親も子どもも直面する「小1の壁」はなぜ起きるのか?原因と乗り越えるための8つの方法をご紹介
子どもが「小1の壁」にぶつかってしまうと親は対処に困るでしょう。この記事ではなぜ「小1の壁」が起こるのか、乗越える方法はあるのか、小学校入学前の対策などをまとめています。「小1の壁」が不安な方、悩んでいる方は、ぜひ、こちらをご覧ください。
「小1の壁があるって聞いたけど、それって何?」
「小1の壁は対策を知りたい」
このように「小1の壁」という言葉を聞いて、それが何かわからない方や不安がある方もいるのではないでしょうか。
この記事では「小1の壁」とは何なのか、子どもと保護者に「小1の壁」が起こる理由について紹介しています。「小1の壁」についての理解を深め、それがなぜ子どもだけでなく保護者にも起こるのか、理由を知ることができるでしょう。
「小1の壁」を乗り越える方法や、内閣府が行っている支援策についても紹介します。どうやって「小1の壁」を乗り越えればよいのか理解し、子どもとともに前向きに進んでいきましょう。
「小1の壁」について知りたい方、なぜ起こるのか理由を知りたい方、乗り越え方を知りたい方は、ぜひこちらの記事をチェックしてみてください。
「小1の壁」とは
「小1の壁」とは、保育園時代と小学校入学後の仕事と子育ての両立が困難になる現象です。保育園には延長保育があり、仕事の都合や交通事情に対応できますが、小学校の学童保育は終了時間が早いため、親は働き方を変えざるを得なくなります。
この壁を克服するために、働く環境や保育制度の改善が求められています。
現行の育児・介護休業法では、継続して働きながら子育てをおこなうための措置について、3歳までは選択的措置義務があります。それに対して、3歳から小学校入学までは努力義務が課されています。
勤務時間の短縮や他の措置については、3歳まで選択的であり、小学校入学までの期間は特に時間外労働や深夜業の制限、子の看護休暇などに関しては義務が課されています。
出典:継続就業しながら子育ての時間確保ができる措置の対象となる子の年齢について|厚生労働省
保護者に起きる「小1の壁」の原因
「小1の壁」と呼ばれる問題がなぜ保護者に起こってしまうのか、原因を紹介します。
子どもが小学校に上がると、それまでの環境とは大きく異なる環境で生活することになります。そのため以前よりも時間に厳しくなったり、学校の要件に振り回されたりするでしょう。
その結果、これまでなかった悩みを抱える保護者も、少なくないでしょう。
親に余裕がなくなる
保育園のときは、帰ってきたら風呂とご飯を済ませたらあとは寝るだけでした。しかし、小学生になると宿題の確認や連絡帳の記入、学校からの便りに目をとおすなど、親のやるべきことが増えます。
結果、通勤や仕事の時間にも影響を与え、親の余裕がなくなってしまうでしょう。
学校活動に参加しなければならない
子どもが小学生になると、PTAや授業参観、保護者会などの学校活動に参加しなければならなくなるでしょう。これらは、保育園に通っていた頃にはなかったことです。
PTA活動は、子どもの健全な育成のためにPTA会員同士相互で学ぶことや、学校への支援、地域での活動などを目的としています。これらの活動が行われるのであれば参加しなければならず、PTA役員になった場合は、平日の昼間に時間を取られるようなこともあるでしょう。
学校活動に参加するための時間のやりくりや、子どもの預け先の確保などが必要になります。
学童保育は保育園より預かってくれる時間が短い
子どもが保育園に通っている間は延長保育が受けられるため、比較的長い間、子どもを預かってもらうことが可能でした。しかし小学生になると、学童保育を利用したとしても迎えに行く時間が早くなるため、保護者の負担が増えるでしょう。
「放課後児童クラブガイドライン」では、開所時間を1日平均3時間以上としています。しかし小学校が終わるのは15時前後であるため、18時前後には迎えに行かなければなりません。19時以降も預かってくれるところはわずかでしょう。
このため子どもが小学生になった途端、子どもの預け先を探す必要がでてきます。その結果、親の時間も余裕もなくなるでしょう。
保育園のときのような連絡手段がない
保育園の頃は子どものお迎え時に保育士と話したり、連絡帳などで子どもの様子を詳細に知ることが可能でした。しかし小学校では子ども自身が書いている連絡ノートや学校のプリントからしか情報を得られないことに、保護者は不安になるでしょう。
連絡ノートは子どもが書いていること、学校での様子も子どもからしか聞けないため、子どもの話をうのみにするしかありません。保護者は、その状況に不安を感じてしまうのです。
学用品の準備を親がする必要がある
子どもを学校に通わせるための学用品は、すべて親が準備しなければならず、その準備負担が重いことも原因の1つになっています。
学用品はランドセルや筆箱、文房具だけではありません。大きなレッスンバッグや上履き・上履き入れの袋、体操着、体操着袋、帽子、水筒、マスク、算数セット道具などです。
これらの学用品が子どもの持ち物だと見わけやすいよう、親がすべてに名前を書いたり、イラストを入れたりしなければならないでしょう。
子どもに起きる「小1の壁」の原因
「小1の壁」は、保護者だけに起こるわけではありません。子どもにも「小1の壁」が起こりますが、どうしてそうなってしまうのか原因を紹介します。
小学校に上がるということが大きな影響を与えるのは、子どもも同じです。ただ、子どもは親とは違い、環境の変化やこれまでとは違う生活などが原因になるでしょう。
生活リズムが変化する
小学校に入学すると、登校時間に間に合わせるためにこれまでよりも早く起きなければならなくなり、生活リズムに変化が起きてくるでしょう。
保育園の頃と同じ時間に寝ていると、朝起きるのが早くなるため、睡眠不足になってしまいます。小学校という新しい環境での生活リズムに慣れなければならないことに疲れてしまい、学校に行くのを嫌がる子どもがでてしまう可能性があるでしょう。
新しい環境で新しい活動をする必要がある
小学生になると、これまで通っていた幼稚園や保育園とは全く違う新しい環境で過ごさなければなりません。これまでとは違い、勉強をしたり登下校したり、新しくしなければならない活動が子どもの負担になる可能性があります。
これまでは自分のペースで過ごすことができていたのに、小学校では集団で行動することを求められ、適応できなくなる可能性もあるでしょう。
新しい人間関係を築かなければならない
小学校に入学すると、これまで仲良かった友達と離れたり、全く知らない子どもと一緒に過ごさなければならなくなったりします。人間関係の大きな変化が、子どもの負担になるでしょう。
友達だけでなく、先生とも新たな関係を築かなければなりません。知っている子どもや仲の良かった子どもがそばにいないこと、コミュニケーションが上手く取れないことに、子どもが大きなストレスを感じてしまう可能性があります。
「小1の壁」を乗り越える8つの方法
「小1の壁」にぶつかると、働きながら子育てすることに限界を感じてしまう方もいるでしょう。そんな方に向けて、「小1の壁」を乗り越える方法を紹介します。まずはこれらの方法を使い、大変な時期を乗り越えてみましょう。
民間学童保育を利用する
これまでの学童保育だけでなく、民間の学童保育が利用可能かどうか検討してみましょう。
民間学童保育では優先受け入れ校が設定されているため、子どもの小学校が対象であれば優先的に入れるでしょう。自治体主体の従来の学童保育よりも、民間学童保育の方が長時間預かってくれるようになっています。
また、民間学童保育は祝日・休日と年末年始は休みになるため、利用を考えている方は注意しましょう。
出典:小学校外に新設する「新たな学童クラブ」のご案内|世田谷区
習いごとを検討してみる
学童保育を利用してもお迎え時間に間に合わないような場合は、遅くまでやっている習いごとを検討してみるのもよいでしょう。
ただ、習いごとでは基本的に子どもを送ってきてはくれません。友達と一緒に通えるか、ファミリー・サポートを利用可能な環境がないと、利用しにくい可能性があります。
小学校1年生の習いごととしては、comottoの「ワンダーボックス for docomo」がおすすめです。
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詳細や利用条件等は下記リンク先よりご確認ください。
同じ小学校の保護者同士で情報を共有する
PTA活動やボランティア活動などで出会った複数の保護者とつながりを持ち、情報共有しておくことをおすすめします。
子どもが小学校に上がると、保育園や幼稚園の頃よりも子どもの様子がわかりにくくなるでしょう。しかし同じ小学校の保護者同士でつながり、情報を共有することで、必要な学用品や宿題の情報、子どもが学校でどう過ごしているのかといった客観的な情報を得ることができます。
子どもへのフォローは無理のない範囲で行う
子どもが小学校へ上がったら、子どもへのフォローや声かけをこれまでよりも減らし、親にとって無理ない範囲で行うようにしましょう。
子どもはだんだんと育ち、やがて自立していきます。小学生になった子どもに対して、保育園や幼稚園の頃のように、事細かにフォローしたり声をかけたりする必要はないでしょう。
しかし、いきなり声かけやフォローをやめてしまうと、子どもが戸惑ってしまいます。子どもの様子を見ながら、減らしていきましょう。
フレックスやリモートワークでの勤務を検討する
子どもが小学生になったらそれまでと同様の働き方は無理であると考え、働き方を見直すことも大切です。
職場に時短勤務制度がある場合は、子どもが小学校入学後も制度を利用できるかどうか、確認してみてください。フレックスタイム勤務やリモートワークでの勤務か可能な場合もあるため、勤務先に、勤務形態を変えられないか相談してみましょう。
働き方について上司に相談をしてみる
子どもが小学生になったことで勤務し続けるのが厳しい場合、厳しくなることが予想される場合は、働き方について上司に相談してみましょう。
上司に相談することで、「小1の壁」という問題を抱えていることを理解してもらえるでしょう。業務内容や量について、配慮してもらえる可能性があります。職場に利用可能な制度があれば、紹介してもらえる場合もあるでしょう。
勤めている企業の制度を利用する
勤務先の企業にある、さまざまな働き方の制度を利用してみましょう。たとえばフレックスタイム制度や在宅勤務などの制度があれば、利用がおすすめです。
フレックスタイム制度はあらかじめ働く時間の総量を決めますが、出勤や退勤時間は自分で決められます。夫婦で制度を利用することで、お互いに退社時間を融通し合い、どちらかが子どもをお迎えに行ける時間を作れるでしょう。
在宅勤務であれば、自分のライフスタイルに合わせて働けます。子どもの急な体調不良にも、対応可能でしょう。
出典:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省
一人で抱え込まないようにする
「小1の壁」で生じている仕事と子育ての両立に対する不安や悩みを、一人で抱え込まず、誰かと共有しておくことが大切です。
たとえば、夫婦で話し合うことで、協力者を見つけることができます。子どもに放課後行きたい場所を聞いてみたり、夫婦で今後の子育ての方針について話し合ったりしましょう。最初から一人で抱え込まず、誰かに相談するようにしてください。
また、保護者同士で相談したり自分の親に相談したりしてもいいでしょう。保護者や、親の協力を得られる可能性があります。
小学校入学前にできる「小1の壁」の対策方法
「小1の壁」は、子どもが小学校に上がる前から対策しておくことで、問題を緩和できる可能性があります。子どもが小さなうちからできる対策方法を紹介していますので、こちらを参考にしてみてください。
小学校生活を前提とした生活リズムを作っておく
保育園や幼稚園の開始時間に合わせた生活リズムではなく、小学校生活に合わせた生活リズムを、入学前から作っておくことが大切です。
しかし、子どもをいつもよりも早く寝かせようとするのは大変です。小学校に入るとこれまでよりも早起きするため、早く寝させなければなりませんが、この入学後の生活リズムの変化は、子どものストレスになるでしょう。
年長の1月頃から少しずつ、小学校生活に合わせた生活リズムに慣らしていきましょう。
自治体が実施している制度の活用を検討する
自治体が実施している、子育て支援サービスの利用を検討してみましょう。
たとえば「ファミリー・サポート・センター」では、子どもの保育施設や学童クラブ、習いごとへの送迎などを行っています。冠婚葬祭や学校行事のときの子どもの預かりや、外出時、短時間就労時の預かりサービスなども行っています。
ただ、お住まいの地域によって利用可能なサービスは異なります。自分の住んでいる地域でどのような子育て支援サービスが利用可能なのかあらかじめ確認し、活用できるか検討してみてください。
内閣府も支援策を発表している
現在「小1の壁」という問題や、待機児童といった問題が発生しているため、これら解消するための支援策を内閣府でも発表しています。
大きな目標としては、放課後児童クラブの拡大があるでしょう。共働きで働く家庭が増えたことと、待機児童が増えている問題を解消するため、2023年末までに約30万人の受け皿を用意すると発表しています。
放課後クラブでは学校施設を積極的に活用し、放課後の子どものあんしん・あんぜんを守り、主体性を尊重した健全な子どもの育成を図るとしています。
「小1の壁」への対策は早めにしておこう
「小1の壁」は、子どもの環境の変化や、子どもを預けられる環境の変化などで、子どもや親に起こる問題です。しかしこの問題は、決して乗り越えられないものではないでしょう。
この記事では「小1の壁」を乗り越える方法を紹介していますので、こちらを実践してみてください。子どもが未就学児の場合は、小学校に上がる前からできる対策があるため、こちらに取組んでおきましょう。