専門家が教える!家庭ではじめるプログラミング教育のヒント

専門家が教える!家庭ではじめるプログラミング教育のヒント

近い将来、Society 5.0と呼ばれる社会が到来して、AIやメタバースなどの技術がさらに進化することで、私たちの生活は大きく変化するといわれています。そんな時代を生き抜くためには、プログラミングスキルが必須だといわれています。

しかし、プログラミングと聞くと難しく感じてしまう方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、プログラミング教育事業を展開するe-Craft代表の額田さんに、家庭でプログラミング教育をはじめる際の方法を伺ってきました。

<インタビューをさせていただいた方>

株式会社e-Craft代表 額田一利(ぬかだ・かずとし)さん。e-Craftは、プログラミング教育サービス「embot(エムボット)」の企画開発サービス提供を行いながら、「embot(エムボット)」を用いたプログラミング授業・ワークショップの企画・実施、教員向け研修、プログラミングスクール事業などを手掛けています。

プログラミングを知らないまま、社会に出るのはあぶない!?

額田(※以下、額と表記):最近、「Society 5.0」という言葉を聞いたことがありますか?これは、内閣府が発表した未来社会のビジョンです。このビジョンによると、ChatGPTや生成AI、メタバースなどの技術によって、身の回りのほとんどのものがプログラミングで動く時代が来るといわれています。

インタビュアー(※以下、イと表記):えっ、そんなに変わるのですか?本当に数年、または十数年でそこまで社会は変わるものなのでしょうか?

額:昔を思い出してみてください。例えば、20年前。携帯電話は今ほど流行っておらず(例えば、Apple社の「iPhone」が発表されたのは2007年)、待ち合わせ場所を決める際には、公衆電話や家の固定電話を使っていた方も多いですよね。

イ:確かにそうですね。当時はスマートフォンなんて夢のような話でした。

額:IT技術は日々進化しています。20年前と比べて、今と昔では社会が大きく変わりましたよね。 同じように、今の子どもたちが社会に出るときには、プログラミングが当たり前になっている可能性は高いでしょう。子どもたちが、将来の社会で活躍できるよう、今からプログラミングを学ぶことをおすすめします。

今の子どもたちは、プログラミングを使って働くことが当たり前になる

額:とはいえ、全員がJavaScriptやPythonなどのプログラミング言語を使いこなして、プログラムを書けるレベルまで到達する必要はないと思っています。

イ:どういうことでしょうか?

額:子どもたちに大切なのは、大人になったときに、プログラミングをツールとして使えるようになっていることです。

例えば、現代ではパワーポイントやエクセルは、ビジネスパーソンにとって必須のツールだと言えるでしょう。実際に、これらのツールを使いこなせるかどうかは、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。

同じように、子たちが大人になったとき、簡単なプログラミングツールを使って仕事をすることが当たり前になっている可能性が高いです。だからこそ、小学生や中学生のうちから、プログラミングツールを使って、ものづくりをする経験を積んでおくことが大切です。

あとで差が開いてしまわないように、簡単なもので良いので、子どもの頃からプログラミングに触れておいてほしいと思っています。

お子さまも保護者の方も、プログラミングに一度は触れてみよう

イ:いざ、お子さまにプログラミングを学ばせようと思っても、プログラミングに触れたことがない保護者の方も多いと思います。プログラミング教育は、何からはじめれば良いのでしょうか?

額:まず、お子さま向けのプログラミング教育は、簡単なことからはじめられることを知っておいてください。

例えば、私が代表を務めるe-Craftでは、embot(エムボット)という、ダンボールなどの身近な素材で組み立てることができる、プログラミングで動かすロボットを提供しています。

このように、アイコンや矢印パーツをつなげていくだけで、お子さまでも自由にプログラミングができます。

もちろん世の中には、embot(エムボット)だけでなく、さまざまなお子さま向けのプログラミング教材があります。まずは、お子さまが興味を持ってくれそうなものがないかを調べてみてください。

また、無料でできるものを探して、無料体験教室や無料イベントに参加してみるのも良いでしょう。とにかく、プログラミングは一度、実際に触れてみることが大切です。

イ:習い事の体験レッスンに行ってみる感覚に近いでしょうか?

額:おっしゃる通りです!

水泳やサッカーなどの他の習い事であれば、まずは試してみるという保護者の方は多いのですが、プログラミングに関しては、ハードルが高いものだと感じている保護者の方がすごく多いんです。

だけど実際は、炊飯器の予約炊飯の機能や、自動ドアのセンサーやドアの開閉機能など、保護者の方が普段触れているさまざまなものにプログラミングは使われています。

まずは、そういったものに目を向けていただき、保護者の方ご自身が、プログラミングを難しいものだと思わずに身近なものだと感じるようになっていただくことも大切だと感じています。

デジタル時間を有意義にすることからはじめよう

イ:それでも「プログラミングに挑戦するにはハードルが高い」という保護者の方もいらっしゃるかと思います。プログラミング教育に向けて、ご家庭でより気軽にはじめられることはありますか?

額:そういった場合は、お子さまがデジタルに触れる機会を邪魔しないことからはじめてみるのはいかがでしょうか?

例えば、お子さまが動画を見ていると「遊んでいるだけじゃないか」と思われる保護者の方は多いと思います。実際に、うちの子どももタブレットでずっと動画を見ていることがあります。

ですが、一緒に見てみると、案外ためになりそうなのを見ていて驚くことがあります。

実は、動画やゲームなどのデジタルコンテンツは、プログラミングと密接な関係があるんです。子どもがデジタルに触れているときは、「遊んでいるだけだ」「ゲームをしているだけだ」などと決めつけるのではなく、一緒にやってみることを大切にしてください。

お子さまが有意義なデジタル時間を過ごすことは、将来的なプログラミングの学びの意欲につながっていきます。

子どもが興味を持ったデジタルコンテンツに一緒に取組む中で、「これは役には立たないな」「よくわからないけど、ためになっていそうだな」というもの判断していきましょう。

どんな子どもがプログラミングに向いているの?

イ:プログラミングが向いているお子さまの特徴はあるのでしょうか?

額:私の経験では、「何かを作ることが好きで、もっと難しいものを作ってみたい!」という気持ちのあるお子さまが、プログラミングに積極的に取組んでいるように感じます。

イ:たしかに、プログラミングは自分のアイデアを形にすることができる、とても創造的な活動ですよね。

額:そうなんです。ですが、日本では子どもが作ったプログラミング作品が一般の人目に触れる機会が少ないため、「他の子が作ったものを見て、自分も作ってみたい!」という動機が生まれにくいという課題もあります。

そういった背景もあり、ものづくりが好きで、「プログラミングを使って、もっと面白いものを作ってみたい!」という気持ちを持っている子どもが、プログラミング学習に意欲的になる傾向があると思います。

イ:では、保護者の方が「うちの子は物を作ることが好きかも!」と感じたら、プログラミングに向いている可能性があるということでしょうか?

額:はい、そう思います。例えば、お絵描きや工作が好きだったり、ブロックで遊んだりすることが好きなお子さまは、プログラミングにも興味を持ちやすいでしょう。

「うちの子にプログラミングは合うかな?」と迷っている方がいらっしゃったら、お子さまが何か物を作ることを楽しそうにしていたら、試しに、プログラミング教育に取組んでみると良いと思います。

インタビュー後記(まとめ)

額田さんのお話にもあったように、プログラミング教育は、決して難しいものではありません。

むしろ、プログラミングは、子どもたちにとって遊びや学びのツールとして、とても身近なものになりつつあります。未来を生き抜くための力を育むために、ぜひお子さまと一緒にプログラミングに触れていきましょう!

<インタビューでご紹介した各種情報はこちらよりご覧ください>

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