アクティブラーニングにもデメリットはある!失敗する原因や対策について解説
アクティブラーニングにはデメリットもあると聞いたことはありませんか?本記事ではアクティブラーニングのデメリットとメリットを解説し、主な失敗原因や成功のコツ、おすすめの教材を紹介しています。アクティブラーニングを効果的に取入れたい方はぜひ、参考にしてください。
「アクティブラーニングにはどのようなメリットとデメリットがあるの?」
「学校で実施されているアクティブラーニングの内容を知りたい」
「アクティブラーニングが失敗する原因と対策を教えてほしい」
柔軟な発想力と積極性を育むアクティブラーニングは教育現場にも導入されています。一方でアクティブラーニングにはデメリットがあるともいわれ、不安に感じている方もいるでしょう。
本記事ではアクティブラーニングの概要や指摘されているデメリットとメリットを解説し、あわせて失敗する原因や成功させるために必要なことについても紹介します。
この記事を読むことでアクティブラーニングのデメリットと対策がわかり、子どもの能力を伸ばす方法が身に付くでしょう。
アクティブラーニングのメリットとデメリットについて詳しく知りたい方、子どもにアクティブラーニングを効果的に学ばせたいとお考えの方は本記事をチェックしてみましょう。
文部科学省が推進する「アクティブラーニング」とは?
アクティブラーニングとは、「学生などの学習者が主体性を持ち、能動的に考えて深く学ぶ方法」をさします。
これまでの学校教育では、教師の講義を聞いて知識を得る「受身の学習」が主体でした。しかし、これからの時代に必要な能力として、さまざまな経験を通じて、社会性や主体性、コミュニケーション力などが必要です。
これらの汎用的能力を育成するため、文部科学省は学習指導要領に小学校でのアクティブラーニングの導入を明記し、2020年からは指導がはじまっています。
出典:新しい学習指導要領の考え方-中央教育審議会における議論から改訂そして実施へ-|文部科学省
アクティブラーニングのデメリット
アクティブラーニングでは、子どもが自ら深く考えて、経験を積むことで主体性が育まれるといわれ、注目されている指導方法です。しかし、アクティブラーニングには、デメリットもあります。取組み方を失敗すると、子どものモチベーションを下げることにもなりかねません。
ここからは、アクティブラーニングの実施で起こりうる、主なデメリットを6つ紹介します。
評価が曖昧になる
アクティブラーニングのデメリットとして、学生の評価が曖昧になることが挙げられます。
講義型の授業では、テストなどを通じて学生の理解度が目に見える形で現れますが、アクティブラーニングでは、さまざまな観点で評価する必要があります。評価基準が明確に定められていないため、評価者によりばらつきが出ることも懸念点の一つです。
グループワークで活発に発言する学生が高く評価されがちで、課題を理解していても発言を苦手とする学生は評価されにくいといった、課題も指摘されています。
意見の相違がもめごとにつながる
アクティブラーニングでは、フィールドワークや意見交換をする機会が多く、学生間でのコミュニケーションが必要です。
アクティブラーニングでは、意見の相違が元でもめごとが発生する場合があります。
活発な意見交換をしているうちに、それぞれの意見の相違から関係が悪化することがあり、与えられた課題が進まないということにもなりかねません。
学生の自習になってしまう
授業時間が自習になってしまう傾向があるのも、アクティブラーニングのデメリットの一つです。
アクティブラーニングでは主体性、能動性を重視しています。
たとえば、課題に対して調査をする場合、評価者からは学生が適切に調査できているのかが見えにくく、気がつくと単なる自習になってしまいます。課題解決までいかないケースもあるでしょう。
受身の姿勢がみられる学生にとっては相性が悪い
物事を受身でとらえる傾向を持つ学生には、アクティブラーニングは向いていないといわれています。
アクティブラーニングでは、主体性を持って、能動的に学習に取組むことが求められますが、全員がやる気に満ちているとは限りません。
受け身の学生は、対話や課題調査にも積極的でないことが多く、アクティブラーニングでは十分な学習効果が得られない傾向にあります。
授業内容が受験に向いていない
アクティブラーニングの授業内容が受験に向いていないことも、デメリットであるといわれています。
日本の入学試験ではペーパーテストが主流です。知識を問われる問題が多く、講義型の授業で学んだ内容が重視されます。
一方で、アクティブラーニングは、知識の活用方法や主体性を身に付ける学習です。そのため、アクティブラーニングはペーパーテストで得点を上げるのには非効率で、受験に関してはデメリットになりやすいでしょう。
グループ内で上手な討論ができない場合もある
グループ内での討論が進まず、アクティブラーニングがめざす学習効果が十分に得られない場合があります。
講義型の授業とは異なり、アクティブラーニングでは他者との意見交換から解決策や気づきを見つけることが大切です。
しかし、学生間のモチベーションの違いや、相性の悪い学生同士のグループでは討論がスムーズに進まず、結局何を学びたかったのかを見失ってしまうこともあります。
アクティブラーニングの5つのメリット
アクティブラーニングは、比較的新しいアプローチの学習方法です。趣旨を理解し、正しく学ぶことで講義型授業では、得られなかったスキルが身に付くといわれています。
ここからは、アクティブラーニングを取入れることによるメリットを5つ紹介します。
課題に対して解決する能力がつく
自分一人ではいい案を思いつかない場合でも、グループワークなどで他者の意見を聞くことで、新たな価値観やアプローチ方法を知るきっかけになります。
さらに、視野が広がることで問題点の切り口が見え、これまでに思いつかなかった解決策を思いつくなど、課題解決能力を習得できるでしょう。
コミュニケーション能力が上がる
アクティブラーニングを学ぶことで、コミュニケーション能力の向上が期待できます。
アクティブラーニングでは、グループ作業が重視されています。これは、講師が主導するのではなく、学生が主体です。ディスカッションでは、自分の意見をきちんと伝え、相手の意見も聞いて建設的な話し合いを行うことが求められます。
課題解決に向けた話し合いを重ねることで、相手を尊重しながら、自分の思いを伝えられるコミュニケーション能力が身に付けられるでしょう。
発想力が上がる
アクティブラーニングを学ぶことで、発想力が上がることが期待できます。
課題を解決する方法は一つではなく、幅広い視点で解決策を見つけ出すことが大切です。さまざまな調査を行い、他者の意見も取入れて自分の意見を整理していく過程で、新たなアイデアを見つけられるようになるでしょう。
アクティブラーニングの教材として、「ワンダーボックス for docomo」がおすすめです。
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詳細や利用条件等は下記リンク先よりご確認ください。
出典:ワンダーボックス for docomo|comotto
主体性が身に付く
アクティブラーニングでは自身が能動的に考え、動くことが求められます。自らで課題を発見し、現状調査をして解決策を見つけ、それを他者に提案するという一連の流れを学習することで主体性が育まれます。
さらに自身の考えに責任を持ち、何事においても積極的に取組める効果が期待できるでしょう。
学習内容の定着
アクティブラーニングのメリットとして、学習内容の定着が期待できます。
従来の講義型の授業は「インプット型」といわれ、一方的に知識を詰め込まれるため、学んだことをすぐに忘れてしまう傾向がありました。しかし、アクティブラーニングでは、ディスカッションやフィールドワークなどのアウトプットが必要な作業も求められます。
アウトプットするためには知識を整理して、自分のものにする必要があるため、学んだことがしっかりと身に付くといわれています。
アクティブラーニングが失敗する主な3つの原因
アクティブラーニングは、考える力や能動性を身に付けるのに適した学習法ですが、取組み方法を誤ってしまうと、十分な効果を得られないといわれています。
失敗事例も挙げられており、これからの教育現場において、アクティブラーニングの指導は課題の一つです。
ここからは、アクティブラーニングが失敗する3つの主な原因を紹介します。
単調な授業で子どもの学習意欲が低下する
失敗例の一つは、「授業の内容がワンパターンで子どもが飽きてしまい、学習意欲が低下する」というケースです。
アクティブラーニングでは、課題に自主的に取組む時間や、ディスカッションに多くの時間を費やします。
最初のうちは、これまでの講義型とは異なる授業に目新しさを感じていても、次第にマンネリを感じて、授業に集中できなくなる可能性があります。
また、課題を早く終わらせたいと考える子どもや、ディスカッションで早急に結論を出そうとするメンバーにより、十分な議論ができなくなることもあるでしょう。
全員参加型の授業に姿勢のばらつきがみられる
二つ目の失敗事例は、「生徒間の意欲や姿勢に差があるため、アクティブラーニングがうまく進まない」というケースです。
アクティブラーニングではグループワークや話し合いなど、他者と一緒に進める作業が大切です。
充実した内容にするには、メンバー全員が意欲を持って、協力することが求められます。しかし、積極性に欠けるメンバーがいるとまとまりに欠け、ばらつきが発生してしまいます。その結果、一部の意欲的なメンバーのみで作業が進んでしまう可能性があるでしょう。
課外活動先でトラブルが起こる
アクティブラーニングの課外活動先でトラブルが発生することも、失敗事例として挙げられます。
アクティブラーニングでは、郊外での課外活動も頻繁に行われます。フィールドワークなどで校外に出た際に大きな声で騒いだり、ものを壊したりするなどのマナー違反により授業の妨げになる可能性があります。
また、迷惑行為への苦情などで、今後の課題活動ができなくなるということもあります。
アクティブラーニングを成功させるために必要なこと
アクティブラーニングは、これまでの学習法にはなかった、数多くのメリットが得られる学習法です。目的と効果を正しく理解し、適切に学ぶことで、子どもの考える力や主体性など、さまざまな能力を伸ばすのに役立つでしょう。
ここからは、アクティブラーニングを成功させるために必要なことを4つ紹介します。
指導者の能力向上
アクティブラーニングを成功させるには、指導者の能力向上が必要だといわれています。
アクティブラーニングは、学校教育に取入れられてから日が浅く、教師の習熟が急務だともいわれています。また、グループワークなどにおいて、発言が苦手な子どもをフォローする体制も必要です。
学習目的の明確化
学習目的を明確にしておくことも、アクティブラーニングの成功につながります。
自主的な行動が求められるアクティブラーニングでは、目的が見えないとダラダラと作業をしてしまうことになりがちです。
課題解決能力や主体性、コミュニケーション力といった「アクティブラーニングで何を学ぶのか」をあらかじめ示しておくことで、子どもも何をするべきかを理解し、モチベーションアップにもつながります。
アクティブラーニングを活かすための創意工夫が必要
アクティブラーニングで学んだことを授業以外でも活かせるように、創意工夫をすることも大切です。
授業で得た課題解決の方法やコミュニケーション力を日常生活で活かせるように、あらかじめ授業のテーマに組み込んでおくのも効果的だといわれています。
たとえば、「地球温暖化を防ぐには」というテーマでアクティブラーニングを学んだ場合、家庭でも「プラスチックゴミを減らす工夫をしよう」といった行動につながれば、アクティブラーニングでの学びを活かすきっかけになるでしょう。
座学との組み合わせ
アクティブラーニングを成功させるためには、座学と組み合わせて実施することも効果的です。
アクティブラーニングは主体性を育むのに有効ですが、一方で知識を体系的に習得するのには、不向きだといわれています。
アクティブラーニングだけを学ぶのではなく、テーマに沿った講義なども組み合わせて学習することで、より一層アクティブラーニングの効果が上がることが期待できます。
文部科学省が期待するアクティブラーニングの効果
文部科学省は、アクティブラーニングの育成が期待される効果について、以下を挙げています。
・社会や世界と関わり、よりよい人生を送るための主体性・多様性・協調性・人間性
・物事を実行するのに必要な個別の知識や技能
・知識や技能を使いこなすための思考力・判断力・表現力など
・自らが問題や課題を主体的に発見し、解決する経験を積むことによって「生きる力」を育成する
アクティブラーニング導入後は、基礎的な知識が身に付き、日常生活で触れることに興味を持って、取組む「生きる力」の育成が進んできているといわれています。
出典:アクティブラーニングの視点と資質・能力に関する参考資料|文部科学省
アクティブラーニングのデメリットを理解したうえで学習しよう
アクティブラーニングとは何か、見えてきたデメリットとメリット、アクティブラーニングが失敗する原因や成功に必要なこと、アクティブラーニングがもたらす効果について紹介しました。
アクティブラーニングが導入されてから日が浅く、教育現場でもさまざまな課題が浮き彫りになってきています。目的を明確にし、従来の学習方法と組み合わせて学ぶことで文部科学省が期待する効果が発揮されます。
アクティブラーニングは家庭でも実践することが可能です。アクティブラーニングのデメリットを理解し、子どもの能力を伸ばせる環境を作ってアクティブラーニングを学んでいきましょう。