。五感や精神にかかわる障害の状態や、家庭、学校などの環境的な要因が直接の原因とされていませんが、そうした状態や要因とともに生じる可能性はあります。

しかし、具体的に中枢神経系のどの部分に機能障害があることで学習障害につながっているのかは、医学的には明らかになっていません。

出典:2 学習障害の定義について|文部科学省

学習障害の特徴

学習障害の主な特徴は、学習をする上で必要な聞くこと、話すこと、読むこと、書くこと、計算すること、推論することなどの基礎的な能力において、1つもしくは複数の困難があることです。

これらの基礎的な学習能力は限定されており、運動・動作能力や社会適合能力などの欠如だけでは学習障害とは認定されません。

出典:1 学習障害の特徴|文部科学省

また、学習障害は、単一の要因ではなく、遺伝的要因や、早産や低体重児出生などの環境要因などの複数の要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。遺伝的な要因に関しては、さまざまな研究結果がありますが、まだ解明されていない部分も多いようです。

出典:国立保健医療科学院

勉強ができない子どもは学習障害(LD)なのか

「勉強ができない」という状態には、学習障害(LD)以外にも様々な原因が考えられます。たとえば、下記のようなケースです。

・学校の授業内容や学習方法などが合っていないなどの環境的な要因
・睡眠不足で勉強に集中できない、視力や聴力の問題で学校の授業内容が理解できないなどの身体的な要因
・勉強のモチベーションが低下して、学習意欲が湧かないなどの心理的な要因

学習障害(LD)かどうかを判断するには、専門家による評価が必要です。「勉強ができない」という理由だけで、お子さまを学習障害(LD)と決めつけることは避けましょう。まずは、お子さまの状況を客観的に把握し、専門家の意見を聞くことが大切です。

【4パターン】小学生の時点で確認できる学習障害の特徴

学習障害の特徴は、小学生の時点でも確認することができます。子どもが学習障害であるかどうかは早めに確認した上で対応できることが望ましいでしょう。

小学生の時点で確認できる4つの特徴を紹介します。

  • 会話のときに確認できる特徴
  • 算数のときに確認できる特徴
  • 国語のときに確認できる特徴
  • 運動のときに確認できる特徴

会話のときに確認できる特徴

会話のときは、聞くことと話すことが必要です。学習障害がある子どもは「聞くこと」や「話すこと」に困難がある場合が多いです。

たとえば、集団になると会話がしにくい、相手の話している内容が理解できない、会話した内容をすぐに忘れる、話したいことだけを話している、などがあります。これらの場合、人とのコミュニケーションに困ってしまうため、改善が必要になります。

算数のときに確認できる特徴

算数に取組む際には、「読む」「書く」「計算する」能力が必要です。これらの能力に困難を抱えている場合、学習障害である可能性があります。

暗算ができない、繰り上がりや繰り下がりが理解できない、九九は暗記できるが計算に応用できないなどの特徴がある場合が、算数のときに確認できる特徴の例です。また、算数に多い応用問題や証明問題に対応できないこともあるため、子どもの様子をよく確認しましょう。

国語のときに確認できる特徴

国語では、「聞く」「話す」「書く」「推論する」能力が必要です。基本的な能力に困難がある場合、1つの能力だけに困難が生じる場合もあれば、複数の能力で困難が生じる場合もあります。

国語では、音読の際に行を読み飛ばす、文末を自分で変えて読む、読めるが意味は理解できない、文章のルールが理解できず正しく書けないなどの特徴があります。

運動のときに確認できる特徴

学習障害は運動面での障害は含まれません。しかし、学習障害には自分の頭で理解して体を動かすことに困難がある場合も含まれるため、子どもの運動の様子にも注意が必要です。

たとえば、集団・団体での競技が苦手、動作を素早くすることができない、書道や図画工作などが著しく苦手などの特徴があります。机に向かう勉強だけではなく、子どもの行動や動きにも注意を払うとよいでしょう。

出典:1 学習障害の特徴|文部科学省

【パターン別】学習障害のある子どもとの接し方

学習障害がある子どもには、その子に合った接し方をする必要があります。学習障害が改善するまでは、勉強方法を変えてあげることも必要でしょう。

ここからはパターン別で学習障害のある子どもとの接し方について紹介します。

算数が苦手なパターン

算数が苦手な子どもの場合、日常生活で数字にふれることやオリジナルの方法で学習を進めることがおすすめです。

たとえば、スーパーで野菜の数を数える、支払った金額とおつりの関係について考えるなどの方法があります。日常生活のなかで数字や算数に結び付く内容にふれることで、算数を理解する第一歩になるでしょう。

また、九九などのように暗記が必要な場合は、一般的な覚え方ではなく、子どもが覚えやすい方法を探すようにしましょう。九九は決まった唱え方をする必要はなく、「ろくはちしじゅうに」などの読み方で覚えることがおすすめです。

読むことが苦手なパターン

読むことが苦手な場合、文章を区切って読ませる方法がおすすめです。

たとえば、文章にマーカーを引いて区切る方法や、紙を使って隠しながら読む方法があります。これらの方法で文章を読むことで、読み飛ばしや、たどたどしい音読を解消することができる可能性があります。

また、読書をする際には、活字の書籍を選ぶのではなく絵本にするなどの工夫も有効です。子どもが学びやすい方法で勉強できるようにしましょう。

書くことが苦手なパターン

文字を書くことが苦手な場合、無地のノートではなく、大きめのマスで十字の補助線があるノートを使うようにしましょう。文字のパーツがとらえやすく、バランスもとりやすくなります。

子どもが書きやすい方法を探してあげるとよいでしょう。

また、文字を書く際には文字の意味も理解している必要があります。漢字の練習をする際には意味がわかることを最優先に取組むとよいでしょう。

学習障害の子どもにおすすめな教材

学習障害のある子どもが、学習障害の程度や内容に合わせて学習を進める際には、デジタル教材を活用することがおすすめです。

タブレットなどを用いた学習では、子どもの苦手なことに合わせて学習を進めることができます。たとえば、読むことが苦手な場合にはタブレットの読み上げ機能を活用するなどができます。

「dキッズ」は、子どものデジタル時間が”学べる・遊べる・夢中になれる”時間になるように設計された知育アプリです。豊富なジャンルで、実績のあるコンテンツを、人気キャラクターと楽しく学べます。

詳細や利用条件等は下記リンク先よりご確認ください。

出典:dキッズ|comotto

学習障害の生徒にできる学習方法以外の工夫

子どもに学習障害がある場合は、学校に合理的配慮の相談をしてみるとよいでしょう。合理的配慮とは、子どもに障害がある場合に、学校教育を受ける上で個別に必要とされるものです。

具体的には、プリントの文字を大きくしてもらう、別室でのテスト実施、デジタル教材の活用などの方法があります。また、相談や休憩しやすい環境の構築なども含まれるため、学校とよく相談してみるとよいでしょう。

出典:② 合理的配慮の定義等 |文部科学省

学習障害についての理解を深めましょう

ここまで学習障害の概要やその原因、特徴、できる支援について紹介しました。

学習障害は子どもによって特徴や程度が異なるため、個別での対応が必要です。子どもができないことを見極め、保護者がサポートすることが大切でしょう。この記事で紹介した内容をぜひ、参考にしてみてください。

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子育ての悩み 2024.02.27