男性の育休取得状況を解説!取得率や期間の決め方についても解説

男性の育休取得状況を解説!取得率や期間の決め方についても解説

男性の育休取得率がどのくらいかご存知でしょうか。この記事では、男性の育休取得状況や育児休業制度の概要のほか、育休以外に取得できる休暇制度や労働制限について解説しています。男性の育休について理解を深めたい方は、ぜひ、この記事を参考にしてください。

「産後パパ育休(出生児育児休業)について詳しく知りたい」

「夫婦で育休を取得した場合、どれぐらいの期間休めるの?」

「育休以外に、男性が子どものために利用できる制度はある?」

 共働き世帯が増え、男性の育休取得が注目されているなかで、このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、育休制度の定義とその概要のほか、男性の育休取得の実態について解説します。また、育休以外に取得できる休暇や、時間外労働の制限についても紹介しています。

この記事を読めば、夫婦が協力して子育てするためには、どのような育休制度を利用すればよいかがわかるでしょう。

男性の育休について興味がある方はもちろん、夫婦で協力しながら子育てしたいと考えている方は、ぜひ、この記事をチェックしてみてください。

記事のまとめ

  • 男性の育休取得率は17.13%で、依然として女性と比べて低い状況である。
  • 育休期間は最長で1歳2か月まで延長可能で、夫婦での協力が重要である。
  • 育休以外にも、子どもの看護休暇や短時間勤務、労働制限の制度があることを知っておくべきである。

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子育てのヒント 2024.11.28

育休制度は男性も取得できる制度

育児休業制度とは、子どもを養育するための休業制度のことです。

育児・介護休業法に定められた制度のため、勤務先の就業規則に定めがない場合でも、父母を問わず、育児休業の取得が可能です。

休業可能な期間は、原則子どもが1歳に達するまでですが、保育所に入れないなどの理由がある場合は、最長2歳まで延長できます。

なお、育児休業と似たものに、育児休暇(育児目的休暇)がありますが、それぞれ内容が異なることに注意しましょう。

育児休暇とは、会社独自に定められている休暇制度で、就学前の子どもを育児する目的で利用できるものです。

会社によって取得方法や期間、給与の有無などが異なるため、取得を検討している方は、勤務先の就業規則を確認してください。

出典:育児休業と育児目的休暇の違いについて(p1:育児休業とは・p2:育児目的休暇とは)|厚生労働省

出典:「育児休業」の延長を予定されている労働者・事業主の皆さまへ(p.1:育児休業の延長ができる場合について)|厚生労働省

「産後パパ育休(出生児育児休業)」は2022年10月から施行されている

「産後パパ育休(出生児育児休業)」は、子どもの出生後8週間以内に取得できる休業制度です。期間は最長4週間(28日)となっており、必要に応じて2回に分割して取得することもできます。

パパ産後育休の取得を希望する場合は、休業する2週間前までに会社に申し出るのが原則です。

ただし、労使協定のなかで、育休がとりやすい職場環境を整備するような措置が定められている場合は、最長1か月前までの申請が必要なケースもあります。

また、労使協定の締結により、労働者が合意した範囲で休業期間中に就業できるという取り決めがなされている場合もあるため、併せて確認しておきましょう。

出典:令和3(2021)年法改正のポイント|厚生労働省

出典:2-2 産後パパ育休制度(出生しゅっしょう時育児休業制度)p.44|厚生労働省

男性の育休取得率は17.13%

2022年10月1日~10月31日までの間に行われた「雇用均等基本調査」によると、男性の育休取得率は17.13%となっています。

約20年前の割合が1%未満であったことから考えれば、近年の男性の育休取得率は、急激に増加しているといえるでしょう。

しかし、同じ2022年の女性の育休取得率が80.2%であることと比較すると、男性の取得率は依然として低いといえます。

男性が育児のための休暇を利用しない理由は、以下のとおりです。

・職場に育休を取りづらい雰囲気がある

・業務が繁忙

・収入減少への懸念

・キャリア形成への悪影響

・自分にしかできない業務を担当している

上記から、男性の育休取得率には、職場の環境が大きく影響していることがわかるでしょう。

出典:「令和4年度雇用均等基本調査」の結果概要(p.16:図1 育児休業者の有無別事業所割合・p.17:イ 育児休業者割合・p.18:図2 育児休業取得率の推移)|厚生労働省

育休は5日~2週間の取得が最多

育休を取得した男性の取得日数について、多い順に並べると以下のようになります。

1.5日~2週間未満・・・26.5%

2.5日未満・・・25.0%

3.1か月~3か月未満・・・24.5%

4.2週間~1か月未満・・・13.2%

5.3か月~6か月未満・・・5.1%

上記の数字から、育休は「5日~2週間未満」の取得が最多で、2週間未満の取得が育休取得者の半数以上を占めていることがわかります。

一方、同時期の女性の育休取得期間は、「12か月~18か月未満」が最多の34.0%で、続いて「10か月~12か月未満」が30.0%でした。このことから、女性と比べて、男性の育休取得期間は短いということがわかるでしょう。

出典:「令和3年度雇用均等基本調査」の結果概要(P.23:(6)育児休業の取得期間)|厚生労働省

夫婦で育休を取得すると「1歳2か月まで」延長できる

原則子どもが1歳になるまでの育休期間を、夫婦で協力して育休を取得することで1歳2か月に延長できる「パパ・ママ育休プラス」という制度があります。

ただし、1人あたりの休業期間は1年と変わらないため、夫婦で話し合って取得スケジュールを決めましょう。

パパ・ママ育休プラスの取得条件は、以下のとおりです。

・子どもが1歳になるまでに育休を取得している

・開始予定日が子どもの1歳の誕生日以前である

・開始予定日は配偶者の育休初日以降である

パパ・ママ育休プラスの取り方は、母親の職場復帰に合わせて交代で取るパターン、夫婦で休業期間を重複させるパターンなどさまざまです。

夫婦で一緒に育休を取得することには、2人で協力して子育てできること以外にも、お互いの職場復帰をサポートできるメリットがあります。

休業期間中は、要件を満たせば育児休業給付金の受け取りも可能なため、これから子どもが生まれる方は、ぜひ、取得を検討してみてください。

出典:両親で育児休業を取得しましょう!(p1:パパ・ママ育休プラス)|厚生労働省

出典:育児休業と育児目的休暇の違いについて(p1:育児休業とは・p2:育児目的休暇とは)|厚生労働省

男性が育休を取得する期間のおすすめの決め方

男性が育休を取得する場合は、以下に挙げる事柄を考慮した上で、休業期間を決めることが大切でしょう。

・配偶者の状況(体調や職場復帰のスケジュール)

・家庭や子どもの状況

・リモートワークの可否

上記以外には、金銭面を加味することも重要です。育休中に受け取れる育児休業給付金は、180日目までは休業開始前の賃金の67%、181日以降は50%となっています。賃金の満額を受け取れるわけではないため、家計の負担も考慮しましょう。

出典:育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の支給について(p1.各支給単位期間の支給額について)|厚生労働省

男性が育休以外に取得できる休暇制度・労働制限

男性が積極的に育児に参加する手段は、育休を取得することだけではありません。勤務形態を変更することや、子どもが病気のときに休むことも、家族の支えになるでしょう。

ここからは、男性が育休以外に取得できる休暇制度と、労働の制限について紹介していきます。

長期間休むことが難しい場合や、育休修了後も家族をサポートできるようにしたいという場合は、以下で紹介する休暇制度や労働制限の利用を検討してみましょう。

子どもの看護休暇

子どもの看護休暇とは、子どもの病気やケガ、疾病予防(健診や予防接種など)に利用できる休暇です。この休暇を取得するための条件は、以下のとおりです。

・小学校就学前の子どもを養育する者

・小学校就学前の子どもが1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日

・日々雇用される者でない

この休暇を取得したい場合には、希望日や取得理由を明らかにした上で、担当者に申し出ましょう。なお、病気やケガは急に起こることが多いため、当日の申し出でも休暇取得が認められます。

出典:子の看護休暇制度(p.71~73)|厚生労働省

短時間勤務

短時間勤務とは、1日の所定労働時間を、原則6時間に短縮できる制度です。取得するための条件は、以下のようになっています。

・3歳未満の子どもを養育している

・短時間勤務中に育休を利用していない

・日々雇用される者でない

・1日の所定労働時間が6時間以下でない

・労使協定により除外された者でない

取得方法については就業規則に記されているため、短時間勤務を検討している方は、勤務先の規則を確認しておきましょう。

出典:育児・介護休業法のあらまし(p.3:(2)短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置)(法第23条)|厚生労働省

時間外労働制限

時間外労働制限とは、月24時間、年間150時間を超える時間外労働を制限することができる制度です。

小学校就学前の子どもを持つ方を対象にした制度ですが、勤続年数1年未満の方や、所定労働日数が週2日以下の方は取得できません。

この制度の利用を希望する場合は、開始予定日と終了予定日を添えて1か月前までに申請しましょう。

出典:育児・介護休業法のあらまし(p.4~p.5:(5)法定時間外労働の制限(法第17条))|厚生労働省

深夜業制限

深夜業制限は、深夜(午後10時~午前5時まで)の労働を制限する制度です。小学校就学前の子どもを持つ方が利用できる制度ですが、勤続年数1年未満の方や、日々雇用されている方などは対象外となっています。

取得を希望する場合は、開始予定日と終了日を添えて1か月前までに申請しましょう。

なお、子育てに関係する休業についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

出典:育児・介護休業法のあらまし(p.5:(6)深夜業の制限(法第19条))|厚生労働省

男性が取得できる育休制度への理解を深めよう

取得率が1%未満であった頃に比べると、男性の育休取得率は大幅に増加しています。しかし、女性の取得率と比べるとまだまだ低いといえるでしょう。

夫婦が協力して子育てする社会を実現していくためには、育休制度への理解を深め、男性も積極的に活用していくことが大切です。

これから子どもが生まれる方はもちろん、子育て中の方も、本記事で紹介したことを参考に、仕事と育児を両立する方法を検討しましょう。

出典:「令和4年度雇用均等基本調査」の結果概要(P17:イ 育児休業者割合)|厚生労働省

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