若き起業家「野田慶多(17歳)」が生み出すメタバース空間での学びとは

若き起業家「野田慶多(17歳)」が生み出すメタバース空間での学びとは

中高一貫校を中退して、その後通信の学校やフリースクール、公立の中学校などさまざまな学校を経験した野田慶多さん。コミュニティに馴染めず、新しいコミュニティを探していたところ、eスポーツに出会ったことがきっかけで、動画編集者、ゲームクリエイターとキャリアを歩みはじめます。今回は野田慶多さんに、起業までの軌跡をお伺いしました。

<インタビューをさせていただいた方>

株式会社EbuAction CEO 野田慶多(のだ けいた)さん。17歳(本記事公開時点)。 栄光学園中学高等学校 中退。2021年よりeスポーツチーム KAWAZのゼネラルマネージャーとして新体制の立ち上げを行い、フォートナイト最高峰の競技大会といわれるFNCSでASIA CHAMPION獲得に導く。その後、株式会社EbuActionを設立。EbuActionでは、フォートナイトに特化したメタバース制作スタジオ「BORDER」と、フォートナイト / UEFNに特化したメディア「BORDER GATE」を運営。

中学生で起業した際の原点!eスポーツから動画編集者へ

インタビュアー(※以下、イと表記):野田さんは中学生の頃に起業をされていますが、どのような経緯で起業をされたのでしょうか?

野田(※以下、野と表記):中学生の頃は、中高一貫校を中退して、その後通信の学校やフリースクール、公立の中学校などさまざまな学校を転々としていました。

コミュニティに馴染めず、新しいコミュニティを探して転向を繰り返していたのですが、そんなときにeスポーツと出会いました。起業を考えてeスポーツの世界に入っていたわけではないのですが、振り返るとeスポーツの世界に出会ったことが起業のきっかけだったと思います。

イ:eスポーツではどのようなことをされていたのですか?

中学2年生の終わり頃から、eスポーツの法人がやっているチームに入ってチーム運営をするようになりました。

最初はプロのeスポーツ選手をめざしていたのですが、実際にプロの選手を目の当たりにすると、自分より圧倒的に上手な人たちばかりで、自分がeスポーツの選手として成功するのは難しいと感じました。そこで、自分が憧れていたeスポーツの世界に近づく方法は何かないだろうか?と考えた結果、チームの運営に携わることにしたんです。

イ:eスポーツのチームの運営は、お仕事として受けていたのでしょうか?

野:いえ、たまにイベントなどでお金を少しはいただけたのですが、立場としてはほぼボランティアでした。

経済的に自立して、自分の好きなように生活したいと思っていたのですが、eスポーツだけで生計を立てることは難しかったです。運営していたチームがアジア大会で優勝しても、スポンサーがなかなか集まらなくて苦戦しました。

なので、お金を稼ぐ術として、そこから動画編集の勉強をはじめました。動画編集の技術を身に付けてからは、eスポーツのチームをアピールする動画を作成したり、チームの運営以外でも、動画編集の仕事を個人で受けたりするようになり少しずつ稼げるようになっていきました。

中学退学という決断がくれた勇気!失敗を糧に新しい世界へ

イ:チームの運営や動画編集など、新しい環境に飛び込むことは勇気のいることだと思います。どうやって、不安を乗り越えて行動に移したのでしょうか?

野:行動に移せたのは、受験を頑張って入学した中学校を1年で辞めるという決断をしたことが大きかったと思います。

中学退学後は、多くのコミュニティやそこでの挫折を経験しました。その都度、「失敗から学び、次こそは!」という気持ちで、積極的にいろいろなことに挑戦してきました。そういった経験のおかげで、新しいことに挑戦する際の抵抗感がなくなっていきました。

フォートナイトとの出会いからメタバース制作スタジオへ

イ:野田さんは現在、「受託開発特化のメタバース制作スタジオ」の事業をされていますよね。動画編集からどのようにして、今の事業に変わっていったのでしょうか?

野:今の事業の元となったのは、中学入学後にフォートナイトにハマったことでした。今のメタバース制作はフォートナイトをメインで扱っています。

イ:フォートナイトといえば、メタバース空間でバトルロワイヤルなどができる世界中で流行っているゲームですよね。フォートナイトのどういったところに魅力を感じたのでしょうか?

野:フォートナイトの魅力は、人と人とが繋がれることだと思います。

今の小中学生って、学校の校庭や公園で遊ぶのと同じくらいに、各自の家からオンラインでつながるゲーム機器やパソコンなどで、フォートナイトにアクセスして、放課後にデジタルの世界で集まることが一般的になりつつあるんです。

当時の僕は、フォートナイトのメタバース空間で、レースゲームやかくれんぼ、鬼ごっこなど、公園でやるような遊びもやっていました。フォートナイトを通して、クラスメイトと仲良くなったり、新しい友達ができることもありました。

イ:すごいですね!今の親世代とは、価値観が変わってきていると感じます。

野:そうかもしれないです。ちなみに、フォートナイトで遊べるゲームは、ユーザーが自由に作れるってご存知ですか?

イ:えっ、そうなんですか?

野:そうなんです!僕はシューティングゲームが好きだったので、当時はフォートナイト内にシューティング用の練習場を作って、そこで友達と遊んでいました。自分の作ったもので友達が遊んでいることは嬉しかったですね。

フォートナイトで教育を変える?義務教育への不満と挑戦

イ:それがフォートナイトを活用した事業に至った理由なんですね!

それも理由の1つなのですが、実はそれだけでなく、当時は義務教育への不満を抱いていたタイミングだったので、フォートナイト内で義務教育に代替するサービス・コンテンツを作ろうと考えていました。

イ:義務教育の不満とは、どのようなものだったのでしょうか?

野:公立の中学校やフリースクール、通信の学校のそれぞれを経験したのですが、義務教育は良くも悪くもある程度のレベルに合わせた教育をせざる得ない側面があると思います。

そのため、好奇心が強い子どもには物足りなさを感じてしまう場面があると思っていて、フォートナイトを通じて、好奇心がある子どもが自分の追求したいことにもっと集中できるような選択肢を提供できないかと考えています。

フォートナイトで学ぶ農業体験!「comotto」とのコラボで実現

イ:実際に野田さんは「comotto」とコラボして、フォートナイト内で自然や環境を学べる農業体験のゲームコンテンツを製作されていますよね。

野:はい!自然や環境を学ぶためのコンテンツとして、農業の様々なステークホルダーの仕事を実際に体験できる、ゲームコンテンツを製作しています。

フォートナイト内では、野菜の栽培や収穫ができて、収穫した野菜を販売することもできます。農業に関するクイズも用意していますし、自分で育てた野菜を販売してコインを得れば、フォートナイト内で買い物もできます。お子さまの好奇心に合わせて、学びを追求できるように工夫をして開発をしているので、多くの方に使っていただけたら嬉しいです。

インタビュー後記(まとめ)

ご自身がコミュニティに馴染めなかった経験や、義務教育に対して抱いた不満から、子どもたちが楽しく学べて、新しいコミュニティを得るきっかけにもなれるようにと、フォートナイトを活用した学びのコンテンツの提供をしている野田慶多さん。

「フォートナイトを通じて、好奇心がある子どもが自分の追求したいことにもっと集中できるような選択肢を提供したい」と、力強く語ってくれた様子がとても印象的でした。