【活用事例あり】ICT教育には10のメリットがある!デメリットの対処法もあわせて解説

ICT教育には10のメリットがあることをご存知でしょうか。本記事では、ICT教育のメリットやデメリットを紹介します。学校で行われているICT教育について知りたい方、デメリットの対処法を知りたい方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

「ICT教育のメリットにはどんなものがある?」
「ICT教育のデメリットへの対処法はあるの?」
「ICT教育の必要性が高まっている理由は?」
このように、ICT教育を受けている子どもがいる方の中には、たくさんの疑問や悩みがあるのではないでしょうか。

本記事では、ICT教育のメリットやデメリット、デメリットへの対処法について紹介しています。この記事を読むことで、ICT教育のメリットを知るとともに、なぜICT教育が必要とされているのかを理解できます。

また、国が推奨している構想についても学ぶことができるため、子どもにどのような教育を受けさせていくべきなのかを考える材料の1つにもなるでしょう。

ICT教育を受けている子どもがいる方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

目次

そもそも「ICT教育」とは?

ICTとは「Information(情報)」「Communication(コミュニケーション)」「Technology(テクノロジー)」の頭文字から成り立っています。このように、ICT教育とは情報通信技術を活用した教育という意味です。

「ICT」と「IT」の違いは?

「ICT」と「IT」を混同してしまいそうですが、「IT」は情報技術という意味で使われる言葉です。パソコンやタブレット、インターネット通信など情報技術に関することすべてが「IT」に含まれています。

ICTはITの中でも、Cに当たるコミュニケーションの分野を強く意識しています。そのため、情報技術を使ってコミュニケーションすることを学ぶのが「ICT教育」といえるでしょう。

ICT教育がもたらす10のメリット

紙の教科書と黒板がメインだった教育から、ICT教育を取入れたことで子どもたちの学びに大きな変化が表れています。

ICT教育を導入することで、教師が授業を効率的に行えたり、生徒が他の生徒と協力して授業に取組めたりします。

ここでは、ICT教育がもたらす主なメリットを10のパートに分けて紹介します。

生徒にとって分かりやすい授業を展開しやすい

ICT教育により、アニメーションや動画を活用したわかりやすい授業を展開しやすくなりました。先生の画面をプロジェクターで投影すれば、板書する時間を短縮して説明に時間を割くことも可能です。

今までは平面の図でしか描けなかったものをアニメーションや動画で表示できることで、生徒にとってより理解しやすい授業となっているでしょう。

生徒同士の協働的な学びが可能になる

生徒がそれぞれ持っているパソコンやタブレット端末を使用し、協働的な学びができるのがICT教育のメリットです。

自分の意見や調べたデータをみんなで共有したり、お互いの進捗状況を確認したりしながら共同で作業ができるようになりました。写真や動画、アプリを使うなど、紙ベースの授業とは違う作品作りなども可能です。

出典:ICTを活用した指導方法_1|文部科学省

ネットを活用することで授業の疑問点を解消しやすくなる

ICT教育でネットを活用する方法を学ぶことで、授業の疑問点を解消しやすくなります。

ネット上には膨大な量のデータが存在しています。苦手な問題の解法を調べたり、教科書を越えた情報を入手したりと、知識の幅を広げることにもICT教育は役立つでしょう。

生徒が国際的な視野を身につけることができる

スマートフォンやインターネットの普及により、グローバルな視野で活躍する能力がますます必要になっています。

ICT教育では、グローバルで活躍するために必要な、膨大な情報から主体的に情報を選びとる能力、新たな課題を発見し解決に取組むことができる能力などが育成されます。

出典:2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」最終まとめ|文部科学省

個別指導を効率的に行うことができる

生徒1人1人がインターネットに通じた端末をもって学習することで、学習ログの把握がしやすくなります。生徒の理解度を教員の端末に集約して管理ができるため、個々に対して指導やアドバイスがしやすくなり個別指導を効率的に行うことが可能です。

また、正答率が低い問題などをデータで把握できるため、指導にも役立ちます。

生徒の情報リテラシーを養うことができる

ICT教育ではインターネットを活用する上でのルールやマナー、またSNS投稿における注意点などの情報リテラシーを学ぶことができます。

SNSを介したトラブルを防ぐためにも、生徒たちが情報リテラシーを学ぶ機会を作ることは重要です。

生徒のモチベーションが高まる

ICT活用して授業を行った教員の98.0%が、「関心・意欲・態度」の観点で効果があったことがわかりました。

また、ICTを活用した授業は活用しなかった授業よりもテスト結果がよいという結果もでています。ICT教育は、生徒のモチベーションアップにも役立っているといえるでしょう。

出典:第5章 初等中等教育における学習指導でのICT活用|文部科学省

授業の効率化につながる

教員が黒板に書いたものをノートに写す作業で授業が終わってしまうのでは、あまりよい授業とは言えません。

ICT教育を取り入れたことで、板書はせず教員のデータを生徒に転送することで書き写すだけの授業よりも効率が上がるメリットがあります。

手書きのドリルではなく、eラーニングを活用することで丸付けの時間を短縮することも可能です。

教員の負担を軽減できる

ICT教育を取り入れることで、板書をする時間やプリントを用意する時間が削減できるようになりました。

また、資料を電子化することで情報の利用がしやすくなっています。これらは、教員の負担を軽減できるメリットにつながります。

教員・子ども・保護者間の情報共有がしやすくなる

インターネットを活用して情報共有しやすくすることで、教員と子どもだけでなく、その保護者ともつながりやすくなります。

出欠連絡のアプリを活用したり、プリント配布もデータで配信したりなどの工夫ができるのがICT教育のメリットです。

ICT教育の効果は文部科学省のデータで実証されている

文部科学省の調査では、ICT教育を取入れてから、生徒が「楽しく学べた」「コンピューターを使った授業はわかりやすい」などというよい評価が上がっていることがわかりました。

また、教員側にも生徒の「理解度」「思考力」「表現力」などの向上に役立っていると実感できたというデータもでています。

電子黒板も毎日活用している学校があることがわかり、ICT教育による便利なツールで効率よく学びが深められているといえるでしょう。

出典:学びのイノベーション事業実証研究報告書|文部科学省

ICT教育のデメリット

ICT教育にはメリットがある一方で、デメリットも存在しています。情報管理がより一層求められるようになったり、環境を整備するための費用の負担が求められたりするでしょう。

ここからは、これからICT教育がより普及していく上で考えておかなければいけないデメリットについて紹介します。デメリットに対処しつつ、ICT教育をよりよいものにしていきましょう。

授業の効率化にすぐにはつながらない可能性がある

学校や地域によって、生徒に与える端末には違いがあります。特に、端末の性能が低い場合やICT機器の特性によってできない作業があり、授業の効率化にすぐにはつながらない可能性があるでしょう。

たとえば、端末の性能が低いためデジタル教科書が動作しないなどの不具合が考えられます。

媒体・端末への慣れに個人差がでる

パソコンやタブレットに普段から触れている子どもと、家で全く触らずに育った子どもとでは端末の慣れに個人差があります。

そのため、アプリなどの操作がうまくできない子どもは、授業についていけないまま後れを取ってしまうデメリットが考えられます。個人差を考慮して全体授業を行うなど、教員の工夫が求められるでしょう。

地域間でのデジタル格差が生まれる可能性がある

ICT教育は全国一律で普及させたいところですが、山奥に学校があることでインターネット環境が利用できない場合など地域間でデジタル格差が生まれる可能性があります。

過疎化した地域などの場合は、高速通信が行き届いていないことも考えられます。デジタル格差が生まれないよう、インフラ整備を整える必要があるでしょう。

生徒の想像力(創造力)を低下させる恐れがある

ICT教育を取り入れることで、生徒の想像力(創造力)の低下を懸念する声も上がっています。

たとえば、説明の際に動画や写真を活用できるのはメリットですが、言葉からイメージをふくらませるなどの想像力は失われてしまう可能性があります。

ICT教育により生徒自身が考える力を失わないように、バランスを考えて取入れていく必要があるでしょう。

プライバシーとセキュリティの管理が必要

プライバシーとセキュリティの管理は、ICT教育において重視しなければいけないポイントです。教員のもつ生徒の成績などのデータはもちろんのこと、生徒自身が蓄積しているデータのプライバシーも守らなければいけません。

また、パソコンやタブレット端末本体だけでなく、外部からのウイルスへのセキュリティ管理も必要です。

情報の取捨選択が難しい

インターネット上には膨大な量の情報があります。中にはフェイクニュースなど、実際には間違っている情報も多々紛れ込んでいることもあるでしょう。

その大量の情報の中から適切な情報を掴みにくい点は、ICT教育のデメリットです。生徒が正しい情報を掴み取れるよう、情報の取捨選択能力を養う必要があります。

費用負担が大きくなる場合がある

ICT機器を購入する費用が大きくなったり、故障時の修理代や代替機の費用などの負担が発生したりすることも考えられます。

ICT機器を保護者負担にするのかどうかは、地域によって異なります。費用負担が大きな地域は、ICT教育をデメリットと感じてしまう可能性があるでしょう

ICT教育におけるデメリットや課題への対処方法

ICT教育は教員と生徒にとってメリットが多い一方で、デメリットや課題が残されています。より効率化した授業が行えるよう、デメリットや課題をクリアにしていかなければなりません。

教員と生徒、両者に対しての研修や指導、ICT教育を適切に受けられるための十分な環境整備が必要です。

品質の高いICT機器とインターネットの安定的な接続を整備する

ICT教育を行うためには、品質の高いICT機器とインターネットの安定的な接続が必要です。

そうすることで、デメリットで紹介した地域でのデジタル格差をなくすことや、端末の性能が低いことで授業の効率化がすすまないことを解消できます。

教員に対しての研修や準備をしっかり行う

教員がICT教育について理解していないと、生徒たちに適切に指導できません。そこで、文部科学省は「ICT活用教育アドバイザー事業」を展開しています。

これは、専門のアドバイザーが教員に対して研修や準備のサポートを行う事業です。メールや電話などで相談・回答できるため、遠隔地からでもサポートを受けられるでしょう。

出典:ICT活用教育アドバイザー事業|文部科学省

生徒が端末を適切に扱えるように指導する

ICT活用は教室内だけでなく家庭学習でも取入れられているため、教員は生徒が1人でも端末を適切に扱えるよう指導する必要があるでしょう。

端末の操作に不慣れな生徒の指導や、学習ログを活用して学習が遅れている生徒のサポートをするなど、適切な指導が求められています。

出典:ICTを活用した指導方法|文部科学省

導入する端末は適切な機能のものを選ぶ

ICT教育に導入する端末は、利用目的を阻害するような大きなアップデートがない機器(ソフト的に軽量な機器)が望ましいでしょう。

何度もアップデートする必要がある端末にしてしまうと、全員分のアップデートが終わるまで膨大な時間のロスになってしまいます。

また、アプリケーションもアップデートが頻繁に行われるものだと授業に支障がでるため、標準化されたものを選んだ方がよいでしょう。

対応に困ったときの窓口を設定しておく

文部科学省の「ICT活用教育アドバイザー事業」や、ICT推進をサポートしている企業があります。

故障や修理、ICT機器の使い方などそれぞれの問題が起きた際、どこに相談するのか窓口を明確にしておくことが、スムーズにトラブルに対処できるポイントです。

出典:令和4年度ICT活用教育アドバイザーへのお問い合わせ窓口について|文部科学省

ICT教育の必要性が高まっている理由

ここからは、ICT教育の必要性が高まる背景について、紹介していきます。

ICT教育の必要性が高まっていった背景には、新型コロナウイルスの蔓延も関係していました。急速にオンライン授業の必要性が高まったことも要因です。具体的にどういう背景なのか、解説します。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、一斉休校するなどの措置が取られました。その際に、オンライン授業への必要性が高まったことが、ICT教育が普及する要因となっています。

子どもたちが学習機会を失わないよう、家庭にいても授業が受けられるICT教育が求められているのです。

教育現場における教員の負担軽減

ICT教育が普及することによって、教員の負担軽減が期待できます。

ICT機器を利用してデータを表示すれば、何度も同じことを板書する必要がなくなります。またプリントを生徒の枚数分印刷して用意するという手間は、データを生徒に転送することで省けるようになるでしょう。

教育現場における教員の負担を軽減することで、よりよい教育環境を作ることに役立つ可能性があります。

文部科学省が提唱する「GIGAスクール構想」

子どもたち1人1人に1台のICT端末を与えて学習することを目標としているのが、「GIGAスクール構想」です。子どもたちを誰1人取り残すことなく、平等に教育の機会を与えることを目的としています。

出典:「GIGAスクール構想」|文部科学省

ICT教育のメリットについて知っておこう

ICT教育を推進することは、生徒のやる気や理解度を上げることに役立ちます。また、教員の負担軽減にも役立つため、教育現場全体で大きなメリットがあるといえるでしょう。

しかし、導入コストや、個人差でのトラブルなどのデメリットも想定されています。それぞれに対処しながら、よりよい環境で子どもたちが学びを深めることが求められています。