特別支援学級とは?入学するメリットや入学するまでの流れ、選ぶコツをご紹介

特別支援学級がどのようなものか知りたい人はいませんか。この記事では、特別支援学級の基本情報の紹介とともに、入学するメリットデメリットや入学する流れなどを紹介しています。特別支援学級について調べているという保護者の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
「特別支援学級ってどんなものなの?」
「特別支援学級に入学するメリットやデメリットって何?」
「入学するまでの流れや特別支援学級を選ぶコツが知りたい」
子どもを特別支援学級に入れた方がいいか悩んでいる保護者の方のなかには、このような疑問や興味を持っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、特別支援学級がどのようなものなのかを解説します。また入学するメリットや入学までの流れのほか、特別支援学級を選ぶ際のコツや注意点を紹介します。
この記事を読むことで、特別支援学級に関する知識を身に付けることが可能です。その知識をもとに、自分の子どもが特別支援学級を利用するべきなのか検討しやすくなります。また、実際に入学する際にはスムーズに手続きができるでしょう。
特別支援学級に興味があるという保護者の方は、ぜひこの記事をチェックしてください。
特別支援学級とは
特別支援学級とは、小学校・中学校に設置されている学級のひとつです。障がいのある生徒が、学習や生活の困難を克服するために設置されています。
学級の基準定員は、小学校・中学校ともに8人と少人数に設定されているところが特徴です。ただし8人の基準はあくまでも文部科学省が定めているもので、地域によって定員は異なることがあります。
特別支援学級の教育課程
特別支援学校の教育課程は学校教育法施行規則に基づいており、基本的には小学校・中学校の教育課程に沿った内容です。その上で、特別な教育課程を編成することが認められています。
特別な教育課程では、以下の3つの内容を行うことが提示されています。
・自立活動を取入れること
・必要に応じて下の学年の各教科の目標や内容に代替が可能であること
・知的障がいを持つ生徒のみ、知的障がい特別支援学校の各教科で代替可能であること
抱えている障がいが異なっているのはもちろん、同じ障がいを持っている生徒でも、さまざまな学年の生徒が同じ学級に在籍しています。このため、生徒が抱えている学習面や生活面での困難を克服できるように、個々に合った教育課程や指導計画が作成されています。
特別支援学級の指導内容
特別支援学級の指導内容には、自立活動というものがあります。自立活動とは特別支援教育の土台または中核となる指導のことで、学習または生活上の困難を克服するために必要な知識・技能・態度や習慣を身に付けるためのものです。
自立活動は主に以下の内容で構成されています。
・健康の保持
・心理的安定
・人間関係の形成
・環境の把握
・身体の動き
・コミュニケーション
実際の指導では、この6項目すべてを指導するわけではなく、生徒の状態やニーズを踏まえて必要な項目をピックアップしていきます。
特別支援学級の編成
特別支援学級の編成に関しては、基本的に障がい種別で行われています。
これは弱視者や難聴者などの身体的な障がいを持っている生徒と、自閉症や情緒障がいなどの精神的な障がいを持っている生徒では、指導する内容や自立活動も異なっているためだと考えられます。
そのため、通常の学級編成と違って同じ学級のなかに違う学年の生徒が在籍する形になっているところが特徴です。
特別支援学級は7種類ある

特別支援学級は障がい種別に学級がわけられていますが、具体的には以下の7種類に分類されています。
・弱視特別支援学級
・難聴特別支援学級
・知的障がい特別支援学級
・肢体不自由特別支援学級
・病弱・身体虚弱特別支援学級
・言語障がい特別支援学級
・自閉症・情緒障がい特別支援学級
ただし、特別支援学級がある学校でも、この7種類すべての学級を設置しているわけではありません。学校によっては種類を限定している場合もあるため、事前に確認することが大切です。
特別支援学級か通常学級の選択が可能な場合もある

基本的に障がいを抱えている子どもの就学先は、市区町村の教育委員会の選考で決定されます。ただ障がいが比較的軽度の場合は、子ども本人や保護者の希望も踏まえて、特別支援学級か通常の学級を選択することが可能です。
通常の学級を選ぶ場合、通級*による指導(通級学級)を受けることもできます。通級指導の対象となる障がいは、以下のとおりです。
・情緒障がい
・自閉症
・LD
・ADHD
・言語障がい
・弱視
・難聴
・肢体不自由
・病弱および身体虚弱
通常の学級で勉強する場合は、通常学級の子どもとかかわることでよい影響や刺激を得られること、学習の遅れをカバーできることがメリットとして挙げられています。
*通級とは、軽度の障がいやその疑いがある子どもが通常学級に在籍しつつ、特性を考慮した指導を受けることができる教室のことをいいます。
ただし、子どもが学級の行き来にストレスを感じることがある点に注意が必要です。また、通級学級が同じ学校内に設置されていないと、通級学級を設置している学校に行き来をしなければいけない場合もあります。
特別支援学級から通常の学級へ転学も可能
特別支援学級に入ったとしても、通常学級へ移ること、またその逆も可能です。
これは、子どもの学ぶ場を固定するのではなく、子どもの発達の程度や適応の状況などを考慮して柔軟に対応するものだという考えから可能となっています。
転学する場合は、まず担任や連絡調整の役割をしている特別支援教育のコーディネーターなどに相談する必要があります。その上で本人や保護者の希望や意向が確認され、市町村教育委員会などと転学が望ましいかを話し合いで決定します。
特別支援学級に通学するメリットとデメリット

特別支援学級に通学することには、いくつかのメリットとデメリットがあります。メリットとしては、以下の点があります。
・子どもの障がいや特性に合わせた授業を展開してくれる
・日常生活の動作の指導が受けられる
特別支援学級は、障がいを持った子どもに特化した教育を実施しています。また、個に特化した指導や支援をしているため、それぞれの子どもに必要な指導や支援を受けられるところは、大きなメリットです。
デメリットとしては、他者とかかわる機会が少ない点があります。通常学級の場合は他者との関わりを通じて集団での生活や社会性を身に付けられますが、特別支援学級のなかだけでは集団生活や社会性を学ぶことが難しいでしょう。
このため、一般社会に出た際にうまくなじめず、不安を感じやすくなってしまう可能性があります。
特別支援学級を選ぶコツ・注意点

特別支援学級に子どもを入学させたい場合は、特別支援学級を設置している小学校・中学校のなかから選ぶ必要があります。その際には、子どもの障がいの度合いだけではなく学びやすさなども考慮することが大切です。
ここからは、特別支援学級を選ぶコツや注意点を4つ紹介します。
・子どもが学びやすいところを選ぶ
・見学に行く
・情報収集をする
・子どもの状況や特性を把握しておく
子どもが学びやすいところを選ぶ
基本的に特別支援学級は、子どもの障がいや状況に合わせた指導や対応をしてくれます。ただし、自分の子どもに必要な配慮や支援を受けられるかは、子どもの状況や特別支援学級の環境などを確認しなければわかりません。
場合によっては、特別支援学級よりも通常の学級の方が学びやすいこともあるため、まずは子どもが学びやすい・過ごしやすいところを選ぶようにしましょう。
見学に行く
子どもが学びやすい・過ごしやすいところを選ぶためには、実際に見学をして環境や雰囲気を確認する作業も大切です。
特別支援学級は学校や学級ごとに、指導や支援に関する方針だけではなく、学級そのものの雰囲気が異なります。本人も一緒に見学して情報収集をしながら、子どもに合っている環境なのか見極めることがおすすめです。
情報収集をする
特別支援学級の見学をする際には、まずは自分が住んでいる地域の特別支援学級に関する情報を収集することが必要です。
住んでいる地域によって、特別支援学級の数や種類は異なります。このため、まずは自分が住んでいる地域の特別支援学級の情報を集めておかないと、どの学校や学級を選べばいいのか選択することは難しいです。
より詳しい学校や学級の情報を知りたい場合は、実際にその学校や学級に通っている保護者の方に聞いてみるのもよいでしょう。
子どもの状況や特性を把握しておく
特別支援学級を選ぶ前に、子どもの障がいの状況やどのような学級や支援があれば過ごしやすく学べるのかなど、子どもに関する情報を整理する必要があります。
整理するためには保護者の視点だけではなく、通っている園や療育施設の職員、医療機関など第三者の意見も参考にしてみることがおすすめです。
特別支援学級に入学するまでの流れ

障がいを抱えている子どもの就学先に関しては、本人や保護者の意向を最大限尊重しつつ、障がいの状況などを踏まえて、最終的には市町村教育委員会が決定する流れとなっています。
ただ、実際にどのような流れや手順で入学が決まるのかよくわからないという人もいるでしょう。ここからは、特別支援学級に入学するまでの一連の流れについて解説します。
就学説明会に参加する
入学する準備段階として最初に行われるのが、就学説明会です。就学説明会は各自治体の教育委員会が実施しており、以下の内容が説明されています。
・通級指導教室の情報なども含めた、特別支援教育に関する基礎的な情報
・就学先の案内
・就学までの流れについての説明
・就学相談の案内や申込み方法の説明
教育委員会によって説明や案内する内容は多少違う場合もありますが、基本としては特別支援教育や特別支援学級に関する案内が多いです。また、説明会を通して就学相談の受付を行っているところもあります。
就学相談を受ける
就学相談は各自治体の教育委員会が実施しており、障がいを抱えている子どもにとって適正な就学先を相談できるものです。ちなみに、通常の学級に就学したい場合は受ける必要はありません。
就学相談は事前申込みが必要で、学校や幼稚園・保育園から案内が届くこともあれば、就業説明会や地域の教育委員会の窓口から直接申込む場合もあります。
就学相談は面談を行うほか、発達検査や知能検査、必要に応じて行動観察・グループ観察などが行われます。
就学時健康診断を受ける
就学時健康診断とは、学校保健安全法で定められているものです。小学校に就学する直前に行われる健康診断で、体の疾患や知的発達の度合いを検査する目的で行われます。
就学時健康診断の結果は、市町村教育委員会が就学先を検討するための目安として扱うため、重要な情報のひとつです。
この段階でまだ就学相談を受けておらず、就学時健康診断で障がいの疑いを指摘されると就学相談を提案・案内されることもあります。
市町村の教育委員会から入学許可が出る
就学時健康診断や就学相談が終わった後は、市町村教育委員会が専門家からの意見を聞いて総合的に判断を下します。
その後は必要に応じて保護者と教育委員会での面談が行われますが、基本的には教育委員会で話し合われた内容が通知される形が多いです。通知内容に納得・合意すれば、1月31日頃には入学許可の通知が届きます。
特別支援学級に入学できる基準には注意が必要

実は特別支援学級に入学するためには、学校教育法に基づいた基準をクリアする必要があります。基準は以下のとおりです。
・知的障がい:知的発達の停滞があって意思疎通や日常生活に援助を必要とする状態、または社会生活への適応が著しく困難な状態
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・視覚障がい:両目の視力が0.3未満、または拡大鏡などを使っても文字や図形の認識が難しい状態
・聴覚障がい:両耳の聴力が60デシベル以上、かつ補聴器などを使っても通常会話の声が聞き取れない、または困難な状態
・肢体不自由:補装具を使っても日常動作が難しい状態、または医学的観察指導が必要な状態
・病弱:疾患により医療や生活規制を必要とする状態
特別支援学級卒業後の進路例

実際に子どもが特別支援学級に入学した場合、卒業後の進路がどのようになるのか気になるという保護者もいるでしょう。また、子どもを特別支援学級に入れるべきか悩んでいる保護者も、卒業後の進路を踏まえて検討したいと考えている人も多いです。
ここからは、特別支援学級卒業後の進路例を小学校と中学校それぞれで紹介します。
小学校卒業後の場合
小学校で特別支援学級を卒業した場合、進学先としては以下の3とおりあります。
・中学校の特別支援学級への進学
・中学校の通常学級への変更
・特別支援学校
中学校にも特別支援学級があるため、そのまま進学するケースも多いです。また、中学校から通常学級への変更を検討する場合は、進学と学級の変更が子どもの負担にならないよう配慮する必要があるでしょう。
中学校卒業後の場合
高校には特別支援学級が設置されていないため、知的障がいがない場合は一般高校へ進学するのが一般的です。そのほかの、進路先は以下のとおりです。
・一般高校への進学
・サポート校、技能連携校への進学
・専修学校への進学
・特別支援学校への進学
・就職
また、上記のほかにも障がいに理解のある通信制の高校やフリースクールもあるため、子どもの希望や状況に配慮しながら検討するとよいでしょう。
特別支援学級への理解を深めよう

特別支援学級は、何らかの障がいを抱えて学習や日常生活に困難を抱えている子どもに支援・指導を行っている学級です。学級には7つの種類があるため、それぞれの障がいに合わせて対応してもらうことができます。
特別支援学級に入るためには基準をクリアし、就学相談や就学時健康診断を受けて入学許可を得る必要があるため、入学を検討している場合は事前に情報収集をしておくことが大切です。
子どもを特別支援学級に入れるべきか悩んでいる保護者の方は、この記事を参考にして、子どもと一緒に話し合ってみてはいかがでしょうか。