フリースクールとは民間の教育機関!学校との違いや8つのタイプ・選ぶ時のポイントを解説
要やタイプ、選ぶ際のポイントなどについて紹介しています。フリースクールの活用を検討している方は、ぜひ、この記事を参考にしてください。
「不登校になった子どもが、昼間にあんしんして過ごせる場所を探している。」
「フリースクールってどんなところ?」
「フリースクールと普通の学校の違いは?」
何らかの事情によって、学校に行くことが難しくなった子どもたちが過ごすフリースクールについて、このような疑問や不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、フリースクールと学校の違いや入学条件、タイプ、通うメリット・デメリットなどを紹介しています。
この記事を読むことで、フリースクールとはどういった施設か、どのようなタイプがあるか把握できます。その知識をもとに子どもに適したフリースクールを選ぶことで、子どもがあんしんして過ごせる場所を確保できるでしょう。
子どもの不登校に悩んでいる方は、ぜひ、この記事をご覧ください。
フリースクールとは文部科学省が認める民間の教育機関
フリースクールとは、何らかの理由で学校に行くことができなくなった不登校の子どもに対し、学習や体験活動の機会の提供、カウンセリングなどを行う教育機関です。
公的な教育機関ではなく民間の機関で、全体の7割弱が特定非営利活動法人(NPO法人)などの法人格を有する団体や施設となっています。
規模や活動内容はさまざまですが、多くの施設が子どもの主体性を大切にした活動を行っているという共通点があるでしょう。
出典:小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査の結果(概要)|文部科学省
フリースクールと学校の違い
フリースクールは、不登校の子どものための施設として多くの方に認知されています。しかし、フリースクールとはどのような施設で、学校とどのような違いがあるのか知らない方も多いでしょう。
ここから、フリースクールと学校の違いを4つ紹介していきます。
子どもたちが話し合ってルールを作っている
学校では、生徒が守らなければならないルールを校則として定めています。基本的に校則を決めるのはその学校の校長とされており、決められたものに生徒が従うのが一般的です。
一方、フリースクールは、そこに通う子どもたちが話し合い、自分たちで守るべきルールを作っていくという形を取ることが多いでしょう。
主体性に任せた運営を行っていることが、学校との大きな違いです。
年齢の違う子どもたちが一緒に活動をする
学校では、同じ学年の子どもが同じ教室で同じ授業を受けるのが一般的です。
一方、フリースクールでは入学要件がないため、小学生から高校生までおり、年齢の違う子どもが一緒に活動します。年上の子どもが年下の子どもを助けるという光景が、日常的に見られるでしょう。
さまざまな価値観を知るため、相手に合わせるといったコミュニケーションについて学ぶことができるでしょう。
個別学習や少人数で学習をする
学校と違いフリースクールでは、個別学習や少人数で学習を行っています。
文部科学省が平成27年に行った調査によると、個別学習形式を取っている団体・施設は87.1%でした。一人ひとりに合わせたペースで学習が行われているため、学習についていけずに取り残されるということはないでしょう。
また、27年度の調査でフリースクールに在籍する義務教育段階の子どもは約4,200人で、1団体・施設あたり約13.2人でした。
授業についていけずに不登校になった子どもや、大人数で行動することが苦手な子どもに、フリースクールは向いているでしょう。
出典:小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査の結果(概要)|文部科学省
学習内容は子どもに合わせている
学校では、学年ごとの総授業時間数や教科ごとの時間数などが定められている学習指導要領に則って、授業が行われます。
一方、フリースクールは、学習指導要領に捉われず、学習内容は子どもに合わせているのが特徴です。たとえば、学校に長期間行けず、学習の遅れが認められる子どもがいれば、遅れた部分まで戻って学習を進めるなど柔軟な対応が取られています。
一人ひとりに合ったていねいなフォローを期待できるため、長期間学校を休んでいる子どももあんしんして通うことができるでしょう。
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フリースクールに通うメリット
フリースクールは、不登校の子どもの受け皿として多くの方に認知されているでしょう。国もフリースクールは不登校の子どもたちを支援する場所として重要視しており、公的機関との連携を進めています。
不登校の子どもを持つ家庭にとっては、子どもの居場所の選択肢となる存在ですが、まだフリースクールに対して抵抗感を抱える人もいるでしょう。
ここからは、フリースクールに通うメリットを紹介していきます。学校とは違ったよさがフリースクールにはありますので、ぜひ、参考にしてください。
- 毎日通学しなくてもよい
- プロのカウンセリングを受けることができる
毎日通学しなくてもよい
フリースクールは学校のように、休日や祝日を除いて毎日通学しなければならないという決まりはありません。毎日通学しなくてもよいという点は、フリースクールのメリットでしょう。
不登校の子どものなかには、毎日通学することに負担を感じる子どもも少なくありません。フリースクールは毎日の通学を強制することはないため、自分のペースで通学できます。月1日や週1日など少ない日数からはじめ、徐々に通学回数を増やすことも可能です。
また、外出自体に抵抗を感じる子どもの場合、自宅でサポートを受けられるタイプのスクールを選ぶこともできます。
プロのカウンセリングを受けることができる
平成27年に行われた文部科学省の調査によると、カウンセリングや相談を行っているフリースクールは90.9%でした。ほとんどのフリースクールで、カウンセリングを受けやすい体制が整えられていることもメリットです。
プロのカウンセラーが常駐しているところもあり、子どもや保護者の悩みをていねいに聞いてくれます。外出が難しい子どもに対しては、自宅訪問を行っているところもあり、学校よりもカウンセリング体制が充実しているでしょう。
出典:小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査の結果(概要)|文部科学省
フリースクールに通うデメリット
フリースクールには学校にはないメリットがある一方で、デメリットも存在します。フリースクールに子どもを通わせる場合には、デメリットも理解しておく必要があるでしょう。ここからは、フリースクールに通うデメリットを紹介していきます。
- 卒業後に社会と自分との認識のズレを感じる可能性がある
- 学校に比べて学習レベルが低い可能性がある
卒業後に社会と自分との認識のズレを感じる可能性がある
フリースクールは子どもの主体性を重視しており、ものごとを自由に自分で決めることができるというよさがあります。また、一人ひとりに合わせた手厚いサポートをしてくれるというよさもあるでしょう。
しかし、このよさが逆にデメリットになる可能性があります。社会に出ると、自分の意見を否定され、自由にものごとを決められない場面があったり、いつでも優しくサポートしてもらえるわけではありません。
社会と自分との認識のズレを感じ、疲弊してしまう可能性があるでしょう。
学校に比べて学習レベルが低い可能性がある
フリースクールでは、学習指導要領に則した学習が行われるわけではないため、学校に比べて学習レベルが低い可能性があります。
施設によっては、学習ではなく体験活動などに力を入れており、受験や進学をめざしている子どもにとってはもの足りなさを感じてしまうでしょう。
学習に重点を置きたい方は、塾や家庭教師などフリースクールとは別の手段でもの足りなさを補う必要があります。
フリースクールは8つのタイプがある
経営理念や活動方針は施設によって異なり、フリースクールは大きく8つのタイプに分類できます。フリースクールに通う場合は、子どもに合った経営理念や活動方針を持ったスクールを選ぶことが大切です。
ここからは、特徴や活動内容、どのような子どもに向いているかなどについて紹介していきます。
共同生活をする
施設のスタッフやほかの子どもたちと寮などで生活しながら、生活全般の支援が受けられるフリースクールです。学習はもちろん、生活に必要な掃除や食事などを分担して行います。施設を出る頃には、家事力や生活力が身に付くでしょう。
ひきこもりから脱却したい子どもや、家事力や生活力を身に付けて自立したい子どもに向いているタイプです。
共同生活をするスクールにも、一定のルールを設けて生活習慣を身に付けさせる施設、自主性を重んじる施設などさまざまなタイプがあります。共同生活は生活が大きく変化するため、子どもが適応しやすい施設を選びましょう。
スタッフが自宅訪問をしてくれる
ひきこもり状態が長引き、外出が困難な子どもには、スタッフが自宅に訪問してくれるタイプのフリースクールが向いているでしょう。
このタイプのフリースクールの目的は、子どもの外出意欲を高めることです。子どもがあんしんできる場所にスタッフが訪問し、遊び相手や話し相手になることで、信頼関係を築き、外への興味を引き出していきます。
医療機関と連携してサポートしてくれる
不登校になる子どものなかには、病気や疾患を抱え、医療的なケアを必要としているケースも少なくありません。
そのような子どもには、医療機関と提携しているフリースクールがおすすめです。普通のフリースクールや学校にはない、さまざまな症状に対応できるような体制が整えられています。
専門家がサポートしてくれる
発達障がいを抱えていることが原因で、学校生活や学習に困難を感じて不登校になってしまう子どももいます。そのような子どもには、専門家がサポートしてくれるフリースクールが向いているでしょう。
専門家がサポートするスクールでは、一人ひとりの特性を理解し、個々に適した生活支援や学習支援が行われています。生きづらさの解消や、円滑に社会生活を送るためのスキルが身に付くでしょう。
出典:発達障がいとは|独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
学校復帰を目標にしている
フリースクールのなかには、学校への復帰を目標とした支援を行うところもあります。
復帰後、授業について行けるように学習支援が行われ、きちんと通学できるように学校と同様の時間割が組まれているのが特徴です。卒業が近い子どもには、進学や受験に向けた学習サポートや進路相談も行っています。
また、人間関係が原因で、再度不登校になってしまうことがないように、グループ活動を取入れているところも少なくありません。
不登校の原因がはっきりしており、学校への復帰を希望している子どもに向いているフリースクールでしょう。
子どもたちの居場所として機能している
「子どもがあんしんして過ごせる居場所」として存在しているフリースクールです。
不登校の子どものなかには、学習や人間関係につまづいて自信を失くしている子どもや、将来を悲観している子どもも少なくありません。子どもたちが自信を回復し、生き生きと過ごせるようになることを目的としています。
必要に応じて、学習支援や社会に出た時に役立つスキルを身に付けるための支援を受けることも可能です。
心の回復を最優先にしたい子どもや、学校への復帰を考えていない子どもなどに向いているでしょう。
学習をサポートしてくれる
学習支援を重点的に行うフリースクールです。学校に行かなくても勉強を頑張りたいと思っている子どもに向いているでしょう。
学習に遅れがあれば、その部分まで戻って教えてもらえます。また、苦手科目を克服したい場合には、苦手なものを重点的に教えてもらうこともできるでしょう。習熟度や希望に応じた学習サポートを受けられるのが特徴です。
時間割が決まっているところ、専門の先生が教えてくれるところなど、さまざまなタイプがあるため、子どもに合った施設を選びましょう。
独自の教育方針を取入れている
独自の教育方針を取入れているフリースクールもあります。
社会に出た時に役立つ資格取得を支援するフリースクールや、得意や好きなことについて知識を学べるスクール、自然のなかで自主性を育むスクールなどさまざまです。
やりたいこと、好きなことがはっきりしている子どもや、将来に役立つ資格を取得したい子どもに向いているフリースクールです。
フリースクールに通学する生徒の特長
フリースクールには、学校に行けない・行かない状態の子どもが通学しています。
学校に行けない原因はさまざまです。いじめが原因で通えなくなった、先生やクラスになじめない、授業について行けないなど、さまざまな原因を抱える子どもが通っています。
また最近では、子どもが持つ特性や才能と学校の授業が合わないと感じて、フリースクールに通う子どもも見られます。
フリースクールの入学条件
フリースクールは民間の教育機関であるため、特別な入学条件や資格がない場合がほとんどです。ただし、施設によって、受け入れは小学生のみ、通学できる方のみなど、個別に条件が設定されている場合があるため注意してください。
条件と子どもの意思を尊重してフリースクールを選びましょう。
フリースクールでは学校の出席認定が可能
小学生および中学生は、一定の要件を満たすことで、フリースクールへの登校を学校への出席として扱ってもらえる制度があります。
出席と認定される要件は、以下のとおりです。
・保護者と学校が、十分な連携、協力関係にある
・指導を受けているのは、公的機関や校長と教育委員会が適切と判断した施設である
・施設に通い、相談や指導を受けている
・施設で受けている学習が適切と判断される場合、その学習の評価を指導要録に記載し、結果を子どもや保護者、施設に伝えること
出席扱いを受けるためには、学校と協力することが不可欠です。制度を利用したい場合には、在籍している学校とフリースクールに相談するようにしましょう。
出典:(別記1)義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて|文部科学省
フリースクールを選ぶ時の5つのポイント
フリースクールの経営方針や活動内容は、施設により異なります。さまざまな種類があるため、どのように選べばよいのかわからないと悩む方は多いでしょう。
ここからは、フリースクールを選ぶ時にポイントとなる5つを紹介していきます。以下で紹介するポイントを押さえながら、子どもに合うフリースクールを選びましょう。
- 子どもがあんしんして過ごせるかどうか確認する
- サポート体制が子どもに合っているか確認する
- 授業や活動内容を確認する
- 通学しやすいかどうかを確認する
- フリースクールにかかる費用を確認しておく
子どもがあんしんして過ごせるかどうか確認する
不登校の子どものなかには自信を失い、自己肯定感が低くなっている子どもも少なくありません。あんしんして過ごせる場所で自己肯定感を高め、自信を回復することで、次のステップに進もう、頑張ろうといった意欲が湧いてきます。
ひきこもりや不登校から抜け出すための第一歩を踏み出すために、子どもがあんしんして過ごせるかどうかということは、重要なポイントです。
フリースクールを見学し、そこに通う子どもたちの表情やスタッフの雰囲気を見て、あんしんして過ごせる場所であるか確かめましょう。
サポート体制が子どもに合っているか確認する
子どもによって、必要としているサポート内容は異なるため、希望するサポートを受けられる体制が取られているか確認することは大切です。
個別にカウンセリングをしてもらえるか、外出が難しい場合は自宅まで来てもらえるか、出席認定のための連携が行われているかなどを確認しましょう。
授業や活動内容を確認する
フリースクールによって、授業内容や活動内容は異なります。子どもに合わない活動内容のフリースクールを選んだ場合、子どもが負担に感じてしまう可能性があるでしょう。
事前に、授業内容や活動内容、1日の時間割をチェックして、入学後、子どもが無理なく受けられるものを選ぶようにします。可能であれば1日体験に参加して、子ども自身に無理なく通える活動内容であるか判断してもらいましょう。
通学しやすいかどうかを確認する
もしフリースクールが見つかっても、通学距離が長く時間がかかってしまうようであれば、子どもが負担に感じ、行かなくなってしまう可能性があります。
そのため、通学しやすいかどうかを確認することも大切です。通学距離や時間はもちろん、公共交通機関を利用するのであれば、利用時間帯の混雑状況や街の雰囲気なども確認しましょう。
フリースクールにかかる費用を確認しておく
フリースクールは、民間の教育機関であるため、入会金や授業料を自己負担しなくてはなりません。平成27年度に行われた文部科学省の調査によると、入会金の平均額は約5万3,000円、授業料の平均額は約3万3,000円でした。
費用は一律ではないため入学前に施設に問い合わせて、費用を確認しておくことも忘れないようにしましょう。
また、自治体によってはフリースクール利用にかかる費用の補助を受けられる場合があります。補助金制度がある場合、制度の活用も視野に入れましょう。
たとえば、鎌倉市の場合は、ひと月の利用料の3分の1(上限1万円)の補助金を受けられる制度があります。お住まいの自治体に補助金制度がないか、確認してみましょう。
出典:小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査|文部科学省
出典:フリースクール等に通われている児童生徒の利用料等を補助します|鎌倉市
フリースクールとは学校に通いながら利用することが可能
フリースクールは、一般的に不登校の子どもたちに学習や活動の機会を与え、支援する施設ですが、学校に通いながら利用することもできます。
「週2日は学校に行き、残りはフリースクールに行く」「午前中にフリースクールに行って、午後から学校」という利用方法も可能です。
子どもの「学校に行きたい」という意欲や体調などを考慮して、学校とフリースクールの併用を検討してみるとよいでしょう。
フリースクール卒業後の進路
フリースクール卒業後の進路は、さまざまです。在籍している学校への復帰、転校や編入して違う学校に通う、高校や大学、専門学校などへの進学や、就職、留学などがあります。
多種多様な進路があるため、子どもの希望を最優先に考えるようにしましょう。ほとんどのフリースクールで進路相談や情報提供が行われているため、活用してください。
フリースクールへの入学も検討しよう
フリースクールは、一般的に不登校の子どもが利用する場所ですが、学校と併用しながら通うことも可能です。近年は、国もフリースクールを重要視しており、在籍する学校の校長や教育委員会が認めれば、出席認定もしてもらえます。
ぜひ、フリースクールを活用して、自宅以外に子どもがあんしんして過ごせる場所を確保しましょう。
フリースクールには、さまざまなタイプがあります。子どもの性格や状況、必要としているサポート内容を考慮して、適したフリースクールを選ぶようにしましょう。