赤ちゃんにアレルギー症状が出た際の病院に行く目安とは?症状ごとの対応方法についてご紹介
赤ちゃんにアレルギーの疑いがあるとき、どのような症状に注意すべきかご存知でしょうか。本記事では、症状の見わけ方や家庭での応急処置、食物アレルギーの具体的な症状の出方、アトピー性皮膚炎との関わりなどを解説します。アレルギー対策に不安がある方は参考にしてください。
「赤ちゃんでも、食物アレルギーって出るの?」
「赤ちゃんが離乳食でアレルギーを起こしたら、どう対処すればいい?」
「アレルギー検査は、どのような流れで行われるの?」
このように、赤ちゃんのアレルギーについて、不安や疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、赤ちゃんにアレルギー症状が出た際の対応方法をはじめ、受診の際に必要になる情報や、アレルギー検査をする場合の流れを解説しています。
この記事を読むことで、離乳食が原因でアレルギーが起こる可能性があることを理解できるでしょう。
また、アレルギー症状が出た際に確認すべき赤ちゃんの状態や、病院を受診する際に準備する事柄についてもふれているため、緊急時の適切な対処方法がわかります。
赤ちゃんのアレルギーに関する正しい知識を身に付けたい方は、ぜひ、本記事をご一読ください。
記事のまとめ
- 赤ちゃんのアレルギー症状が深刻な場合、直ちに病院を受診する必要がある。
- 軽い症状の場合でも、食事内容や症状を記録し、受診時に備えることが重要である。
- アレルギー予防や適切な環境作りも重要な対策となる。
赤ちゃんのアレルギーで病院に行く目安は?
離乳食を食べた赤ちゃんに、何らかのアレルギー反応が出た場合は、すぐに医師の診察を受けることをおすすめします。
ただし、夜間や休日にアレルギーが疑われる症状が出た場合など、すぐに病院に行けないこともあるでしょう。症状によっては、様子を見てもよいケースがあるため、以下で紹介する症状を目安に、受診の必要性を判断してください。
出典:赤ちゃんの食物アレルギー|病院に行く目安・検査・診断について解説|医療法人社団エキクリ
早めに病院に行く必要がある4つの症状
食後の赤ちゃんに、以下の様子が見られた場合は、直ちに病院を受診しましょう。
・乾いた咳が続く
・顔色が悪くぐったりしている
・呼吸が苦しそう
・泣きやまず、不機嫌な様子が見られる
これらの症状がある場合、呼吸困難や血流の不全による臓器障害(ショック)を引き起こす可能性があります。赤ちゃんの状態が深刻な場合には、迷わず救急車を呼びましょう。
出典:赤ちゃんの食物アレルギー|病院に行く目安・検査・診断について解説|医療法人社団エキクリ
病院の受診を急がなくてもよい5つの症状
食後に出た症状が、以下のようなものであれば、病院の受診を急がなくてもよいでしょう。
・口の周りが赤くなっている
・からだの一部に蕁麻疹が出ている
・喉に痒みがある
・嘔吐が一度だけで、そのあとは元気にしている
・症状が出ていても、赤ちゃんの様子に変わりがない
このような場合は、軽症と考えてよいでしょう。ただし、「絶対に何もない」とはいいきれないため、引き続き様子を見ることが大切です。
赤ちゃんの様子を見て、何か心配なことがあれば、迷わず病院を受診しましょう。
出典:赤ちゃんの食物アレルギー|病院に行く目安・検査・診断について解説|医療法人社団エキクリ
受診の際は「いつ」「何を」「どのくらい」食べたかを確認しておく
アレルギー症状で診察を受ける際は、「食べた時間」「食べたもの」「食べた量」を具体的に把握しておくことが大切です。
たとえば、「7時45分に、すりつぶしたかぼちゃを3杯食べた」など、具体的な情報があると診察がスムーズに進みます。
「食べた時間」は、症状が現れるまでの経過を確認するために重要な情報です。「食べたもの」は、原因となる食材の特定に役立ちます。赤ちゃんが食べた離乳食のパッケージや、写真などがあれば、さらに詳細がわかりやすくなるでしょう。
診察では、これまでアレルギー症状が出ていない食品についても確認されることがあります。特に、小麦や卵、牛乳については、食べたときの症状の有無を伝えられるようにしておきましょう。
蕁麻疹の症状で受診する場合は、受診前の皮膚の状態を、写真に撮っておくことをおすすめします。その理由は、蕁麻疹は時間が経つにつれて症状が落ち着くこともあり、診察時には消えてしまう可能性があるためです。
なお、上記は、普段一緒にいる保護者が病院に付き添う場合の対応です。
家族以外が病院に付き添う場合は、詳細な情報は後日伝えるようにして、まずはアレルギー反応を抑えることを優先しましょう。
出典:赤ちゃんの食物アレルギー|病院に行く目安・検査・診断について解説|医療法人社団エキクリ
離乳食でもアレルギーになる場合がある
食物アレルギーには、食後すぐに症状が出るものがあります。
「即時型食物アレルギー」と呼ばれ、原因となる物質にふれたり、吸い込んだりするだけでも、症状が現れるのが特徴です。
赤ちゃんが離乳食を食べてから、約30分以内に、以下のような症状が現れた場合は、アレルギーによる反応の可能性があるため、注意が必要です。
皮膚・粘膜系:発疹、目の充血、顔の赤み
口腔咽頭系:唇や舌の腫れ、喉の違和感
消化器系:嘔吐、下痢、腹痛
呼吸器系:咳、呼吸困難、喘鳴(呼吸音がゼーゼー)
全身症状:心拍数の増加、意識低下、血圧低下
特に、呼吸困難、心拍数の増加、意識低下が見られる場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、すぐに医療機関を受診しましょう。
なお、アレルギー反応が出ている場合、赤ちゃんが不安を感じ、そのストレスから免疫機能の低下やアレルギー症状の悪化を招く可能性もあります。
不快な気持ちを和らげるために、静かに声をかけ、抱っこしたり優しくなでたりするとよいでしょう。
赤ちゃんの10%が食物アレルギーの可能性がある
食物アレルギーは1歳未満の赤ちゃんに多く見られ、約10%が何らかの食物アレルギーを持っているといわれています。
厚生労働省のデータによると、主なアレルゲンには、卵、牛乳、小麦、魚類、そば、エビ、果物、ピーナッツ、大豆などがあります。これらの食品をはじめて離乳食に取り入れる場合は、細心の注意が必要です。
食べたあとに、蕁麻疹や唇の腫れ、腹痛、下痢、喘息などの症状が見られたら、アレルギーを疑いましょう。
卵アレルギーの場合、加熱しても反応が出ることがあります。また、牛乳アレルギーでは、乳製品を摂取後に嘔吐や血便、下痢などの症状が現れることもあります。
出典:食物アレルギー|おき医院
出典:第4章 食物アレルギー(p.3)(p.5)(p.6)|厚生労働省
出典:1.牛乳アレルギーと乳糖不耐症(p.1)|徳山医師会病院
赤ちゃんの食物アレルギーに対する注意点
食物アレルギーを持つ赤ちゃんには、食事以外の生活面でも注意が必要です。
特に、病院を受診する際には、いくつか気をつけるべきポイントがあるため、しっかりと確認しておきましょう。
まず、予防接種についてですが、基本的にはどれでも接種可能です。ただし、アレルギーの種類によっては、副反応が出る可能性があることを理解しておきましょう。
予防接種は体調がよい日に行うのが原則ですが、アレルギーのある赤ちゃんの場合、事前に医師に相談することをおすすめします。アレルギーの詳細を伝えた上で、医師の判断を仰ぎましょう。
また、通常の受診では、処方される薬に気をつける必要があります。一部の薬には、牛乳や卵由来の成分が含まれている場合があるため、問診・診察の際に、医師にアレルゲンをしっかりと伝えるようにしてください。
そのほか、乳児期にアトピー性皮膚炎を発症した赤ちゃんは、食物アレルギーを併発する可能性が高いため、皮膚の健康を保つことが重要になります。家庭内では、ダニやハウスダスト、花粉などを除去し、快適な環境を整えましょう。
出典:食物アレルギー|おき医院
アレルギーは血液検査で調べることができる
アレルギーの有無は、血液検査で調べることができます。しかし、6歳未満の検査を実施していない病院が多いため、専門医のいる総合病院や大学病院で行うことが一般的です。
血液検査ではIgE抗体を測定し、アレルゲンに対する反応を確認します。IgE抗体とは、体内に入ったアレルゲンに反応し、異物として排除するために作られる物質です。
はじめに、問診で「食べた時間」「食べたもの」「食べた量」を確認します。そのあと、血液を採取し、IgE抗体の総量や反応する物質を調べるのが、血液検査の一般的な流れです。
IgE抗体の値が高い場合は、そのアレルゲンへの反応が強いということになりますが、必ずしもアレルギー症状が現れるわけではありません。アレルギー症状が出ない場合、その食物を食べても問題はないと考えられています。
出典:赤ちゃんの食物アレルギー|病院に行く目安・検査・診断について解説|医療法人社団エキクリ
出典:アレルギー検査|葛西よこやま内科・呼吸器内科クリニック
出典:アレルギー検査について|日本アレルギー学会・厚生労働省
赤ちゃんのアレルギーには注意が必要
離乳食がはじまると、食物アレルギーのリスクが高まります。新しい食材を与える際は、赤ちゃんの様子を注意深く観察しましょう。はじめての食材は少量にし、アレルギーの症状を見逃さないことが大切です。
本記事では、赤ちゃんのアレルギーで見られる症状や、その対処法について紹介しました。
アレルギーを正しく理解することは、安全な食材選びにも役立ちます。栄養をしっかり取り入れながら、アレルギーのリスクが少ない離乳食を作 つくってあげましょう。
赤ちゃんの健康を守るためには、アレルギーについての知識を持つことが大切です。
ぜひ、本記事を参考に、アレルギーへの理解を深めてください。