「産後パパ育休」とはどんな制度?社会保険料免除や給付金についても詳しく解説
共働きでの子育てを考えるにあたって、産後パパ育休の利用を考えている方もいるでしょう。本記事では、産後パパ育休の基礎知識から、申請・取得方法、受けられる金銭的なサポートまで紹介します。産後パパ育休の取得を検討している方は、ぜひ、チェックしてみてください。
「産後パパ育休っていつとれるの?」
「産後パパ育休と普通の育休の違いは何?」
「産後パパ育休中にもらえるお金はあるの?」
このように、産後パパ育休の取得を検討している方には、たくさんの疑問や不安があるのではないでしょうか。
本記事では、産後パパ育休の期間や取得要件、申請・取得方法などの基礎知識のほか、通常の育休や、パパ・ママ育休プラスとの違いについて紹介しています。
この記事を読めば、産後パパ育休だけでなく、通常の育休の取得に必要な知識についても把握できるでしょう。
また、産後パパ育休中に受けられる免除や、給付金についても解説しているため、その知識をもとに、それぞれの家庭に合った形で産後パパ育休を取得できます。
産後パパ育休の取得を考えている方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
記事のまとめ
- 産後パパ育休は、出産後8週以内に4週間の育休を取得できる制度である。
- 社会保険料の免除や出生時育休給付金が支給される場合がある。
- 申請は休業開始2週間前までに必要で、分割取得も可能である。
男性の育休取得促進のための「産後パパ育休」制度とは
「産後パパ育休」とは、2022年10月1日に施行された育休制度です。
この制度を利用すれば、子どもが生まれてから8週間以内に、4週間までの休暇が取得できます。この期間の休暇は、2回までであれば分割して取得することも可能です。
なお、産後パパ育休の対象者は、「生後8週までの子どもを育てる産後休暇を取得していない人」となっています。
そのため、制度の名称に「パパ」とついてはいますが、養子縁組など、特別な理由で生後8週までの子どもを養育していれば、女性も制度の対象になります。
産後パパ育休を取得するための要件は、以下のとおりです。
・雇用保険に加入していること
・休業開始前の2年以内に、11日(あるいは80時間)以上働いた月が12か月以上あること
・休業期間中、10日(あるいは80時間)を超えて働いていないこと
通常の育休では期間中の就業は認められていませんが、産後パパ育休は一定の範囲内であれば働くことが可能です。ただし、休業期間が4週よりも短ければ、期間中に働ける時間も比例して短くなるため、注意しましょう。
育休制度は所属している会社によって異なるため、自分が勤めている会社の規定を確認することをおすすめします。
出典:産後パパ育休(出生時育児休業)が10月1日から施行されます|厚生労働省
出典:育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します|厚生労働省
出典:産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)p.41|厚生労働省
「産後パパ育休」と「育休」の違い
産後パパ育休と育休は、それぞれ2回まで分割して取得できる点では同じですが、取得可能な期間は大きく異なります。
産後パパ育休では、子どもの出生後8週以内に休暇が取得できるのに対し、育休の場合は、原則子どもが1歳になるまでの休暇と定められています。
申し出期限についても、産後パパ育休は原則休業の2週間前まで、育休は原則1か月前までという違いがあります。
また、産後パパ育休の場合、休業中の就労が認められていますが、育休では原則禁止となっている点も、大きな違いでしょう。
なお、保育所に入れないなどのやむを得ない理由がある場合、育休は子どもが2歳になるまで延長することが可能です。
「産後パパ育休」と「パパ・ママ育休プラス」の違い
パパ・ママ育休プラスは、夫婦で取得する育休の時期をずらすことによって、特別な事情がなくても育休期間を伸ばせる制度です。
この制度を利用すれば、子どもが1歳2か月になるまで、育休の期間を延長できます。ただし、制度を利用するためには、以下の要件を満たす必要があることに注意しましょう。
・子どもが1歳になる日まで、配偶者が育児休業を取得していること
・制度を利用する本人の育休開始予定日が、子どもの1歳の誕生日前であること
・本人の育休開始予定日が、配偶者の育休の初日以降であること
パパ・ママ育休プラスと産後パパ育休の大きな違いは、休暇の目的と取得可能な期間です。夫婦で子育てするためには、どのように休暇を取るのが望ましいか、各家庭の状況に合う利用法を検討してみましょう。
産後パパ育休の申請・取得方法
産後パパ育休の取得を希望する人は、休業開始2週間前までに「(出生時)育児休業申出書」を会社に提出する必要があります。会社によっては、申出書と一緒に各種証明書の提出を求められる場合もあるでしょう。
産後パパ育休は、2回まで分割して取得することが可能です。ただし、分割を希望する際は、2回分まとめて申し出る必要があります。
また、産後パパ育休の場合、休業中であっても就業することができます。就業を希望する場合は、休業開始日の1週間前までに、「出生時育児休業中の就業可能日等申出書」を提出しましょう。
出典:育児・介護休業等に関する規則の規定例より抜粋|厚生労働省
産後パパ育休取得期間中は社会保険料が免除される場合もある
育休期間中は、育休開始日を含む月から、育休終了日の翌日を含む月までの社会保険料が免除されます。そのため、産後パパ育休を取得した場合も、下記の条件に当てはまる月は社会保険料が免除となります。
・末日に産後パパ育休の期間中である月
・(同月内に産後パパ育休の開始と終了がある月の場合)14日以上産後パパ育休を取得している月
ただし、産後パパ育休を取得した日数に就業日は含まれないため、産後パパ育休の期間内に働いた人は、日数のカウントに注意が必要です。
賞与の保険料については、賞与月の末日を含む連続1か月以上の休業を取得していれば、免除の対象となります。
出典:令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されました|日本年金機構
出生時育休給付金も給付される
産後パパ育休を取得すると、出生時育休給付金を受給できます。ただし、給付を受けるためには、下記の取得要件を満たす必要があることに注意しましょう。
・休業開始前の2年間に、雇用保険の被保険者として11日以上働いた月が12か月以上あること
・産後パパ育休中の就業日数・時間が所定労働時間の半分以下であること
出生時育休給付金は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で計算されます。休業開始時賃金日額とは、原則、育休開始前6か月の給与の総額を180で割った数のことです。
ただし、産後パパ育休中の就労に対して賃金が発生した場合は、その額に応じて支給額が変わります。
この期間に得た賃金額と、出生時育児休業給付金の合計が、「休業前賃金日額×休業日数」の80%を超える場合は、出生時育児休業給付金から賃金額が減額されることに注意しましょう。
通常の育休給付の場合も、出生時育休給付同様、育児休業開始から180日目まで、休業開始前の賃金の67%の支給率となります。181日目からの支給率は、従来の50%に戻ります。
出典:育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します|厚生労働省
出典:平成26年4月1日以降に開始する育児休業から育児休業給付金の支給率を引き上げます|厚生労働省
出典:育児休業給付の内容と支給申請手続1出生時育児休業給付金(3) 支給額|厚生労働省都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)
産後パパ育休を有意義に活用しよう
産後パパ育休は、通常の育休とは違う制度です。育休やパパ・ママ育休プラスと併用して利用することが可能なため、夫婦で子育てできる育休プランを立てるための、大きな一助になるでしょう。
また、産後パパ育休の場合、育休期間中の社会保険料免除や、出生時育休給付金の給付対象となることがあります。取得要件や手続きを確認した上で、制度を活用してみましょう。
産後パパ育休を利用すれば、産後間もないママと、生まれたばかりの赤ちゃんをサポートするための時間がつくれます。
現在、育休の取得を検討している人は、ぜひ、本記事で紹介した内容を参考に、産後パパ育休の制度を活用してみましょう。