いつの間にか考えることが大好きに!保護者必見!家庭で思考力を育むヒント
子どもが考えることを途中で投げ出してしまうことは、多くの保護者の方が経験する悩みの一つではないでしょうか。
「すぐに飽きて他のことに興味が移ってしまう」「難しい問題に直面するとすぐに諦めてしまう」などのお子さまの様子を見ると、もう少し自分で考えてみてほしいと感じるものです。
そこで今回は、「子どもの思考力を育み、子どもが考えることが大好きになるためのご家庭でできるヒント」をワンダーファイ社の川島さんにうかがってきました。
<インタビューをさせていただいた方>
ワンダーファイ株式会社 代表 川島 慶さん。東京大学大学院工学系研究科修了。算数・数学好きが高じて学生時代よりベストセラー問題集「なぞぺ〜」の問題制作に携わる。2007年より花まる学習会で4歳から大学生までを教える傍ら、公立小学校や国内外児童養護施設の学習支援を多数手掛ける。2014年株式会社花まるラボ創業(現:ワンダーファイ)。
思考力の正体は、1を見聞きして10まで想像する力!?
インタビュアー(※以下、イと表記):子育てを通じて、お子さまの思考力を高めることが大切だという話をよく耳にします。そもそも思考力とは、どのような力なのでしょうか。
川島(※以下、川と表記):思考力とは「 1を見聞きして2や3、ときには10まで想像する力」だと考えています。
たとえば、信号は「青→黄色→赤」の順番で変わりますよね。そういう法則に気づくことも思考力が発揮された場面だと思います。
ほかにも、こういうことをするとお母さんやお父さんは喜ぶ、怒る、などのポイントを発見することも思考力を発揮した場面ですね。
具体例を2つお出ししましたが、思考力は、すでに持っている知識や道具を駆使して、考えを広げていく力だとイメージしていただくとよいかもしれません。
時代に関わらず大切ですが、特に昨今は、AIの登場もあり「思考力」はこれからを生きていく子どもや大人が発揮しやすい世の中になっていくと思います。
算数だけじゃない!思考力を育むヒント
イ:川島さんは算数がお好きと聞いておりますが、思考力を高めるためには、算数などの難しい問題をお子さまに解かせればよいのでしょうか。
川:算数や数学は「考える」ことを深める格好の材料ではあります。ですが、あくまで手段の一つだと捉えてください。
思考力を発揮するには、「自分の考えで、何かを達成しようとする経験」が重要です。
赤ちゃんは、誰にも教わらなくとも、「立ち上がる」という、とんでもない難題に、何度失敗しても挑戦し続けて、成し遂げますよね。
このように、「自分の考えで、何かを達成しようとする力」は誰しも持っています。
ですが、大人になるにつれ、知識をもとに「できない」と決めつけてしまったり、失敗を恐れて挑戦しなくなったりしてしまう。「自分の考えで、何かを達成しようとする力」は、年齢とともに一時的に封印されてしまうこともあるのです。
そのため、お子さまの思考力を高めたいと思っている保護者の方は、「自分の考えで、何かを達成しようとする力」は、本来お子さまが備え持っている力だと捉えていただくとよいと思います。
そうすれば、お子さまに接するときに、手取り足取り教えすぎないように意識できると思います。
ズルをしたり、ボーッとしたりすることは考える力を伸ばすチャンス!?
イ:お子さまが、自分の考えで何かを達成しようとするためには、まずはお子さま自身が、考えることを好きだと感じることが大切だと思います。お子さまが考えることを好きになるためには、保護者の方は何をしたらよいのでしょうか。
川:まずは、保護者の方の構え方がとても重要です。
たとえば、お子さまが、「ボーッとする、ふざける、ズルをする、意地悪する」こうした一般的にはマイナスイメージのことをしているとき、お子さまに対してどう接しますか。
イ:ふざけていたり、ズルをしたりしていれば、注意をしますし、ボーッとしていたら「集中しなさい」と叱ってしまうかもしれません。
川:実はこれらのシーンは、子どもなりに「自分の頭で考える」を存分に発揮している側面もあるんです。
イ:いわれてみると、私自身の経験を振り返っても、特に「ズルをするとき」なんかは、頭のなかでものすごくいろいろなことを考えていたように思います。
川:そうですよね。
もちろん、子どものそういった振る舞いの全部を許すわけにはいきません。ですが、お子さまが考えることを好きになるためには、保護者の方が口出しをしすぎないようにして、一定の許容を持って接することが大切です。
イ:ほかにも、お子さまが考えることを好きになるために、保護者の方ができることはあるのでしょうか。
川:はい、保護者の方ができるもう一つのことは「縁作り」です。
「縁作り」とは、お子さまが接する世界を広げていくことです。たとえば、楽しめる場所へ連れて行くのも、友達と縁を深める機会を作るのも「縁作り」の一つですね。
また、当社もSTEAM通信教材「ワンダーボックス」というサービスを通して、「世の中にはこんな面白さがある」と気付ける素材や体験を、全力で提供しています。毎月10種類程度の教材をお届けすることで、たくさんの知的なわくわくとの出会いをお届けしています。
お子さまの興味・関心を広げて、考えた知識を積み上げられるような出会いを用意するのが、保護者の方にできる取組みの一つだと思います。
家庭での声かけのコツ!お子さまを考えることにワクワクさせるには?
イ:この記事をご覧になった方が、今すぐ家庭内で簡単にできる「縁作り」などはあるのでしょうか。
川:たとえば、料理をしている時に「野菜が何個あるか教えてくれる?」など、お子さま自身が、保護者の方の役に立ちたいと思えるような声かけをしてみるのはいかがでしょうか。
ほかにも、おもちゃを片付けるときに、「どっちが早く片付けられるか競争しよう」と声をかけたり、お子さまが積み木で遊んでいる際に、「積み木を何段まで積み上げられるか勝負しよう」といった声をかけたりするのもよいでしょう。
このように、普段何気なく過ごしている日常生活のなかでも、保護者の方の声かけ一つで、お子さまが接する世界を広げていくことができます。
また、お子さまの年齢によっては、お子さまが「なぜなぜ攻撃」をする時期がありますよね。
お子さまの「なぜ」の全部に付き合うのは相当大変ですが、「この人に聞けば大丈夫」という先生的な存在を用意したり、一緒に調べたりはできるのではないでしょうか。
今の時代なら、ChatGPTや生成AIといった、質問をしたらいくらでも答えてくれるツールも利用できます。そういったツールも活用しながら、お子さまと接してみてください。
子どものやる気を削ぐ?算数嫌いな保護者のご褒美の落とし穴
イ:逆に「これをやるとお子さまが考えることを嫌ったりしてしまう」といった、家庭での注意すべき振る舞いはあるのでしょうか。
川:お子さまに、何かやってほしい、または身に付けてほしいからといって、過度な報酬を与え続けてしまうことは避けた方がよいでしょう。
もちろん、「きっかけとして」なら大丈夫です。たとえば、当社の提供している学習アプリでも、まずはちょっとした演出などのご褒美があります。
このように、入り口としてのご褒美はよいですが、その後もそれだけが報酬になってしまうのは考えものですね。
イ:そうならないためには、子どもが何かできたときに、ご褒美におもちゃを買ってあげるなどの頻度を控えればよいのでしょうか。
川:おっしゃるように、物理的なご褒美もあります。また、それ以外のケースもあるんです。
たとえば、保護者の方自身が「算数」に苦手意識があると、算数に取組んだ子どもに「えらいね」とついいってしまう。こういった言葉も「ご褒美」として捉えていただくとよいでしょう。
算数は本来楽しいもののはずですが、大人になるにつれて、学校のテストなどさまざまな経験から、「算数」に苦手意識を持たれた保護者の方はいらっしゃると思います。
ですが、お子さまにとっては、「子どもにとって、算数に取組んだことは楽しい体験だったはずが、「ご褒美」をもらうことで、「ご褒美がもらえるから算数をやる」ことに変わってしまいます。すると本来は、算数をわくわく取組んでいたものが、ご褒美がないならやらなくなってしまう可能性があります。そのため、やらなければいけないタスクをこなしたことを褒めるというより、挑戦したこと自体やその過程を承認してください。
3年生以上は3分以上集中できる?学ぶことが楽しくなるヒント
イ:川島さんがご提供されている「シンクシンク」や「ワンダーボックス」は4歳から10歳と、幅広い年齢向けにカリキュラムを設定されていますよね。お子さまが考えることを好きになるために、年齢によって気をつけるべきことはあるのでしょうか。
川:年齢別に気をつけている点は多分にあります。
年中・年長であれば失敗を失敗と感じさせず、どんどん挑戦できるようにしてあげることが大切です。ワンダーボックスの「ジュニアランド」という導入教材でも、間違えてもいつの間にか元に戻って何度でも取組める仕組みになっています。
小学校1・2年生では、考えることの障がいとならないよう、なるべく文字は読まなくても理解できるようにしています。
小学校3年生以上になると、一つの問題に3分以上取組めるようにもなるので、じっくり楽しんでもらえる題材を提供しています。
イ:最後に、子どもたちが考えることを楽しめるように、川島さんが一番こだわっていることを教えてください。
川:知識それ自体や計算など、いわゆる先取り学習の内容は、後になってからでも身につけやすいです。それらよりも、特にこの時に大切にしたい、子どもたちの好奇心を開放することをめざしています。
理数系やアート領域など幅広く学習のサービスを展開していますが、「世の中にはこんなに面白い題材があるんだ!」と知ってもらえたらうれしいです。
子どもたちには、「学ぶこと自体を楽しいと感じてほしい」と願っています。
インタビュー後記(まとめ)
今回はワンダーファイの川島さんにお話をうかがいました。
川島さんが代表取締役を務める「ワンダーファイ」では、川島さんの想いや考え方が詰まった教材を展開しています。
なかでも「ワンダーボックス」は、五感を使って、手を動かして試行錯誤ができるアナログの良さと、デジタルの良さを掛け合わせた新感覚のSTEAM領域のバラエティ豊かなテーマでお届けします。(※対象年齢4歳〜10歳) 。詳細や利用条件等は下記リンク先よりご確認ください。