家庭でも実践できる「情操教育」とは?4つの種類や子どものためにできることをご紹介
情操教育について正しく理解をして、実践できている方はいらっしゃるでしょうか。本記事では、情操教育とはどんな教育なのかや、家庭でも実践できる情操教育の方法について解説しています。子どもがいる方や子どもの教育方針で迷う方は、ぜひ、参考にしてみてください。
「情操教育ってどんな教育のこと?」
「子どもに情操教育を受けさせたいけど何をしたらよい?」
「家庭内でもできる情操教育の実践方法はある?」
このように、子どもへの情操教育について、不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、情操教育がどんな教育方法であり、どんなメリットがあるのか、家庭で実践する際にはどのようなことができるのか、などについて解説しています。子どもへの教育方法の参考になるだけではなく、実際に実施できるでしょう。
また、情操教育の4つの種類についても紹介しています。家庭の情操教育でも、子どもの成長・発達段階に合わせてこどもに適した教育ができるようにしましょう。
情操教育とは
「情操教育」とは、人を思いやったり尊敬したりするために必要な人間力や心を養う教育のことです。
情操教育を通した経験によって、多くのことを知り、子どもが自分の考えを持って行動できるようになることが大切だとされています。情操教育には、個性を育て、価値観や道徳心を養う目的があります。
幼稚園や保育園をはじめとする多くの教育機関や学校で取入れられている教育ですので、子どもがいる方はチェックしておくとよいでしょう。
情操教育はいつからはじめるのがよい?
情操教育をはじめるのに適しているとされている年齢は、3歳~10歳頃です。3歳は、他者の気持ちや思いやりを理解できるようになる年齢です。そのため、3歳頃から情操教育をはじめられると考えられています。
しかし、年齢だけで情操教育をはじめるタイミングを計らないようにしましょう。情操教育をはじめるタイミングに「早すぎる」や「遅すぎる」はないため、子どもの成長や様子を見ながら判断できるようにしましょう。
情操教育の4つの種類とそれぞれの意味
情操教育には、道徳的・情緒的・美的・科学的の4つの種類があります。
4種類の情操教育はそれぞれに意味があります。それぞれの意味を知っていることで、子どもの成長段階や好きなことに合わせて、適切な教育方法を選ぶことができるでしょう。子どもがいる方は、ぜひ、参考にしてみてください。
道徳的情操教育
道徳的情操教育では、ものごとの善悪を考え、判断する力を養います。道徳心も養われるため、「人として善い行い」ができるようになります。
また併せて、人を思いやる心や協調性を育むことも期待できるでしょう。学校生活や社会生活においても役立てることができる能力ですので、新しいステージへ進んだ際も上手くこなすことができるでしょう。
情緒的情操教育
情緒的情操教育では、命を大切にすることに関する情緒を育みます。たとえば、先祖の大切さや人や動物の命の尊さを学ぶことをさします。
子ども自身の命だけではなく、他者や生物の命も大切にできるようになることで、人との関わりのなかで相手を尊重する心を養うことにつながります。情緒的情操教育を通して、「自他ともに大切にする心」を持つ子どもになることが期待できるでしょう。
美的情操教育
美的情操教育では、「きれい」「美しい」と感じ、思うことができる心を養う教育です。
美しいものやきれいなものによって心を動かされると、感性や想像力が育まれます。また、芸術への興味や関心が高まることで、趣味につながる可能性もあります。これらの体験・経験を通して豊かな心を持てるようになるでしょう。
科学的情操教育
科学的情操教育では、知的な好奇心や判断力を養います。子どもが「なんで?」「どうして?」と思っているのは、知的好奇心の表れです。
子どもの知的な好奇心を満たすことで、学ぶことは楽しいことだと感じられるようになります。楽しいことは能動的かつ積極的にできるようになるため、勉強の習慣につながるでしょう。
科学的情操教育を通して、子どもは主体的に考え、自分の考えを持った上で行動できるようになることが期待できます。
情操教育がもたらす4つのメリット
ここからは、情緒教育がもたらすメリットを4つ紹介します。
メリットを知っておくことで、自分の子どもに対して適切な教育を施すことができ、子どもにとって必要なサポートができるようになるでしょう。
子どもがいる方や、子どもの教育方針で悩んでる方は、ぜひ、参考にしてみてください。
- 協調性や社会性を養える
- 声明を大切にして相手を尊重する心を養える
- 豊かな感性や想像力を育むことができる
- 主体的に考えて行動する力が身に付く
協調性や社会性を養える
情操教育によって、協調性や社会性を養うことができます。これは、道徳的情操教育によるものです。
道徳的情操教育では、他者に配慮することや、物事の善悪を判断することができるようになります。これらにより、他者と協調し、社会でも上手く適応する力を養うことができるのです。
生命を大切にして相手を尊重する心を養える
情緒的情操教育を通して、生命を大切にし、相手を尊重する心を養えます。
情緒的情操教育では、自分や周囲の人に留まらず、地球上の生物の命を大切に、尊重する心を育みます。そのため、かかわる人のことを尊重できる子どもになります。
豊かな感性や想像力を育むことができる
美的情操教育によって、美しいものを素直に「美しい」と感じることができることで、美的センスを養うことにつながります。それにより、子どもの豊かな感性や想像力を育めるでしょう。
子どもの感性や想像力を育むことで、子ども自身が自信を持つことができます。子どもに豊かな心を持ってほしいと考えている方には、美的情操教育がおすすめです。
主体的に考えて行動する力が身に付く
子どもの「なぜ?」「どうして?」などの疑問を解消し、知的好奇心を満たすと、学ぶことを楽しいと思える子どもになりやすくなります。
学ぶことが楽しいと思えたら、子ども自身から主体的かつ積極的に考えて行動するようになるでしょう。子どもの主体的に行動する力を養うためには、知的好奇心を満たしてあげるようにするとよいでしょう。
子どもの情操教育のために家庭でもできる11のこと
子どもの情操教育は幼稚園や保育園、学校などの機関で導入されていますが、家庭でもできる方法があります。ここからは、家庭でもできる11の情操教育を紹介します。
教育機関だけではなく、家庭でもできるようになることで、より一層子どもに必要な支援をすることができるでしょう。子どもがいる方は、ぜひ、参考にしてみてください。
- 子どもの意見を尊重し積極的に褒める
- 本をたくさん読む
- お絵描きや工作をする
- 音楽に関する習いごとをする
- 家族の行事に参加する
- 生き物と暮らす機会を作る
- 体を動かす習いごとをする
- 芸術や文化にふれる機会を作る
- 家庭菜園を一緒にする
- 料理を一緒にする
- 自然や生き物とふれあう機会を作る
子どもの意見を尊重し積極的に褒める
子どもが「なぜ?」「どうして?」と聞くことに対しては、できる限り答えるようにしましょう。
疑問だけではなく、子どもも主張する場面があります。子どもが主張をするということは、子ども自身の考える力が養われている証拠でもあります。子どもが考え、理解できるようになったことに関しては、しっかりと褒めてあげるようにしましょう。
本をたくさん読む
大人が読んだ方が、場面の想像をさせることが容易であるため、情操を高めるためによいとされています。そのため、子どもが一人で本を読めるようになっても、定期的に親が本を読み聞かせてあげるとよいでしょう。
また、読み聞かせを行なうなかで、登場人物が考えていることや、絵本の場面に遭遇した際にどうするのかなどを聞くことも効果的です。感受性を豊かにしたい場合は、親が気持ちを込めて読んであげることが重要です。
お絵描きや工作をする
お絵描きや工作は、子どもの想像力を育むだけではなく、指先での作業によって脳にもよい刺激を与えることができます。
二次元の絵にこだわらず、立体的なものを作れるようになると子どもの想像力をより高めることができるでしょう。また、絵を描く作業において色や素材の使い方を工夫することも、子どもによい影響を与えることができるのでおすすめです。
音楽にかんする習いごとをする
音楽について学ぶ方法や、楽器を習う、歌を習うなどさまざまです。音楽について学ぶことで、表出しない情緒や表現力を養うことにつながります。
音楽を習う際には、音に合わせて体を動かす場面もあります。楽しみながらリズム感や情操を育むことができるでしょう。
家族の行事に参加する
お盆やクリスマス、元旦、お花見などの季節の行事に参加させることで、行事の意味や歴史について子どもが理解する機会を作ることができます。お盆にお墓参りに行くことは、命について考えるきっかけにもなるでしょう。
季節の行事に参加させることで、子どもの知的好奇心を刺激することにもなります。子どもの疑問や質問には答えてあげるようにしましょう。
生き物と暮らす機会を作る
犬や猫などのペットや昆虫を飼育し、一緒に生活をすることで、会話をすることができない生き物への接し方が考えられるようになるでしょう。
また、生き物と一緒に生活をすることで、優しい情緒や感情が生まれます。生き物を飼育することは生き物の「死」を経験することもあるため、より一層、命の大切さについて理解を深めることができるでしょう。
体を動かす習いごとをする
サッカークラブや体操教室などで体を動かす習いごとをすることで、心身ともに安定し、健やかな心と体を養えます。
また、団体競技や集団での生活を通して、他者の気持ちを理解し、思いやりを持って行動することができるようになるでしょう。
芸術や文化にふれる機会を作る
日常生活では体験できない芸術や文化にふれることで、子どもの想像力や表現力を養うことにつながります。想像力や表現力が養われることで、感性や個性にも磨きがかかるでしょう。
芸術や文化にふれるためには、コンサートに行ったり、美術館へ行ったりするとよいでしょう。
家庭菜園を一緒にする
家庭菜園をすることで、子どもの身近な環境で自然とふれあえます。自然にふれることで、命の大切さを学ぶだけではなく、季節の移り変わりについても理解を深めることができます。
また、自然を五感で感じることもできるため、家庭菜園を一緒にすることはおすすめだといえます。子どもが自分で植物にふれることで、植物への興味・関心を高めることにもつながるでしょう。
料理を一緒にする
子どもと一緒に料理をすることで、コミュニケーション能力の向上や論理的に考える力を身に付けることにつながります。
子どもと料理をすることには、五感を鍛える、食材への理解を深めて感謝することができるなどのメリットがあります。最初は日常生活のなかのお手伝いからはじめてみるとよいでしょう。
自然や生き物とふれあう機会を作る
釣りやキャンプ、山登りなど、自然のなかでできるアクティビティを通して自然や生き物と子どもがふれあうことで、知的好奇心を刺激することになります。
子どもの知的好奇心は、自然だけではなく生き物に対しても向くようになるため、学習の幅を広げることができるといえます。自然や生き物とふれあう際は、子どもの五感を活用できるようサポートしてあげましょう。
自然や生き物にかかわるきっかけとして、「comotto」がおすすめです。comottoが提供する「北海道農業の不思議を学ぼう」というコンテンツでは、北海道の農業の不思議を野菜ごとに学ぶことが可能です。たとえば、トウモロコシ編や玉ねぎ編などがあります。
オンラインで体験できるイベントもあり、日本中どこからでも参加が可能です。自然にふれあうまでに時間がかかる方は、ぜひ、チェックしてみてください。
学校で実施される情操教育
学校では、情操の育成をめざして多様な授業が展開されています。
小学校では音楽や図画工作、中学校では音楽と美術、高校では音楽と美術・工芸、書道を学ぶことが可能です。これらの授業では、それぞれ目的や目標、具体的な取組みが定義されています。
家庭でも学校でも、子どもの情操を養うことができる方法で教育を進めるようにしましょう。
出典:資料3 豊かな情操の育成を目指した小・中・高等学校修了時の児童生徒の姿|文部科学省
情操教育で子どもの豊かな心を育てよう
ここまで、情操教育の概要から、家庭でできる実践方法、学校教育で行われている情操教育について解説しました。
情操教育を行う際には、子どもの様子や成長度合いを確認し、適切なアプローチをすることが重要です。そのために、子どもがいる方や子どもの教育にかかわっている方は、子どもの様子をよく確認し、ふさわしい方法を選べるようにしておきましょう。
実践方法は家庭でも教育現場でもできるものです。子どもと実践し、豊かな心を育めるようにすることをおすすめします。