小学生が通うフリースクールとは?通うメリット・デメリットや小学校との違いをご紹介

小学生が通うフリースクールとは?通うメリット・デメリットや小学校との違いをご紹介

「フリースクール」とはどのようなものか、ご存じでしょうか。この記事ではフリースクールと不登校との関係から、子どもを通わせるメリットやデメリットなどについてまとめています。フリースクールの利用を検討している方、子どもの不登校に悩んでいる方は、ぜひご覧ください。

「子どもが不登校で学校からフリースクールをすすめられたけど、フリースクールって何?」

 「フリースクールと小学校って何が違うの?」

 このように、「フリースクール」という言葉を聞いたことはあっても、それがどういうものかわからない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、フリースクールとはどのようなものかをはじめ、不登校との関係や運営される目的を紹介しています。記事を読むことで、フリースクールが作られた理由や、実際の活用事例などがわかるでしょう。

また、フリースクールと小学校の違いや、フリースクールが向いている小学生の特徴、フリースクールに通うデメリットについても紹介しています。フリースクールと小学校のどちらがいいのか、本当に通わせるのか、検討する際の参考になるでしょう。

フリースクールに興味がある方や、子どもが学校に行きたがらず困っている方は、ぜひこちらの記事をチェックしてみてください。

小学生が通うフリースクールとは?

「フリースクール」とは、小学校以外の学びの場として用意されている教育機関です。

学校のカリキュラムや、環境になじめない子どもたちのために、それぞれが自由に過ごし方を決められるところが多いのが特徴でしょう。

フリースクールは公営ではなく、民間やNPO法人などが運営しています。不登校からの学校への復帰や、生活の矯正など、フリースクールに通う目的はさまざまです。

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フリースクールと生徒の不登校の関係

文部科学省では、不登校を解決するための取組みを行っていますが、そのなかにフリースクールも含まれています。

ここでは、不登校になる子どもはどの程度いるのか、フリースクールを使った不登校への取組みとは、どのようなものかを紹介するため、参考にしてみてください。

出典:     フリースクール・不登校に対する取組|文部科学省     

【文部科学省令和4年調査】小学校で不登校になった生徒は約10万人

文部科学省が不登校への取組みを行う背景には、小学生で不登校になる生徒の数が年々増えてきていることが影響しているでしょう。

令和4年度の文部科学省の調査によると、平成23年度には約2万2千人だった不登校者数は平成28年度に3万人を越え、令和2年度には約6万3千人となり、令和4年度には10万人を突破したという結果が出ています。

特に平成29年度頃から、不登校の数は加速度的に増えてきており、増加が止まらない状況です。

出典:     令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要|文部科学省     

【文部科学省令和4年集計】不登校を改善する手立てのフリースクール

不登校になった子どもの相談・指導先はさまざまあります。そのなかでも多くの相談を集めているのが、スクールカウンセラーやフリースクールなどでしょう。

大量に増えた不登校の生徒に対して、不登校を改善するため、また不登校の子どもに居場所を提供するために必要とされているのがフリースクールです。

学校に通えない子どもたちにとって、フリースクールは社会的自立をめざすための新たな居場所になります。フリースクールに通うことで、不登校を改善していける可能性があるでしょう。

フリースクールが運営される目的

フリースクールは、なんらかの事情で学校に通うのが難しくなった子どもの居場所を作ることを目的として、民間が運営する教育機関です。

フリースクールでは、子どもたちのための学習活動や体験活動を実施したり、教育関係の相談を受けたりしています。

不登校になった子どもは、家庭以外の居場所を失っている可能性があります。そんな子どもたちに落ち着ける居場所を与えるために、フリースクールは存在しています。

フリースクールが設置・増幅された背景

フリースクールが設置され、その数が増えてきた背景には、「不登校になる子どもの数が増加の一途をたどっている」という事情があります。

不登校になる小学生の数は、平成3年度頃から毎年微増していましたが、平成10年度頃に急増しました。以降そのままの水準で推移していましたが、平成28年度以降はさらに急拡大し、令和4年度に10万人を越えました。

フリースクールは民間の運営であるため、公式な統計は存在しませんが、文部科学省の調査によると、全体の約7割が平成12年以降に設立されたことがわかっています。

このことから、不登校が増えた時期と、フリースクールの設立時期は重なっているといえるでしょう。

出典:     令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について|文部科学省     

出典:     小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査|文部科学省     

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フリースクールに通うのがおすすめな小学生の特徴

不登校になってしまい新しい居場所を作りたい子どもや、同じ境遇で理解しあえる仲間がほしい子どもにとって、フリースクールに通うのはおすすめの方法ですまた、学校には通えなくても、勉強は続けたいという子どもにも向いています。

フリースクールは、学校よりもリラックスできる環境なため、不登校の子どもでも通いやすいでしょう。また、フリースクールに通っている子どもは同じ不登校の境遇にあるため、お互いの状況を理解しあえます。仲のよい友達を作れるでしょう。

学校で学ぶのが難しい子どもでも、学習意欲がある場合は、フリースクールで勉強することは可能です。

フリースクールと小学校の「4つ」の違い

民間が運営しているフリースクールは、公的な教育機関ではありません。教育機関である小学校とは、さまざまな面で違いがあるため、その特徴を知っておく必要があるでしょう。

ここでは、フリースクールの特徴を4つ紹介します。フリースクールの利用を検討している方は、こちらを参考にしてみてください。

  • 子どもたちで話し合ってルールを作る
  • さまざまな年齢の子と行動する
  • 授業時間数の設定がない
  • 少人数や個別学習は多い

子どもたちで話し合ってルールを作る

小学校や中学校には「校則」という学校のルールがありますが、フリースクールには決められたルールはなく、子どもたちで話し合って決めることが多いでしょう。

これは、フリースクールでは子どもたちの主体的な行動を重視しているためです。大人が作ったルールに従わされるのではなく、子どもたち自身でどのようなルールが必要なのかを話しあいます。

さまざまな年齢の子と行動する

小学校での行動は、基本的に学年ごとにわけて行われるでしょう。しかし、フリースクールでは学年という区切りを設けず、さまざまな年齢の子と一緒に行動します。

年上の子どもと年下の子どもが一緒に行動するため、年上の子どもは、自然に年下の子どものサポートやフォローをするようになります。これは、学年でわけて行動しないフリースクールだからこそ得られる学びといえるでしょう。

社会人になって、さまざまな年代の人とかかわる必要が出てきたときにも役立つ体験です。

授業時間数の設定がない

フリースクールには「学習指導要領」などはないため、学習内容や授業時間を自由に決められます。これによって、学習が難しい状況の子どもには学習の時間を設けなかったり、個々の学習状況に合わせて学習時間を設定したりすることが可能です。

しかし、同年代の子どもよりも学習内容で劣る可能性は否定できません。フリースクールの学習だけでは遅れが気になる場合は、教材を利用して学ぶことも検討してみてください。

家庭学習には、「comotto」の利用がおすすめです。「dキッズ」は、子どものデジタル時間が””学べる・遊べる・夢中になれる””時間になるように設計された知育アプリです。豊富なジャンルで、実績のあるコンテンツを、人気キャラクターと楽しく学べます。

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出典:     dキッズ|comotto     

少人数や個別学習は多い


学年、クラスごとに学習する小学校とは違い、フリースクールでは少人数あるいは個別学習が多くなっています。

小学校の多人数での学習では、ついていけない子どもがいたとしても、その子どもに合わせるのは難しいものがあるでしょう。しかし、フリースクールは少人数、あるいは個別学習なため、それぞれの子どもの進み具合に合わせることが容易です。

学習が遅れやすい子どもは、小学校よりもフリースクールの方が向いているでしょう。

【10選】小学生がフリースクールに通うメリット

小学校ではなくフリースクールに通うことには、子どもにとって、さまざまなメリットがあります。

フリースクールは、不登校の子どもの居場所を作ることを目的として運営されています。民間の施設であるため、公的な教育機関である小学校とは同じような待遇は受けられません。

しかしながら、フリースクールならではのメリットも存在します。以下で詳しく見ていきましょう。

  • 同じ境遇の友達ができる
  • 学校以外で勉強ができる
  • 居場所を作れる
  • 出席扱いできる可能性がある
  • 子どもがあんしんできる環境が整っている
  • 通いたいときにフリースクールへ通える
  • 無料で通えるフリースクールもある
  • カウンセリングが受けられる
  • 個性に合わせた教室にしてもらえる
  • 勉強の遅れを巻き返せる

同じ境遇の友達ができる

フリースクールには、何らかの事情で学校には通えない子どもたちが通っているため、みんな同じような境遇です。境遇が似ている子どもたちと接することで、お互いに理解しあえる友達ができるでしょう。

元の学校での友達は学校に通っているため、不登校の子どものことを理解できない可能性があります。

しかし、フリースクールにいる子どもは自分自身も学校に通えないため、気持ちを理解してくれるでしょう。同じ境遇の友達と過ごすことで、強い絆を築ける可能性があります。

学校以外で勉強ができる

フリースクールでも、学校のように勉強することは可能です。

学校ではあんしんして勉強できないという子どもも、少人数や個別学習できる環境では、よりリラックスして勉強に励めるようになる可能性があるでしょう。

「学校には行きたくなくても、勉強はしたい」と考えている子どもの場合、フリースクールは選択肢の1つになります。もし、フリースクールの勉強だけでは足りない場合は、「comotto」の利用で学習内容をさらに増やしてみましょう。

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居場所を作れる

フリースクールに通うことで、同じ境遇にある同年代の子どもたちと過ごせる、新しい居場所を作ることが可能です。

多くの場合、学校に行けなくなってしまった子どもにとっての居場所は家庭だけでしょう。同学年の子どもと触れ合える場所もまた、なくなってしまう可能性があります。

居場所がなくなった子どもは、「疎外されている」と感じて、孤独に陥ってしまうリスクがあります。

フリースクールに通って新しい居場所、お互い同じような境遇の友達を得ることで、子どもは新たな社会との繋がりを作ることができるでしょう。

出席扱いできる可能性がある

要件さえ満たせば、小学校ではなくフリースクールに通っても出席扱いになる可能性があります。

これは、不登校の子どもに対する支援の1つで、義務教育制度を前提とした一定の要件を満たした場合に、校長がフリースクールなどの施設で相談や指導を受けた日を出席扱いにできるというものです。

一定の要件とは、子どもが社会的に自立できるように指導や相談を行っており、子どもが学校への登校を望んだ際にスムーズに学校に戻れるように支援している場合になります。こちらを適用したい場合は、学校の先生や校長に相談しておきましょう。

出典:     義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて|文部科学省     

子どもがあんしんできる環境が整っている

フリースクールでは、不登校の子どもに対して知識や理解のあるスタッフが対応してくれるため、子どもがあんしんして通えます。

不登校の子どもにとっては、周囲の理解が大切です。知識や理解のあるスタッフが揃っているフリースクールのなかであれば、子どもはあんしんして過ごすことができます。

何か悩みや不安があっても、スタッフに相談することで解消できるでしょう。

通いたいときにフリースクールへ通える

フリースクールには、学校のように決まったカリキュラムはないため、子どもが通いたいときにだけ利用するということも可能です。

通常の小学校に通っている場合は、決まったカリキュラムで授業が進むため、休んでしまうと授業についていけなくなることがあります。

しかし、フリースクールは個人のペースに合わせて学習を進めるため、休んでも追いつけなくなることはないでしょう。

子ども自身のペースで通うことができるのが、フリースクールのメリットの1つです。

無料で通えるフリースクールもある

フリースクールは民間が運営しているため、有料なことが多いですが、NPO法人が運営しているフリースクールのなかには無料で通えるところもあります。

学校の費用と同時にフリースクールの費用も支払うのが厳しい場合は、無料で利用できるフリースクールを探してみるとよいでしょう。

カウンセリングが受けられる

多くのフリースクールで相談やカウンセリングを受けつけているため、親子でカウンセリングを受けられるメリットもあるでしょう。

なかには、フリースクールに専門のカウンセラーが常駐しているケースもあります。不登校に関する悩みについて、子どもだけでなく親も相談できます。カウンセリングを受けることで、悩みや不安の解消に役立つでしょう。

フリースクールを探す際に、カウンセリングを受けつけているか、専門のカウンセラーが常駐しているか確認しておくことをおすすめします。

個性に合わせた教室にしてもらえる

子どもたちの個性はさまざまです。フリースクールでは、それぞれの子どもに合わせたカリキュラムを組み、特性を理解してそれを活かすような指導が行われます。

学校に通えない子どもといっても、通えなくなった理由はさまざまです。

フリースクールでは、資格のあるスタッフがそれぞれの子どもの個性を理解し、子どもに寄り添った指導を行うため、子どもの成長が期待できるでしょう。

勉強の遅れを巻き返せる

フリースクールでは少人数での学習や個別学習を受けられるため、勉強の遅れを巻き返すことも可能です。

勉強に遅れが出ているということは、子どもがどこかの段階で、つまずいてしまっているということです。フリースクールでは子どもがどこまで理解しているのか把握し、わからなくなったところまで戻って指導してくれるため、理解しやすくなるでしょう。

学校では難しいようなことでも、フリースクールでは対応してくれることがメリットです。

【4選】小学生がフリースクールに通うデメリット

フリースクールは何らかの事情で学校に通えない子どもたちにとって、新しい居場所になる重要な施設です。しかしながら、小学校ではなくフリースクールに通うことには、デメリットも存在します。

子どもの将来に影響したり、家計への負担が増えたりする可能性があるため、フリースクールを検討している場合は、デメリットについても押さえておきましょう。

将来的な進路に影響が出る

高校生でフリースクールに通っていた場合、卒業の要件を満たせず、高卒の資格が得られない可能性があるでしょう。

これは、高校を卒業するためには、高校の定める単位を74単位以上修得しているなどの要件が定められているためです。

小学校や中学校は、基本的に留年することはありませんが、高校は違います。高卒の資格を得られないと中卒扱いとなってしまうため、将来の選択肢が狭まる可能性が高いでしょう。

進路への悪影響を避けるには「高校卒業程度認定試験」への合格や、フリースクールと併用して定時制、通信制高校にも通うといった対策が必要です。

出典:     諮問参考資料(高等学校早期卒業関係)|文部科学省     

出典:     高等学校卒業程度認定試験とは|文部科学省     

学習内容が受験に不向きな場合がある

フリースクールでは、普段の勉強の遅れを取り戻すことはできますが、受験対策の勉強は行っていないため、将来受験したい場合は向いていません。

もし、受験が必要な中学校や高校への入学をめざしている場合は、フリースクールの勉強だけでは不十分です。子どもに家庭教師をつけるか、塾へ通わせるなど、フリースクール以外で受験勉強をサポートできるようにする必要があります。

就職が難しい可能性がある

フリースクールでは就職のサポートを行っていないことが多いため、子どもの就職が難しくなる可能性があります。

フリースクールでの就職サポートは、主に先生に相談したり、過去のフリースクールの卒業生の就職先を聞いたりすることです。学校のように就職先の紹介は、あまり行っていないでしょう。

就職へのサポートを行っているフリースクールでも、学校よりもサポート体制が充実していないことがデメリットです。

費用が約8万円と割高になる可能性がある

有料のフリースクールに通わせる場合、入会金として平均約5万3千円、会費(授業料)平均約3万3千円(1月あたり)が必要になることがあります。

入会金や会費を徴収していない施設もありますが、有料の施設の場合は平均してこの程度の費用がかかります。

入会金は入会時のみの支出ですが、会費については毎月かかるため、家計への負担が重くなる可能性があることを知っておきましょう。

出典:     小・中学校に通っていない義務教育段階の子どもが通う民間の団体・施設に関する調査|文部科学省     

小学生でフリースクールに通う選択肢も検討しよう

近年、不登校になる子どもの数は年々急増してきています。もし子どもが不登校になってしまった場合、新たな子どもの居場所として、フリースクールは重要な施設です。

フリースクールに通うことには、メリットもデメリットもあります。しかし、小学生のうちに通う場合は、デメリットはあまりないでしょう。

フリースクールに通ううちに勉強の遅れを取り戻し、他の子どもとのコミュニケーションにも慣れて、やがて学校へ戻れる可能性があります。子どもにあんしんして学べる環境を与えるためにも、フリースクールの利用を検討してみましょう。