社会性とは?社会性の高い子どもを育てるために親ができることを解説
子どもの社会性を育てたいと思っている方はいませんか。この記事では社会性とは何か、社会性の有無を判断するポイントや、社会性が乏しい状態で大人になるデメリットをお伝えしています。また、年齢ごとに社会性を育むポイントや遊びも記載しているので、参考にしてください。
「社会性とはどんな性質のこと?」
「子どもの社会性を高めるにはどうしたらよい?」
「社会性の高い子どもになることでどんなメリットがある?」
このように、社会性という概念や、社会性と子どもの関係について疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、社会性の定義や社交性との違い、社会性が高い子どもの特徴などについて紹介しています。社会性への理解を深めることで、教育方針を定める際の参考になるだけではなく、子どもと実際に接する際にも役立つようになるでしょう。
また、子どもの社会性を育てる方法についても紹介しています。家庭でも実践可能な方法が中心になっているため、子どもを教育する際に役立ててみてください。
社会性とは
日常でよく言葉にされる「社会性」という言葉には、明確な定義は存在しません。「社会の一員として生きる上で求められる力」や「広く社会に通用する性質」を一般的に「社会性」と呼びます。
たとえば、コミュニケーション能力、協調性、マナーやモラルなどが社会性に内包されます。子どもの場合は、自分の感情を相手にしっかりと伝える、相手が話したことを理解するなどがあるでしょう。
「社会性」と「社交性」の違い
「社会性」と類似した言葉に「社交性」があります。日常生活で同義として使用されることもありますが、正しくは、「社会性」の一部として、「社交性」が内包されている形です。
「社交性」とは主に人間関係を円滑にする能力をさします。たとえば、学校や会社で自分以外の人間とのコミュニケーションを上手く取持つ力などです。社会性と社交性は似ている言葉でありながらも、使い方にも違いがあるため注意しましょう。
社会性をわかりやすく簡単に具体例で説明
子どもの場合の社会性は、友達と協力して遊ぶ、順番を守ったり、譲り合ったりすることができる、などの行為に現れているといえるでしょう。具体的には、砂場で友達と協力して大きなお城を作ることができたり、その際にシャベルやスコップなどの道具を友達に譲り合うなどができれば、社会性が身についているといえるでしょう。
また、大人の場合の社会性は、異なる意見を持つ人と議論して意見を擦り合わせるなどをして、合意形成を目指すことができるなどの行為に現れます。具体的には、会社のプロジェクトで、チームメンバーと協力して、目標達成を目指すなどの場面です。
社会性を計る際に見るべきポイント
社会性の定義を確認したことで、「子どもに社会性がすでにあるのか」と疑問を持つ保護者の方もいらっしゃるでしょう。
社会性を計るポイントは、対人関係や集団行動、承認欲求、社会への関心の有無、などがあります。これらのポイントについて詳しく解説しますので、ぜひ、参考にしてみてください。
適切な対人関係を築けているか
適切な人間関係、つまり相手と心を通わせられるかという点です。対先生、友達、兄弟や姉妹、保護者など幼児期から1対1の対人関係は発生します。
社会性がある場合、コミュニケーションを取るなかで、相手の話をしっかりと聞くことができます。その際に自分の気持ちだけを主張するのではなく、相手の伝えたいことを考えるようになるため、良好な人間関係を築いていけるでしょう。
相手の気持ちに寄り添い、円滑に良好な関係を築けているかは1つのポイントになります。
協調して集団行動できているか
1対1だけではなく、集団のなかで協調できるかどうかも重要なポイントの1つです。集団行動ではグループ内で、それぞれの考えの譲り合いやルールのすり合わせをしなければならないため、自分の立場や役割を認識して、発言や行動を取る必要があります。
この際に、自分の役割を認識できるか、認識した上で適切な発言と行動を取れることが協調にあたります。
社会からの承認欲求があるか
「他者に仲間として認められたい」という気持ちを持つこと、認めてほしいと思っている子どもを認めてあげることが大切なポイントです。
3歳頃から人は誰かに認められたいという社会的欲求が生まれます。「子どもが認めてほしい」と思っている際には、でき具合にかかわらず、積極的に褒めてあげるようにしましょう。
幼児期から褒められた子どもは、自分でも自身を尊重したい気持ちが育まれます。一方で幼少期に認められなかった子どもは、大人になっても承認欲求を引きずり過ぎてしまう傾向があります。
社会への関心があるか
社会性を計るには自分以外への関心も重要です。対象として、社会情勢や風潮など、社会の動向についての興味の有無も指標の1つとなります。
しかしながら、幼児期に社会の教育を行うことは難しいため、保護者がニュースや新聞などを見て、時事問題に興味がある様子を子どもに見せるだけでもよいでしょう。
社会性を身に付けていない大人の特徴
子どもが社会性を身に付けず大人になった場合、社会性が乏しいことで発生するトラブルやデメリットは複数存在します。社会性のない大人の特徴と、子どものうちに社会性を身に付けるべき主な理由をいくつか紹介します。
1つ目は自己主張が苦手になり、引っ込み思案になることです。それによりチャンスや出会いの機会が減ることにもつながります。
たとえば、自己主張が上手くできず人との関わりが少ないことで、友人になれる可能性のある出会いや、会社で抜擢される機会の損失にもつながる場合があるでしょう。
2つ目に他者の気持ちを理解できず、周囲に迷惑をかけることです。社会性が乏しいと自身の可能性だけではなく、周囲の人にも悪影響となるケースもあります。
3つ目に集団生活に馴染めず、孤独感を抱いてしまうことです。集団での役割や立場が理解できないことで、どのように振舞えばよいかわからず孤立したり、逆に他者に合わせた言動を取ったりしてしまうことが往々にしてあります。
そのため、自分らしさを持てず、心を閉ざして孤立してしまう可能性が高いです。
社会性が高い子ども・大人の特徴
社会性が高い子ども・大人の特徴は、大きく2点あります。
社会性が高い子どもはコミュニケーション能力が高いため、自分の気持ちを言葉にしたり、相手の立場になって考えたりする傾向にあります。社会性を身に付けている子どもの具体的な特徴を把握することで、教育に活かしていきましょう。
相手の気持ちを考えて行動できる
他者の気持ちを察して行動できる子どもは、対人関係を円滑に進められる傾向があり、社会性が高いといえます。
たとえば、何か意見や感想を伝える前に相手の気持ちになり、いいまわしを変えたり発言を取りやめたりと冷静に相手の心情をくみ取る力を持っています。
相手の気持ちに寄りそう上で重要なのは客観視です。何事も自分視点のみではなく、俯瞰して捉えることで相手の気持ちを考えた言動を取ることにつながります。
また、大人の場合は、相手の気持ちを考えた上で、適切なタイミングで冗談をいって場を和ませることができる、また、本音と建前をわけて考えて、相手の言動の裏にある意図を読み取れることができるなどができる、なども社会性が高い大人の特徴といえます。
自分の意見を述べることができる
相手に合わせるだけではなく、自分の意見を伝えることも社会性が高い子どもの特徴です。
社会性には、周囲の意図をくみ取る、空気を読めるという点も含まれます。しかし、自分の意見を伝えず周囲に合わせることは社会性が高いとはいえません。
相手の意見や気持ちに寄り添いつつも、自分の意見を伝えて、相互理解を図れる子どもは社会性を身に付けているといえるでしょう。
また、大人の場合は、自分の意見を述べる際に、相手が受け入れやすいように、自分の意見を言い換えたり、具体的な例を挙げてわかりやすく説明することができると社会性が高いといえるでしょう。
他にも、相手の表情や言動に注意しながら、言葉の内容だけでなく、身振り手振りを加えたり、声のトーンや話す際の表情などを工夫することができるなど、自分の意見を述べる際には多くの社会性が現れます。
【子どもの年齢別】社会性の育て方
子どもの社会性は幼児期のうち、4歳~5歳で身に付くといわれています。この年齢は一般的に幼稚園や保育園に通い、集団のなかで対人関係を築きはじめる時期です。
小学生以降、対人関係や集団行動で困らないためにも、年齢に応じた方法で社会性を育む必要があります。社会性を身に付ける場合、早めに取組むようにするとスムーズにいくでしょう。
以下では、年齢別に社会性を身に付けるための方法やポイントをお伝えします。
【0歳~1歳】親子のスキンシップ
0歳~1歳に見られる社交性の予兆として、「あやすと声を出して笑う」「人見知りの感覚の発達」「褒めると同じ動作を繰り返す」などの反応が挙げられます。
しかしながら、社交性を身に付けることは難しいため、親子の信頼関係という土台を築く段階です。
この時期には積極的なスキンシップを意識しましょう。笑顔で声かけをして、子どもの愛情を満たすことで、情緒が安定して周囲との信頼関係を作りやすい状態になります。
【2歳~3歳】子ども同士の争いを見守る
2歳~3歳は一般的に「イヤイヤ期」といわれる時期であったり、ほかの子どもとの関わりが生まれることで、おもちゃの奪い合いなどが生まれたりします。
子ども同士が争った際には止めたくなりますが、できるだけ見守ることがポイントです。この時期のケンカは多くの子どもにとって、はじめての対立する対人関係になります。
ケンカを通して自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちに気づいたりすることは社会性につながるチャンスです。保護者はケンカが終わったあと、子どもと一緒に振り返りの時間を作り、学んだことを褒めたり、深めたりしましょう。
【4歳~5歳】地域行事に参加してコミュニケーションを図る
4歳~5歳の時期はコミュニケーションの量がポイントです。他者とかかわる回数が多いほど社会性を磨くことにつながります。
オススメは地域行事に参加することです。地域のイベントに参加することでイベント内にて多くのコミュニケーションを図れます。さらに、地域のつながりを作ることで継続的な会話の機会も発生しやすく、社会性をより高めるチャンスになります。
地域行事では子どもにとって未知のコミュニケーションの機会でもあり、トラブルも発生しやすいため、しっかりと保護者もそばにいるようにしましょう。
ごっこ遊びは社会性を育むのにオススメ
社会性とは何かを学んだり、身に付けたりする上で「ごっこ遊び」は有効な方法の1つです。具体的には、「ものまね」「おままごと」「ヒーロー・ヒロインごっこ」が挙げられます。
ごっこ遊びは何かを真似ることを通して、表現力や想像力を育める上、一人では成り立たないことも多いため、自然と集団のなかでの協調性や道徳性を身に付けることが可能です。
ものまね
特に0歳~1歳までの子どもにオススメなのが、ものまねです。ものまねはごっこ遊びの基礎・土台となります。
この時期はほかの子どもと遊ぶことは難しいため、保護者の真似をしたり、テレビに出てくる動物の真似をしたりして楽しみましょう。
おままごと
2歳~3歳でオススメなのがおままごとです。ほかの子どもと遊ぶ機会も増えるだけでなく、何かしらの役割を演じて複数人で遊ぶおままごとは、対人関係や集団行動を促すよい機会になります。
おままごとをする際には、身近な人を真似たり、家族で食べるご飯や料理風景など日常の生活シーンを題材にすると、なりきりやすいでしょう。
ヒーロー・ヒロインごっこ
4歳~5歳でオススメなのがヒーロー・ヒロインごっこです。この時期はヒーロー・ヒロインが憧れの存在であるため、幼稚園や保育園でも話題に上がりやすくなるでしょう。
4歳~5歳になると、ほかの子どもと話を作り、ルールを設けて遊べるようになります。そのため、オリジナルストーリーを作り、想像力やコミュニケーション能力を磨くこともオススメです。
子どもの社会性を育める工夫をしよう
社会性とは、集団行動や対人関係を円滑に進める上で必要不可欠な性質や能力です。子どもの頃から上手く育てていかなければ、大人になっても自己主張が上手くできず集団に馴染めなかったり、相手の気持ちがわからず周りとの摩擦を生む原因となるでしょう。
厳しい教育や抑制よりも子どもの自主性を大切にし、承認してあげることが社会性を育むことにつながります。
幼児期はごっこ遊びなどを通して、年齢ごとに適切なアプローチをすることで社会性の土台を育むとよいでしょう。