ネット・スマホに潜む危険からお子さまを守る「スマホ・ネット安全教室」!
今やスマホやネットの利用は、大人のみならずお子さまにとっても生活に欠かせないものになりつつあります。しかし、一歩誤るとトラブルや問題を抱えるリスクもあり、お子さまのスマホやネット利用に対して頭を悩ませている保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回はスマホやネットを上手に活用する力を養う「スマホ・ネット安全教室」「スマホ・ネット安全教室 for family」を提供しているドコモの伊藤さん、清水さんに、コンテンツの概要や情報活用教育のポイントをうかがいました。
<インタビューをさせていただいた方>
伊藤さん:NTTドコモサステナビリティ推進室の社会貢献推進担当として、ドコモサステナスクールの企画運営を中心に障がいのあるお客さまの対応の推進等、社会貢献に関連する業務を幅広く担当。
清水さん:ドコモCSコーポレートサポート本部共通業務支援事業部、サスティナビリティ推進サステナスクール担当。2020年度からスマホ・ネット安全教室の講師を務めている。
身近に潜むリスクと向き合いながら、上手にスマホやネットを活用する力を養う
インタビュアー(※以下、イと表記):まずはスマホ・ネット安全教室の概要について教えていただけますか?
伊藤さん(※以下、伊と表記):「スマホ・ネット安全教室」は、情報活用を通じて社会に参画する能力を育成することを目的とした学校向けのオンラインプログラムです。長時間利用や高額課金などの身近な課題を扱い、具体的な事例も取り入れたワークを通じて、情報を活用する際に発生するリスクへの向き合い方を学べるコンテンツになっています。
また、ご家庭向けに「スマホ・ネット安全教室 for family」の提供も行っています。こちらでは、家庭でのスマホやネットを利用する際のルール作りや、行動科学の知見も取り入れながら、お子さまを指導する際の声かけのヒントなどを紹介しています。親子のコミュニケーションを通じて、スマホの使い方を考えることができる内容になっています。
イ:どのような経緯でスマホ・ネット安全教室を開始することになったのでしょうか?
伊:もともとは、2004年からスマホ・ネット安全教室の前身としてケータイ安全教室という出前型の教室を全国の学校などで開催していました。当時はiモードが爆発的に普及し、迷惑メールや出会い系サイトなどのトラブルが多発していた時代です。
それから約20年が経ち、時代は大きく変わっています。携帯電話も単に電話やメールができるだけでなく、SNS等で相互につながれるなど、さらに便利なツールになりました。そのなかで、一般的にはお子さまに対しては「ネットは危ない」という教育が行われてきました。
しかし、ネットを通じてさまざまな情報を得たり、社会とつながったりする今の時代を豊かに過ごすためには、危ないといって利用を避けるのではなく、上手にスマホやネットを使う力を養うことが必要だと考えています。こうした思いから、スマホ・ネット安全教室を始めました。
スマホやネットを利用することで起こる問題とは?
イ:お子さまのスマホやネット利用による問題点はどのようなものがあるのでしょうか?
清水さん(※以下、清と表記): ネットでのトラブルに対して、「自分は大丈夫」「このぐらいなら大丈夫でしょう」と安易に考えてしまうお子さまが多いことです。
たとえば、SNSにあげた情報が拡散されることや、小さな情報でも自分が特定されることをそれほど意識せずに、お子さまが安易な行動を取りトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。
学校の先生からは、鍵アカウントで仲間内にだけ見せようと、公にはできないような投稿をしてしまい、その写真や動画が別の人に保存され、オープンな場で拡散されるというトラブルがあるとよくうかがいます。
ネットに簡単に情報を載せられる時代だからこそ、情報モラルを自分ごととして身に付ける必要があると感じています。
また、スマホを使っていなかった時代に比べて、人間関係の作り方や情緒の育ち方が変化しているように感じます。チャットなどのインスタントなやりとりが増えたことにより、感情や思考を十分に表現できない単純な言葉を子どもたちは多用するといったことも出てきています。
そのため、大人からすると「この年代の子どもであれば理解できるだろう」と思う言葉でも、子どもたちには難しくて伝わらないことが多くなったように感じます。
日常のスマホやネット利用に活きる学びが得られる「スマホ・ネット安全教室」
イ:学校向けの「スマホ・ネット安全教室」では、具体的にどのようなプログラムを提供されているのですか?
清:受講者のスマホの利用状況に応じたさまざまなコースがあり、なかでも小学校高学年から高校生を対象としたスタンダード編とアドバンス編は特にお申込みが多くなっています。
たとえば、インターネット上のコミュニケーションはチャットやメッセージアプリが中心となっていますが、スタンダード編ではチャットを4つほど提示して、まずこのやりとりはどの程度リスクがあるのか、リスクを「大」「中」「小」にわけてもらいます。その後、どのように分類したか、なぜそう思ったかを周りの人と話し合うワークを繰り返し行います。
話し合うことで、人によって考え方が違うからこそ自分では問題ないと思っているチャットでも、ほかの人にとっては不快に感じることがあるかもしれないと気づきを得ることができます。その気づきが日常生活のなかでも、メッセージを送る前に立ち止まって考える習慣につながっていきます。
実際に、ワークの参加者からは、「いつもあまり考えずにLINEなどを送信してしまっているけれど、これからは送信する内容やタイミングを考えていきたい」「発信したことは簡単に取り消せず、発信によって誰かを傷つけてしまうかもしれないと思うと、慎重に発信しないといけないと思いました」というように、他者への配慮の大切さに気づいたという声があがっています。
ほかには、誰かに強い言葉を使おうとしている人への対応において、「発信後のトラブルをイメージさせて、代案を提示する方法があることを知りました」というように、今まで気づいていなかった対応にも意識を向けることができるようになったという感想を多くいただいています。
親子のコミュニケーションを深めながらスマホやネット利用について考えられる「スマホ・ネット安全教室 for family」
イ:ご家庭向けの「スマホ・ネット安全教室 for family」では、どのようなプログラムを提供されているのですか?
伊:ご家庭向けの「スマホ・ネット安全教室 for family」では、親子で考えられるようなコンテンツを複数ご用意しています。
たとえば、長時間利用、不適切サイトの閲覧、高額課金などのテーマがあり、具体的なトラブルの事例を取り上げながら保護者の目線での声かけ事例の紹介や、一緒に使い方のルールを決める際に役立つツールなどをご用意しています。
清:言葉がわかるようになってきたお子さま向けのページもあり、こちらはアニメーションを通して何が問題なのかを考えられる構成にしています。
たとえば、長時間利用を考えるコンテンツとしては、シンデレラを題材にしたアニメーションをご用意しています。
シンデレラがパーティーに行けずに困っていると、魔法使いから魔法のスマホを渡されます。シンデレラは、これでパーティーの申込みができると喜んでいたのですが、スマホゲームに熱中しているうちに何時間も経ってしまい、パーティーの時間も過ぎて魔法もとけ、結局はパーティーには行けなかったという内容になっています。
このアニメーションを通じて、「スマホを使い始める前にルールを作った方がよかったのではないか」などといったことを、気づいてもらえればと考えています。このようなスマホやネットの利用について考えられるコンテンツを、たくさんご用意しています。
受講者の反応は?
イ:プログラムを受講された方の反応はいかがですか?
清:当初は、オンラインということもあり、しっかりワークに取り組んでくれるのか心配だったのですが、思った以上に真面目に取り組んでくれている印象です。
感想としては、たとえばSNSでの出会いをテーマにしたワークに取り組んだ参加者からは、「ネット上で友達ができることは少なくないので、もっと慎重に相手がどんな人なのかを考えてから繋がらないといけないなと思いました」「今まではなんとなく感覚で相手を判断していたけど、フォロワー数や投稿数、プロフィールの売り文句などの見るべきポイントを知ることができたので、今後に役立てようと思いました」など、今まで気づいていなかったリスクを意識できるようになったという声を多数いただいています。
対話を重ねてルールを作ることが大切
イ:保護者の方がお子さまに対してスマホやネットの利用の仕方を教える際に、押さえておくべきポイントがあれば教えてください。
伊:ネットやSNSは危険性も潜んでいますが、利用を細かく規制するのではなく、作ったルールの範囲で自由に使わせてあげてほしいと思っています。ただし、気をつけていてもトラブルに巻き込まれてしまう可能性はあるので、万が一トラブルが発生した際には、すぐに保護者の方に相談できるような関係性を築くことを意識していただきたいです。
また、お子さまが自分のスマホを持つ前に、保護者の方がスマホを貸してあげる時期があると思います。そのような早い時期から、一方的に「早く返しなさい」「これはやってはダメ」というのではなく、「なぜこの時間までしか使ってはいけないのか」などの考え方を共有していくことで、お子さまが納得して守れるルールが作れると思います。こうした会話も重視して、コミュニケーションを取っていただければと思います。 早いタイミングから、お子さまにスマホの正しい使い方を教えていくことが大切になります。
イ:確かにコミュニケーションは非常に大切ですよね。
伊:ネットやスマホ利用の若年化が進んでいるので、できるだけ早い段階から繰り返し会話を重ねて、お子さまの価値観の中にしっかりとルールを取り入れてもらえればいいのかなと思います。
イ:ルールを作ってもお子さまがルールを守ってくれないこともあると思います。そのような時は保護者の方はどのようなサポートをしてあげるとよいのでしょうか?
伊:やはり一番大事なのは対話だと思います。
お子さまとの対話の際に参考になるように、スマホ・ネット安全教室 for familyでは、行動科学に基づいた声かけの事例も掲載しています。
対話を通じて家庭内でのルールづくりができることがベストですが、物理的に制限をかけなければいけない場合は、スマホのフィルタリングサービス等もご活用いただければと思います。
「スマホ・ネット安全教室」「スマホ・ネット安全教室 for family」に興味のある方はホームページをチェック!
イ:この記事を読んで「スマホ・ネット安全教室」や「スマホ・ネット安全教室 for family」に興味を持たれた方もいらっしゃると思います。受講したい場合は、どうすればよいのでしょうか?
清:「スマホ・ネット安全教室 for family」は、ホームページから申し込み不要・無料でご利用いただけます。
保護者向けのページとお子さま向けのページがあり、スマホの使い方のヒントになるような内容を掲載しています。まだスマホを持っていない小さいお子さまも、親子で一緒に見ていただきたいです。スマホのルールを作れるシートもありますので、ぜひこの機会に親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。
伊:また、「スマホ・ネット安全教室」は、保護者の方が主催して保護者編を実施されるケースもあります。学校とご相談の上で、保護者主催での実施をご検討いただくのもいいのかなと思います。お申込みはホームページから受け付けています。
インタビュー後記(まとめ)
ネットやスマホの利用に伴うリスクや危険性は、子どもたちも全く認識していないわけではありません。しかし、お話のなかにもあったように「自分は大丈夫」「このぐらいなら大丈夫」と安易に考えてしまい、深く問題を認識できていないお子さまが多いのも事実です。
そのなかで、「スマホ・ネット安全教室」を受講したことで意識が変わったとの声も多く上がっており、お子さまに改めてリスクや危険性をしっかり理解してもらう機会を持つのは大切だと思いました。
ご家庭向けの「スマホ・ネット安全教室 for family」も提供されているので、気になる方は一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
<インタビューでご紹介した各種情報はこちらよりご覧ください>