モバイル社会研究所実施の子どもスマホに関しての調査
「comotto」を運営するドコモでは、社会科学系の研究所であるモバイル社会研究所にて子どものスマホに関する調査を実施しております。
本記事では、モバイル社会研究所が実施した子どものスマホに関しての調査結果を公開いたします。
2023年11月実施調査 概要
- 調査方法:訪問留置調査
- 調査対象:関東1都6県・小学生及び中学生とその親
- 回答数:600
- サンプリングQUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県の人口分布に比例して割付。
- 調査時期:2023年11月実施
子どものスマホ所有理由・所有開始の調査結果
どのような理由でスマホを持たせたのか、その結果は図1の通り、「緊急時の連絡」「子どもから欲しいと言われた」「子どものいる場所把握」が上位でした。
図1. 【小中学生】スマホを持たせた理由(n=280)複数回答
スマホを持たせた理由を、持たせた時期別に見ていきます。図2は小学生からスマホを持たせた理由になります。「緊急時の連絡」が最も高いです。男女で比較すると、女子が「子どもに欲しいと言われた」が男子より10ポイント高いです。中学生からスマホを持たせた理由としては「緊急時の連絡」が最も多いですが、「子どもに欲しいと言われた」も4割を超えています。また女子は「友達が持ち始めた」も4割を超えています。
図2. 【小中学生】スマホ所有理由(小学生から持たせている)
図3. 【小中学生】スマホ所有理由 (中学生から持たせている)
キッズケータイの所有理由になります。図4の通り「緊急時の連絡」が7割を超え、「子どもの居場所の把握」も半数近いです。
図4. 【小中学生】キッズケータイを持たせた理由(n=210)複数回答
小中学生でスマホを持たせている親にいつから持たせているかを調査した結果、図5の通り10.6歳でした。3年連続変わらない状況ですので、スマホ所有年齢の低年齢化が下げ止まったと言えそうです。
図5. 【小中学生】スマホ所有開始年齢(経年変化)
男女別にスマホ所有開始年齢を見ると、男女ともに中学生になるタイミングの12歳が最も多いです。次に多いのが女子は11歳に対し、男子は13歳と若干女子の方が所有開始年齢は低いです。
図6. 【小中学生】スマホ所有開始年齢(男女別)
居住エリア別にスマホ所有開始年齢を見てみます。図7の通り、北関東(茨城・栃木・群馬)では、13歳が最も多いです。南関東(埼玉・千葉・神奈川)では12歳が最も多く、北関東よりスマホ所有時期がやや早いです。また、東京も12歳が最も多いですが、10・11歳も2割ぐらいと、他の地域と比べ、所有時期が早くなっています。
図7. 【小中学生】 スマホ所有開始年齢(居住地域別)
小中学生が自分専用のスマホ・キッズケータイを所有している状況をお伝えします。スマホの所有率は全学年上昇しました。特に小学生高学年では初めて4割を超えました。キッズケータイの所有率は前年とあまり変わりはないです。
図8. 【小中学生】スマホ・キッズケータイ所有率(経年変化)
スマホ・キッズケータイの所有率を学年別に見ると、図9の通り、小学6年生で半数を超えます。また、中学生になると7割を超え、3年生では8割に達します。
図9. 【小中学生】スマホ・キッズケータイ所有率(学年別)
最初に使いはじめた子どもの自分専用のスマホ(Wi-Fiでの利用を含む)はどのようにして手に入れたか聞いた結果、小学生の半数以上、中学生の3人に2人が販売店の店頭で購入していました。また、家族の中古を譲った割合も約3割いました。
図10. 【小中学生】最初に使いはじめた子どもの自分専用のスマホの入手方法
出典:小中学生にスマホを持たせた理由「緊急時の連絡」「子どもから欲しいと言われた」「子どものいる場所の把握」が上位
出典:小中学生のスマホ所有率上昇 調査開始から初めて小学校高学年で4割を超す
2022年11月実施調査 概要
- 調査方法:訪問留置調査
- 調査対象:関東1都6県・小学生及び中学生とその親
- 回答数:600
- サンプリングQUOTA SAMPLING、性別・年齢(5歳刻み)・都道府県の人口分布に比例して割付。
- 調査時期:2022年11月実施
子どものスマホ管理・不安に関する調査結果
小中学生が自分専用のスマホを持った時、親はどのくらい管理(ペアレンタル・コントロール・サービスを利用)しているのでしょうか。調査の結果、小学生では75%、中学生だと58%が利用しています。中学生の17%は、契約時(初めてスマホを購入した時)には契約していましたが、その後利用しなくなりました。
図11. 【小中学生】ペアレンタル・コントロール・サービスの利用状況
※子どもがスマホを所有している人が対象
ペアレンタル・コントロール・サービスの実施率を経年で見ます。小学生はやや増加、中学生はやや減少傾向にあります(図12)。
図12. 【小中学生】ペアレンタル・コントロール・サービスの利用状況(経年変化)
※子どもがスマホを所有している人が対象
ペアレンタル・コントロール・サービスの実施内容を図13に示します。閲覧内容のフィルタリングが学年問わず、8割を超えています。小学生の方が、多くのサービスを利用している状況です。
図13. 【小中学生】ペアレンタル・コントロール・サービスの実施内容
※子どもがスマホを所有し、ペアレンタル・コントロール・サービスを利用している人が対象
少し別の視点からペアレンタル・コントロール・サービスを見てみます。図14は親がペアレンタル・コントロール・サービスの設定ができるかを調査した結果になります。閲覧内容のフィルタリングはスマホを持たせている親の7割が実施しています。その一方、いずれのサービスも設定できない親も約2割います。
図14. 【小中学生】ペアレンタル・コントロール・サービスを親が設定できる項目
何らかのペアレンタル・コントロール・サービスが設定できる親といずれの設定もできない親を比較し、ペアレンタル・コントロール・サービスの利用状況を見てみると、27ポイントの差がありました(図15)。なお、18歳未満の方がスマホを購入した時には、原則フィルタリングサービスへの加入が義務化されています。
図15. 【小中学生】ペアレンタル・コントロール・サービスを親が設定可否とサービス利用
親が子どもにスマホの使い方について、不安に思うことを調査し、図16に示しています。最も多くの親が不安に思っていることは「安全な使い方(悪質サイト・アプリの見分け方等)」、次いで「ネット上のお金の使い方」「時間の管理方法」と続きました。また、小学生の親の方が中学生の親より、多くの項目で不安を感じています。
図16. 【小中学生】 子どもにスマホの使い方を教える時に不安に感じる事(複数回答)
子どものスマホ所有の有無別に見てみます。図17の通り、全項目でスマホを所有させていない親の方が教えられるか不安に思う項目が高いです。その理由として①スマホを持たせていない為に教える機会がなく、不安が先行している②不安が払しょくできない為に子どもにスマホを所有させていない等が推察されます。
図17. 【小中学生】子どもにスマホの使い方を教える時に不安に感じる事 スマホ所有別(複数回答)
子どもの性別ごとに親の教えることへの不安を見ています。「お金の使い方」は男子の方が14ポイントも高いです。また連絡の取り方を教えるのは女子の方が高いです。これは性別による使い方の違いが影響していると推察されます。
図18. 【小中学生】 子どもにスマホの使い方を教える時に不安に感じる事 男女別(複数回答)
出典:スマホを持たせる時、ペアレンタル・コントロール・サービスを利用していますか?
出典:小中学生の親がスマホの使い方を教える時に最も不安に感じるのは「安全な使い方(悪質サイト・アプリの見分け方等)」
子どものスマホ活用内容の調査結果
小中学生はどのくらいゲームを行っているか、今回は「スマホ(タブレット含む)」と「ゲーム専用機(Nintendo Switchやプレイステーションなど)」で分けて分析してみました。
図19では小中学生別の利用頻度の結果となります。スマホでのゲーム利用は小学生で6割、中学生になると7割利用しています。毎日1時間以上の割合も小学生で5人に1人、中学生だと3人に1人となります。
図19. 【小中学生】ゲームの利用頻度
ゲームの利用率を男女別に見たのが図20となります。スマホ・ゲーム専用機問わず、男子の利用が高いです(図20)。
図20. 【小中学生】ゲーム利用率(男女別)
ゲームを利用している小中学生の利用頻度を基に「スマホ」「専用ゲーム機」どちらが多いか分析した結果が図21です。小学生は「ゲーム専用機」、中学生になると「スマホ」が多くなる傾向です。
図21. 【小中学生】スマホとゲーム専用機の利用頻度が高い割合
SNSの利用時間(LINE・Instagram・TikTok・Twitterの利用時間を合わせた結果)は図22の通りです。平均すると、小学生低学年が10分、高学年が24分、中学生が72分となりました。中学生の利用には個人差が大きく、12%が未利用であるのに対し、毎日3時間以上使うも12%いました。
図22. 【小中学生】SNS利用時間
SNSの利用(LINE・Instagram・TikTok・Twitterをいずれか利用)率が、図23の通りです。また各サービス別の利用率は図24の通りとなります。男女別では女の子の利用が男の子より高い傾向です(図25)。
図23. 【小中学生】SNS利用率
図24. 【小中学生】サービス別利用率
図25. 【小中学生】サービス別利用率(男女別)
それでは家庭において、どのくらいの時間までネットを利用しているか、調査をした結果を図26に示します。親が子どもにスマホの使い方について、不安に思うことを調査し、図26に示しています。小学生の約8割が午後9;00までに終えると回答しています。中学生で午後9:00までに終える人は約2割であり、午前12:00以降も約2割いました。
図26. 【小中学生】ネット終了時間
ネットの利用時間の平均を算出すると、小学生は午後8:34、中学生では午後10:25となりました。この結果を2018年調査と比較すると、小学生で17分、中学生では26分も遅くなっています。
図27. 【小中学生】 ネット終了平均時間(経年変化)
次にスマホ長い時間使い過ぎてしまうことがあるか、調査しました。図28の通り、7割を超える小中学生があると回答しました。
図28. 【小中学生】 スマホを使い過ぎてしまうことがある 学年男女別
※スマホ所有者が対象
スマホを使い過ぎてしまう理由を聞いてみました。男女・学年問わず、「楽しくてやめられない」が最も多い結果です。中学生では男女に差が見られ、男子は「暇つぶし」、女子は「友達付き合い」「話題となっていることを見逃したくない」が多い傾向でした。
図29. 【小中学生】スマホを使い過ぎてしまう理由 学年男女別(複数回答)
出典:中学生のSNS利用時間平均72分 毎日3時間以上が12%
出典:中学生のネット終了時間は午後10時25分 4年で26分遅くなる
親子間のスマホに関するルールの調査結果
スマホ利用の親子間ルールが破られた時の対応について、お伝えします。図30はルールを破られた時の対応を2018年調査と2022年調査を比較したものです。小学生、中学生ともに減少しているのが「取り上げる」です。それに対して増加しているのは「利用を規制する」「話し合う」でした。
図30. 【小中学生】スマホ利用の親子間ルールが破られた時の措置(複数回答)
※スマホ所有者が対象
男女別に親子間ルールが破られた時の対応について見ます。男子は女子と比較し「取り上げる」「利用を規制する」割合が高く、「注意する」がやや低いです。男子は比較的、強めの措置を取られることが特徴的です。
図31. 【小中学生】スマホ利用の親子間ルールが破られた時の措置(複数回答)男女別
※スマホ所有者が対象
ルールを破った時の措置がどのような組み合わせで行われているか、小学生・中学生それぞれ上位を見てみます。図32の通り、小中学生ともに、「注意する」との組み合わせ、もしくは単独が上位となっています。破られたルールの内容もしくは頻度によって段階が踏まれている様子が垣間見られます。
図32. 【小中学生】スマホの親子間ルールが破られた時の措置の組合せ(%)
※スマホ所有者が対象
スマホを所有している子どもは親とどのようなルールを設けているか、調査した結果を図33に示しています。学年問わず多いのが、料金に関わる項目です。また低学年では「場所・時間」に関連すること、学年が上がると「個人情報」に関わるルールが増えています。
図33. 【小中学生】スマホの親子間ルール(%)スマホ所有者が対象
親子間ルールがこの5年でどのように変化しているか、示したのが図34です。小学生は増加し、中学生は減少しました。小学生は特に「個人情報・料金」に関するルールが大きく増えています。
図34. 【小中学生】 スマホの親子間ルール経年変化(%)スマホ所有者が対象
それでは何故小学生のルールは増えたのか、関連する調査結果をみます。図35はスマホルール「決められた時間だけ」を設定しているか、また設定しても破られてしまうか、聞いた結果です。小学生は2018年と比較し、設定している割合が5ポイント減りました。中学生はルール未設定の割合が7ポイント減り、ルール設定しているが、破られてしまう割合が6ポイント減りました。背景として、この間スマホの低年齢化が進み、今の中学生は小学生時代からスマホを持つ割合が増えました。つまり、中学生はある程度スマホに慣れている人が多い(親子間ルール設定期間も長い)と推測されます。一方、小学生はGIGAスクール構想もあり、より利活用が増えたと思われます。その結果、ルール設定項目も増えたのではないでしょうか。
図35. 【小中学生】ルールとして「決められた時間だけ」を設定している