カブトムシはどこにいるの?生態や飼育方法などについてご紹介
カブトムシの飼育方法がわからず、悩んでいる方はいませんか。この記事では、カブトムシの生態や生息場所をはじめ、飼育方法や季節ごとの具体的な管理方法について紹介します。カブトムシの捕まえ方や、育て方に興味がある方は、ぜひ、本記事をチェックしてください。
「カブトムシを飼育してみたいけれど、どうやって育てればよいのかわからない」
「幼虫から成虫になるまでの管理方法が知りたい」
など、カブトムシの飼育について、疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、カブトムシの具体的な飼育方法について、季節ごとに詳しく解説します。
この記事を読むことで、カブトムシの育て方が把握できるため、幼虫から成虫になるまでの成長過程を観察する楽しさが味わえます。
さらに、カブトムシの生息場所についても紹介しているため、子どもたちと一緒に自然体験をすることも可能です。
夏の遊びとして、カブトムシの採集を考えている方は、ぜひ、本記事を参考に、カブトムシが成長する様子を観察してみましょう。
子どもに人気なカブトムシ
「昆虫の王様」と称されるカブトムシは、クワガタムシと並んで人気がある大型の甲虫です。
夏になると、カブトムシは里山のクヌギやコナラの樹液に集まり、オスとメスが出会って交尾します。メスが腐葉土に直径約2~3mmの卵を産んだのち、幼虫は冬を越し、翌年6月頃にサナギになり、約3週間後に羽化して成虫になります。
カブトムシの特徴の一つは大きな角です。大きな角が、武士がかぶる兜のように見えることがカブトムシという名前の由来です。
もともと本州、四国、九州に分布していましたが、現在では北海道や沖縄にも移入され、生息域が拡大しています。似た種類としては、コカブトムシやサイカブトが挙げられます。
出典:昆虫シリーズ㉔ 昆虫の王様「カブトムシ」|秋田県森林学習交流館
カブトムシはどこにいる?
カブトムシは、多くの人々に夏の風物詩として親しまれている昆虫です。特に、オスの大きな角と力強い姿が子どもの心を捉え、観察や飼育の対象としての人気を博しています。
しかし、カブトムシを捕まえるために、どこを探せばよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、カブトムシの生息場所や、見つけやすい場所について詳しく解説します。探すときのポイントや生息地のヒントを知り、効率的にカブトムシを見つけましょう。
生息場所
カブトムシが好む環境は、適度な湿度と日陰がある場所です。
たとえば、雑木林や里山の落葉広葉樹の二次林(人為的な植林によって再生された森林)などでは、カブトムシが多く見られるでしょう。
ほかには、市街地の緑地公園でもカブトムシを見かけることがあります。特にクヌギ、ミズナラ、コナラ、クリ、水辺のヤナギなど樹液を好むため、それらの木があるところで、カブトムシの成虫を見かける機会は多いでしょう。
樹液酒場
カブトムシは、特定の木から出る樹液を好みます。特にクヌギ、コナラ、ミズナラなどの木々が傷ついた際に分泌される樹液は、カブトムシの好物として有名です。
カブトムシやクワガタのような昆虫には、樹液が発酵することで発生するアルコール臭に引き寄せられる習性があります。
たくさんの虫が群がっている場所を「樹液酒場」と呼ぶのはそのためです。
カブトムシの生態
多くの場合、カブトムシが見られるのは夏の夜です。そのため、昼の時間帯はどのような環境で生きているかわからない方も多いでしょう。
ここでは、カブトムシの生態について詳しく解説します。
成虫を飼育するだけでなく、幼虫からカブトムシを育てたいという方は、ぜひ、参考にしてください。
体長
カブトムシは、オスが27~75mm、メス33~55mmと、体長の個体差が大きい昆虫です。
体長には、「全長」と「体長」の2つの定義があります。「全長」は、頭角や胸角の先端から、腹部や翅(はね)の先端までの長さという意味です。
一方の「体長」は、頭部の先端から腹端までの長さをさし、頭角を含まない長さを表します。ここでの「体長」は、「全長」を示しています。
出典:昆虫シリーズ㉔ 昆虫の王様「カブトムシ」|秋田県森林学習交流館
寿命
カブトムシの成虫の寿命は約2~3か月とされていますが、多くの場合、メスの方がオスよりも約1か月長く生きます。
これは、メスが卵を産むために生きる必要がある一方で、オスは交尾後に生きものとしての役割を終えるためです。
カブトムシのオスは、ほかのオスとエサやメスを巡って争うことが多く、その過程で体力を消耗したり傷ついたりすることがあるというのも、寿命が短い要因とされています。
また、交尾や産卵は体力を消耗する行為のため、交尾していない個体の方が長生きしやすいといえるでしょう。
カブトムシの寿命は、その飼育環境にも左右されます。
野生のカブトムシの場合、夏の暑さやエサの奪い合いで体力を失うほか、天敵から攻撃されるなどの要因で、長くても9月中には姿が見られなくなります。
一方、飼育されたカブトムシは、豊富なエサとあんぜんな環境、適切な温度管理のおかげで9月下旬まで生きることが多く、羽化が遅かった個体であれば、11月頃まで生きることもあるでしょう。
出典:昆虫シリーズ㉔ 昆虫の王様「カブトムシ」寿命|秋田県森林学習交流館
幼虫がいる場所
カブトムシの幼虫は、自然の朽木よりも、材木を切ったあとのオガクズや枝、キノコの原木栽培に使われたホダ木、堆肥などを集めた場所で多く見つかります。
そのため、カブトムシの幼虫の採集には、クヌギやコナラの木が生えている場所の腐葉土を掘り起こすのがおすすめです。
ほかには、使用済みのシイタケのホダ木が捨てられている場所も、幼虫が見つかりやすいポイントです。
成虫の活動時間帯
カブトムシの成虫は主に夜行性で、日中は土のなかや木の隙間などで静かに休んでいます。カブトムシは、日が沈んでから活動をはじめ、特に蒸し暑く、風のない夜に活発になります。
この時間帯には、カブトムシは樹液を求めてクヌギやコナラの木に集まるため、オス同士が餌場を巡って競い合う姿を見ることもできるでしょう。
交尾
カブトムシの交尾のシーズンは夏です。
クヌギやコナラなどの樹液に集まったオスのカブトムシは、気に入ったメスを見つけて交尾します。このとき、オス同士が大きな角を使って、メスを奪い合う様子が見られることもあるでしょう。
交尾が終わって約1~2週間後には、メスが卵を産むために土のなかに潜り込みます。
産卵
カブトムシのメスは、腐葉土のなかや朽木の下に、直径約2~3mmの卵を産みます。
交尾後すぐに産むのではなく、日を置いて産卵しますが、この日数には個体差があります。産むときも1つずつで、合計約20個~30個、または約50個の卵を産むというのが通説です。
カブトムシのメスが卵を産みつける腐葉土は、落葉樹などの落ち葉が微生物によって分解されてできた土で、カブトムシの幼虫はこの腐葉土をエサにして成長します。
カブトムシの飼育方法
ここでは、カブトムシの飼育方法について詳しく見ていきましょう。
まず、室内でカブトムシを飼育するために必要なものは、幼虫の家となるプラケースです。プラケースのなかには、幼虫フードやくぬぎマット、朽ち木などのエサと、栄養保水液を入れましょう。
次に必要なのは、適切な環境管理です。カブトムシの飼育では、季節ごとに異なる管理が求められるため、それぞれポイントを押さえておきましょう。
以下に季節ごとの具体的な管理方法を紹介するので、幼虫を育てる際の参考にしてください。
4月までの管理方法
4月までの幼虫の管理において、重要なのは適切な温度管理です。
急激な温度変化を避けるため、直射日光があたらない場所に飼育ケースを置いてください。飼育ケース内のマットも、乾燥を防いで湿った状態に保ちましょう。
カブトムシは、成虫になってからは大きくならないため、幼虫の時期に大きくするのが飼育のコツです。腐葉土や昆虫マットを定期的に交換し、栄養豊富な状態を維持してあげましょう。
7月までの管理方法
カブトムシの幼虫は、気温が約25℃以上になると土まゆを作りはじめます。体を立てて何千回も回転しながら土まゆを作り、6月はじめ頃にサナギになります。
この土まゆは一度しか作れないため、壊さないよう注意が必要です。
幼虫は、サナギの状態で約3週間過ごしたのちに成虫になります。この間はエサを食べません。土まゆ同様、サナギの状態はデリケートなため、衝撃を与えないようにしましょう。
成虫へ羽化する時期は、6月はじめ~7月はじめです。成虫は土まゆのなかで羽が固まるのを待ち、約10日後に自力で地上に出てきます。
翌年2月までの管理方法
メスは約20~30個の卵を産みますが、約10日間で幼虫になります。幼虫になったら、少し大きめのプラケースに入れ、幼虫フードやくぬぎマットを加えて育ててください。10月頃には、幼虫は親指ほどの大きさになります。
11月~翌年2月にかけては、幼虫はあまりエサを食べず、気温が約15℃以下になると冬眠します。
この期間のポイントは、湿気を保つことです。ケースとふたの間に、小さな穴を開けたビニールを挟み、直射日光を避けるようにしましょう。
カブトムシの育て方に注意して楽しい思い出にしよう
本記事では、カブトムシの生態や生息場所、飼育方法について詳しく解説しました。
夏の夜空を飛び回るカブトムシを、自宅で飼育してみたいという子どもは多いのではないでしょうか。そのようなときには、「樹液酒場」を訪れてみてください。時期によっては、幼虫を見つけられることがあります。
幼虫を見つけたら、ぜひ、自宅で飼育してみましょう。成虫になるまでの過程を、じっくりと観察できるよいチャンスです。
健康に育てるための基本的な知識と注意点を守りながら、カブトムシの飼育に挑戦してみてください。