カマキリってどんな虫?食べるものや生息している場所・種類について解説!
カマキリの体には、狩りに特化したさまざまな能力が備わっていることをご存じでしょうか。この記事では、カマキリの生態に加え、身近で見つけられる種類とその特徴について解説しています。カマキリについて詳しく知りたい方は、ぜひ、本記事を参考にしてください。
「カマキリって、どのように狩りをするんだろう?」
「カマキリが、どのような生きものを獲物として狙っているのか知りたい」
「日本には、どのような種類のカマキリがいるのかな?」
カマキリの生態について、さまざまな興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、狩りに特化したカマキリの身体能力について紹介しています。この記事を読めば、カマキリがどのようにして獲物を捕まえるのか、詳しく理解できるでしょう。
また、生息場所や種類ごとの特徴についても解説しているため、カマキリの生態についての全般的な知識が身に付きます。
その知識をもとにすれば、自然のなかでカマキリを見つけたときに、種類を推定するための参考にできるでしょう。
カマキリの身体能力について知りたい方はもちろん、カマキリの種類について詳しく知りたい方は、本記事をご覧ください。
カマキリの体の特徴
ここでは、カマキリの体の特徴について詳しく解説します。
カマキリの特徴はその外見ですが、足や目の形状にはすべて意味があります。
カマキリ特有の大きな鎌のような足や、特徴的な目の働きのほか、天敵から身を守るための方法など、カマキリについての知識を深めましょう。
名前の由来でもある鎌状の前足
カマキリの体の特徴は、大きな鎌のような前足です。
「カマキリ」の名前の由来には諸説ありますが、「鎌のような前足で敵を切る」ことから来た説と、「鎌を持つキリギリス」のように見えることの2つが有力とされています。
この鎌状の前足は、敵を切るためのものではなく、獲物をしっかり捕らえるためのものです。内側には細かいトゲが並んでいるため、捕らえた獲物を逃がしません。
器用に敵を捕らえることから、カマキリの鎌は手と思われがちですが、この鎌は足に当たる部分です。そのため、前かがみの姿勢のときには、鎌の先を使って立っている姿を見ることができるでしょう。
動きをとらえる目
カマキリは、立体でものを見ることができる昆虫です。ただし、人間のように風景の明暗で奥行きを認識するのではなく、背景のなかで動いているものとの距離をつかむことによって、ものを三次元で見ています。
カマキリの目の構造は、六角柱状の小さな目(個眼)がたくさん並ぶ「複眼」です。
カマキリの目には、常にこちらに向けられている黒い点がありますが、これは個眼の底の色です。こちらの正面にある個眼の底だけが見えるため、黒い点がこちらを追いかけているように見えます。
2万ヘルツの音も聞こえる耳
長年、カマキリは音を感知できないと昆虫とみなされていました。その理由は、カマキリには耳がないと考えられていたためです。
しかしながら、近年の研究で、カマキリの胸の中央付近には耳が存在することが判明しました。現在では、カマキリは約2万ヘルツ超の音を感知できる聴力を持っているとされています。
カマキリが、天敵であるコウモリの接近を素早く察知できるのは、このためです。
コウモリが出す超音波に気づいたカマキリは、らせん状に急降下することで自分の位置を把握される危険性を回避します。
カマキリの狩りのやり方
カマキリの狩りの戦法は、「待ち伏せ」です。前足を折りたたんでじっと一か所にとどまり、獲物が前足の届く範囲に来るまで待ちます。
十分近づいたところを狙って素早く前足を伸ばし、獲物をしっかりと捕まえるため、狩りに要する時間は、1秒にも満たないでしょう。
カマキリは花のそばでチョウなどを襲うことも多いため、花粉やチョウの羽の鱗粉(りんぷん)などで目を汚すことがあります。
カマキリにとっての目は、狩りをするための大事な道具です。そのため、狩りのあとには、前足の内側にある細かな毛で目をこすって、汚れを落とす姿を見せることがあります。
カマキリが食べるもの
カマキリは肉食で、生きているものしか食べません。主な獲物は、チョウやバッタ、ハチ、ガなどの昆虫ですが、自分の体より大きな獲物を狙うこともあり、大型の昆虫やカエル、トカゲなどを捕食することもあります。
カマキリが捕食する獲物のなかでも、特に大型なのが鳥です。世界では、南極以外の大陸すべてでカマキリが鳥を食べている例があり、日本でもオオカマキリが小型の鳥を捕食する現場が確認されています。
カマキリが生息している場所
カマキリの生息場所は、河原や草地、低木、田んぼなどです。種類によって場所を住みわけていますが、獲物となる昆虫が多い草むらであれば、カマキリを見つけやすいでしょう。
また、カマキリは待ち伏せ型の狩りを行うため、花の茎や葉っぱに擬態して獲物を待ち構えていることもあります。秋頃はセイタカアワダチソウに好んで集まるので、探してみるとよいでしょう。
カマキリは卵で冬を越す昆虫のため、冬場に成虫を見つけることはできません。冬には卵のう、または卵鞘(らんしょう)と呼ばれる繭のような卵が、セイタカアワダチソウやススキ、木の枝などに産みつけられているのを観察できるだけです。
出典:生きもの館、みんな冬眠中。~卵編①~|公益財団法人 横浜市緑の協会
日本に多く見られるカマキリの種類
世界には熱帯地方を中心に、約2,000種類のカマキリが存在するといわれており、このうち約10種類のカマキリが日本に生息しています。
ここでは、そのなかでも、よく見かけられる3種類のカマキリを取り上げ、詳しく解説します。
見かけがよく似ている種類もいますが、それぞれの特徴に注目することで、上手く見わけられるようになるでしょう。
オオカマキリ
オオカマキリは、林や、そのそばの草地などでよく見かける種類です。体が大きいのが特徴で、成虫になると、メスで約7~9cm、オスで約8~10cmまで成長します。
オオカマキリの体つきは、メスとオスで大きく異なります。
メスの体つきの特徴は、腹部が太くしっかりとした体をしていることです。成熟してしばらくすると、腹部が大きくなって飛べなくなります。
一方、オスは体が細いのが特徴です。そのため、約5メートルの高さであれば、飛び上がることができます。
オオカマキリの体色は、緑色または褐色です。オスは褐色であることがほとんどのため、緑色のカマキリを見つけたらメスと考えてよいでしょう。
オオカマキリの主な獲物は昆虫ですが、成虫になると、カエルやカナヘビ、小型の鳥などを捕食することもあります。
ハラビロカマキリ
ハラビロカマキリは、その名のとおり、腹部が太いカマキリです。胸部も短いため、ほかのカマキリに比べてずんぐりとした体形をしています。
体形以外には、前ばねの左右に白い点があることと、前足の基節(前足のうち体に近い方の部位)に小さな黄色い突起が並んでいることが特徴です。
ハラビロカマキリの生息場所は、街路樹や公園の植え込み、住宅街の庭の木などです。体長は、メスが約4.5〜6.5cm、オスが約5〜7cmで、体色は緑色や褐色、黄色などいくつかのタイプにわかれています。
ハラビロカマキリの捕食対象は、幼虫、成虫ともに、さまざまな昆虫です。
チョウセンカマキリ
一般的に、日本で「カマキリ」という場合は、チョウセンカマキリをさします。「チョウセン」とありますが、日本の在来種です。
チョウセンカマキリは、河原、ため池、海などのそばの草地、田んぼのあぜ道やなどを生息場所としています。体長はメスが約7〜9cm、オスが約6.5〜8cmと、オオカマキリよりやや小型で、体色は緑色か褐色です。
成虫になったチョウセンカマキリは、昆虫のほかに、カエルなどを捕食することもあります。
オオカマキリと似ていますが、チョウセンカマキリは前足の付け根がオレンジ色、広げた後ろばねが薄い茶色であることが特徴です。
種類によって異なる特徴を見定めよう
カマキリは、さまざまな特徴を持つ昆虫です。狩りに役立つ大きな鎌はもちろん、コウモリの出す超音波まで感知する聴力もまた、カマキリの特筆すべき特徴でしょう。
カマキリは、種類が豊富な昆虫でもあります。見た目が似ている種類もいることから、見わけるのが難しい場合もあるでしょう。
そのようなときは、ぜひ、本記事を参考に、羽の色や体つきを確認してみてください。
種類によって異なる特徴を見定めながら、カマキリの観察を楽しみましょう。