子どもの忘れものが多いのはなぜ?解決方法や親がしてはいけない行動をご紹介
子どもの忘れものが多くて困っているため、解決方法を知りたいと考える保護者は多いのではないでしょうか。この記事では、子どもの忘れものが多くなる原因や忘れものを減らす解決方法を紹介しています。忘れものを解決したいと考える方は、ぜひ参考にしてください。
「担任の先生から、子どもがよく忘れものをしているという連絡をもらった」
「どうして何度も注意しても忘れものを繰り返してしまうの」
「子どもの忘れものを0にするためにできることはある?」
このように、子どもの忘れものに頭を悩ませている保護者は多いと思います。
この記事では、子どもの忘れものが多くなる原因、忘れものが多い子どもへの対応方法や解決方法、忘れものが多い子どもに対して、保護者が取ってはいけない行動を紹介しています。
この記事を読むことで、子どもの忘れものが多くなってしまう原因や、忘れものを減らすための対応方法などが把握できます。これらの知識があることで、子どもに合わせた対策を取れるため、忘れものに対する不安を減らせるでしょう。
子どもの忘れものが多いことに対し、対策を探している保護者の方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
子どもの忘れものが多い際に考えられる7つの原因
大人でも忘れものをすることはあるため、忘れものをする子どもは珍しくありません。「数か月に一度」「うっかりして忘れた」という一時的なものであれば、さほど心配する必要はないでしょう。
ただし、毎日や毎週など忘れものの頻度が多く、学校生活に支障が出てしまっているようであれば何か対策をする方がよいでしょう。
忘れものへの対策を考える前に、まず原因を知る必要があります。原因がわかれば、それに合わせた具体的な対策を講じることができるでしょう。
ここでは、子どもの忘れものが多い際に考えられる原因をいくつか紹介していきます。
持ちものが多い
週末に持ち帰った上履きや体操服、給食着などを持っていかなければならない週明けに、忘れものが集中しているという方もいるでしょう。この場合、持ちものの多さが忘れものの原因になっている可能性があります。
持ちものが多いと、「入れたつもりになる」という現象が起こりやすくなるため、忘れものが増えてしまうでしょう。
また、持ちものが多いと何をどこに入れたか確認しづらくなり、入っていないことに気がつかないまま学校にいってしまうという場合もあります。
ものを置く場所を決めていない
ものを置く場所を決めておらず、どこに何があるか子どもが把握できていないことも忘れものにつながります。
ものを置く場所を決めていないと、必要なものがわかっていても探すことに時間がかかってしまうでしょう。探す途中でゲームなどほかのものに目移りすれば、探しものをしていたこと自体を忘れてしまう場合もあります。
探しものに必要以上に時間がかかれば途中で飽きて、探すことを諦めてしまう可能性もあるでしょう。その結果、忘れものを繰り返してしまうようになります。
整理整頓が苦手である
整理整頓されていると持っていくものがどこにあるかわかりやすく、簡単に見つけられます。
そのため、整理整頓されていれば、忘れものも少なくすることができます。逆に、整理整頓がされていないと、持っていくものがどこにあるのかわかりにくく、探す手間も時間もかかります。
子どもの忘れものが多いことで悩んでいる場合は、整理整頓されているか確認するとよいでしょう。
学校の準備を朝にしている
朝に学校の準備をする時間がない場合、持ちものチェックをする時間を取れない、余裕がなく慌てるなどの理由から忘れものが多くなります。
特に準備に慣れていない低学年や、朝起きることが苦手な子どもは、時間に余裕がない朝に準備をすると、忘れもののリスクが高くなるでしょう。
前日に余裕を持って、準備をするという習慣をつけることが大切です。習いごとなどで夜遅い時間に準備をする場合は、面倒に感じてしまい後回しになってしまうことがあります。
その場合は、習いごとにいく前に準備をさせるなど、時間の使い方を教えるとよいでしょう。
どこかで抜けてしまっている
子どもは持ちものをわかっているはずなのに忘れものを繰り返すという場合には、どこかで抜けが発生している可能性があるでしょう。
たとえば、「先生にいわれたときには覚えていたのに、朝になったら忘れていた」「普段、置かない場所に片づけてしまい、そのまま忘れていた」といった状況がこれにあたります。
子どもは注意力が散漫で、ほかのことに気を取られ抜けが発生しやすいです。そのため、抜けが発生しないような工夫が必要でしょう。
何を持っていくのか子どもが把握していない
忘れものが多い子どものなかには、そもそも何を持っていくのか把握できていないケースもあるでしょう。
「連絡帳に書いたけれど確認していない」「ぼーっとしていて聞き逃した」「配布物を失くした」などの理由から、持ちものを把握できていないと考えられています。
何を持っていくのか子どもが把握していないと感じたら、連絡帳を見る習慣をつけるなど、持ちものを確認することが必要でしょう。
ADHDの可能性がある
ADHD(注意欠陥多動性障害)が忘れものの原因になっているケースもあります。
ADHDとは、不注意・多動性・衝動性という3つの特性を持つ発達障害の一種です。
不注意とは、物事に集中しにくく、注意が散漫になりやすい状態を意味します。たとえば、話を聞いていても集中が続かずに、指示を聞き漏らしてしまう。また、持ちものや学習道具などが散らかりがちである、課題や作業を最後までやり遂げることが難しく、途中で投げ出してしまうなどです。
多動性とは、落ち着きがなく、じっとしていることが苦手な状態を意味します。たとえば、座ってじっとしていることが苦手である、順番を待つことが苦手で、自分の番を待つことができずに割り込んでしまうなどです。
衝動性とは、考えずに衝動的に行動してしまう状態を意味します。たとえば、思ったことをすぐに口に出してしまう、危険が予測できずに、衝動的な行動をしてしまうなどです。
このように、ADHDの子どもは、同じ年代の子どもと比べて、集中力が続かない、うわのそらといった不注意特性が見られ、忘れものが多いことも特性の一つとして挙げられています。
ただ、忘れものが多いからといってADHDだと断言することはできません。子どもが本当にADHDかどうか診断を行うのは医師です。
ほかの特性にもあてはまっているなど不安があるようなら、かかりつけ医や保健センターなど専門機関に相談するとよいでしょう。
出典:支援の手引き~幼稚園版~|大分県教育センター特別支援教育部
忘れものが多い子どもの対応方法
子どもが忘れものをするとイライラして、「しっかりしなさい」「どうしてできないの」などと叱責した経験もあるでしょう。しかし、保護者のこのような叱責は、子どもには響きません。
具体的な策を提示しなくては、子ども自身も何をしたらよいかわからず、忘れものの改善にはならないでしょう。
ここからは、忘れものが多い子どもの対応方法を2つ紹介していきます。
- 子どもと一緒に持ちものを確認する
- 忘れものが多くなる理由を探す
子どもと一緒に持ちものを確認する
小学校入学後すぐに、子ども一人で持ちもの準備をするのは難しいでしょう。持ちものの準備に慣れていない低学年のうちは、子どもと保護者が一緒に持っていくものを確認する時間を確保するのがおすすめです。
最初は「一緒に準備をしよう」などと声をかけ、連絡帳やプリントを見ながら一緒に持ちものを確認し、準備の仕方を子どもに教えます。
準備に慣れてきたら徐々に手助けを減らし、最終的に保護者が声をかけるだけで子どもが一人でできるように進めましょう。子どもが一人で準備できたら、しっかり褒めることが大切です。
忘れものが多くなる理由を探す
忘れものが多くなる理由がわからなければ、適切な対策を講じることができません。子どもの行動を振り返って、理由を探ることも大切です。
子どもが忘れものをしてしまう理由は一つではなく、複数の要因が重なっている場合があります。持ちものが多い、整理整頓が苦手、持ちものを把握していないなど、自分の子どもにあてはまる理由は何なのか子どもと話し合い、確認するのがよいでしょう。
子どもの忘れものが多いことの解決方法
子どもが忘れものをしてしまう原因や理由がわかったら、忘れないための具体的な解決策を取っていきましょう。
ここからは、子どもが忘れものを減らすための解決方法をいくつか紹介していきます。
子どもが忘れものをしてしまう理由は複数あります。複数の要因が絡まって忘れものをしているようであれば、一つの解決方法を試すのではなく、いくつか試してみてください。
日頃から整理整頓を習慣化する
必要なものがどこにあるか把握できていない場合、ものの定位置を決めて、日頃から整理整頓をする習慣を身に付けておくことが有効な手段です。
整理整頓されていると、ものがどこにあるか把握しやすく、探す時間を少なくすることができます。子どもが進んで整理整頓できるようにするには、「収納場所は子どもに決めさせる」「学校で必要なものは1か所にまとめる」ことがポイントです。
アプリやツールを利用する
持ちものは把握しているけれど忘れてしまうという場合には、忘れものを減らせるようなアプリやツールを利用するとよいでしょう。
リマインダーアプリを使うと、日々の準備の時間や必要なものの通知を出すことができます。
また、TODOリストを使って持ちものをリスト化するのもおすすめです。ランドセルに入れたらチェックするということを習慣化させると、抜けや漏れを減らせるでしょう。
準備をする時間を決めておく
時間に余裕がないことが忘れものにつながっている場合には、準備する時間をあらかじめ決めておく方法がおすすめです。
「前日に準備できるものは寝る前に」「朝にならないと用意できないものは朝食後に」といったように、時間を決め、余裕を持って準備することで忘れものが減ります。
カレンダーアプリのリマインダー機能を使って、準備する時間にアラームを鳴らすようにしておくと、さらに忘れにくくなるでしょう。
やるべきことを前日に書き出しておく
子どもは学校から帰ってくると、翌日の準備や宿題、習いごとなどやるべきことが多くあります。やるべきことがたくさんあることで、抜けや漏れが発生してしまう場合は、やることを書き出しておくようにしましょう。
家に帰ってきたらやること、朝起きたらやることがリスト化されていると、いつまでに何をやらなければいけないか一目で理解できます。準備がスムーズに行えるようになり、抜けが少なくなるでしょう。
目につく位置にメモを残しておく
言葉でいっても忘れてしまう場合には、玄関や部屋の扉など子どもの目につく位置にメモを残しておくことが有効です。子どもが好きなキャラクター柄のメモ用紙に書くなど工夫を加えることで、目につきやすくなり忘れにくくなるでしょう。
また、家族全員が目にする場所にメモを貼っておくと、気づいた人が声かけできるようになるため、忘れにくくなるでしょう。
特別な持ちものは子どもと確認する
図工の材料やイベントで使用する道具、使用時期が限られるものなど、普段は持っていかない特別な持ちものは子どもと確認することも大切です。
特別な持ちものは、学校から事前にお知らせしてもらえることがほとんどです。しかし、子どもがプリントや連絡帳を見せることを忘れてしまい、親が気づかない場合があります。
その場合の対処法として、普段から、家に帰ったらプリントや連絡帳を見せることの習慣化や、「これ以外の持ちものはない?」などの声かけが必要です。
忘れものをしたときの対応を決めておく
どんなに注意していても、忘れものをしてしまうことがあります。このような場合に備えて、忘れものをしたときの対応方法を決め、子どもに伝えておくことも必要でしょう。
忘れものをしたときに、素直に先生に伝えることができる子どももいれば、怒られることを恐れていい出せない子どももいます。忘れものをしたとき、子どもがいいやすくなるような伝え方を決めておくとよいでしょう。
また、学校によって忘れものをしたときのルールが違います。子どもが通っている学校で、どのようなルールが取られているのか確認することも大切でしょう。
入れた持ちものを確認する仕組みを作る
入れたつもりになるという事態を防ぐためには、入れた持ちものを確認する仕組みを作っておくといいでしょう。
ホワイトボードに毎日持っていくもの、曜日によって持っていくものを記載し、目につく場所に置いておきます。準備のたびにそれを使い、ランドセルに入れたらチェックするようにすれば、忘れものは減っていくでしょう。
イレギュラーな持ちものはその都度、書き込んだり、メモを貼ったりして工夫する方法があります。
ADHDのお子さまにはルール作りも大切
ADHDのお子さまにとって、ルールは安心できる枠組みであり、大きな助けになります。
ルールがあることで、何をすべきか、何をすべきでないかが明確になるため、迷いを減らすことができます。そして、常に何をすればよいかわかっている状態は、お子さまにとって安心感となり、落ち着いて行動できるようになることを助けてくれます。
たとえば、忘れものを防ぐためのルールの例としては以下のようなものです。
・持ちものを置く場所をルールとして決めておく
・毎日同じ時間に、持ちものを準備する時間を設けることでルール化する
・毎日持っていく持ちものや教科書に同じ色のシールを貼るなどで、色でルールを作る
いずれにせよ、お子さま本人が実現可能なルールが大切です。お子さまに合うルールを見つけていきましょう。
忘れものが多い子どもに対して親がしてはいけない行動
忘れものを0にするには、保護者のサポートが必要不可欠です。忘れものを減らそうと頑張っている保護者のなかには、かえって子どもを追い詰めるNG行動を取っている方も、少なくないでしょう。
ここからは、忘れものが多い子どもに対して保護者がしてはいけない行動をいくつか紹介していきます。子どもと接するときのヒントとなるでしょう。
準備に手を貸しすぎないようにする
準備に手を貸しすぎると、子どもが忘れものをなくす工夫をする機会を奪ってしまいます。当事者意識が薄れ、忘れものをしても「手伝ってくれなかったから」などと保護者のせいだと主張することもあるでしょう。
また、一人でできるようになる機会も奪うことになるため、子どもがいつまで経っても成長しないという可能性もあるでしょう。子どものためには、準備に対して、過度に手を貸しすぎないようにすることが大切です。
罰を与えないようにする
「次回忘れものしたらおやつ抜き」などと忘れものをしたことに対し、罰を与える行為はNGです。罰を与えたからといって、忘れものがなくなるとは限りません。
むしろ罰を回避するために、忘れものをした事実を隠蔽するようになる可能性が高くなります。
罰は与えず、準備の過程で問題はなかったか、改善するためにどうしたらよいのか、親子で考えていくことが大切でしょう。
忘れものを毎回学校まで届ける
子どもが困るから、周りに迷惑がかかるからといった理由で、忘れものを学校まで届けているという保護者もいるでしょう。これは子どものためにならない行動です。
忘れものを毎回届けていると、子どものなかに「親に届けてもらえるから大丈夫」という考えができ、「次からは忘れものをしないように注意しよう」という気持ちが芽生えなくなります。
忘れものをすると困るという経験をさせて、「忘れものをしない」という気持ちを子どもが持てるようにすることも必要です。
子どもを責めない
忘れものをした子どもは、ショックを受け、落ち込んでいる場合があります。この状態の子どもを責めて追い詰めてしまうと、自信を失くし「自分はダメだ」と自分自身を責める可能性があるでしょう。
忘れものをしたら責めるのではなく、「次から気をつければいいよ」などとポジティブな言葉をかけ、一緒に改善策を考えていくことが大切です。
忘れものが多い子どもに対応するコツを知っておこう
子どもは忘れたくて、忘れものをしているわけではありません。忘れものを繰り返す子どもの多くが、「どうして忘れるのか」悩んでいます。
子どもを叱責するだけでは解決になりません。子どもが忘れものを繰り返す原因を探り、それに合わせた対応策を取ることが大切です。
本記事で紹介したことを参考に、対応するときのコツを理解して対策を講じ、徐々に忘れものを減らせるようにサポートしましょう。