モロー反射ってどんな反射?時期やほかの原始反射・考えられる疾病も併せて解説!
モロー反射とはどのようなものか、ご存じでしょうか。本記事ではモロー反射の詳細や原始反射、モロー反射と混同させやすい疾病などを紹介します。原始反射を知りたい方、激しいモロー反射に悩んでいる方や心配ごとがある方は、こちらを参考にしてください。
「赤ちゃんはたくさん反射があるっているというけど、どんなものがあるの?」
「モロー反射ってどういう反射なの?」
「反射じゃなくて疾病の可能性もある?」
生後間もない赤ちゃんは、さまざまな反射を見せることがありますが、どのような反射があるか知らない方も多いでしょう。
本記事では、モロー反射の詳細や、激しいモロー反射が見られるときの対処法を紹介します。この記事を読むことでモロー反射について理解し、頻繫にモロー反射をしている赤ちゃんへ適切な対処ができるでしょう。
また、赤ちゃんに備わったほかの反射や、まぎらわしい疾病についても紹介しているので、赤ちゃんの反応が反射か否かを確認するための参考になります。
モロー反射について知りたい方や、赤ちゃんの疾病が心配な方はぜひ、こちらの記事をチェックしてみてください。
記事のまとめ
- モロー反射は赤ちゃんが刺激を受けた際に両手を開く反応で、生後4か月頃まで見られる原始反射である。
- 激しいモロー反射がある場合は、刺激を避ける環境を整えたり、おくるみで赤ちゃんを包む対処法が有効だ。
- モロー反射と混同されやすい点頭てんかんは異なるもので、発症時期や原因が異なるため注意が必要である。
モロー反射はどのような反射?
「モロー反射」とは、赤ちゃんがいきなり、両手をビクッと開く反応のことです。赤ちゃんが外部からの刺激を受けた際に、このような動きをするのを見たことがある方も多いでしょう。
また、モロー反射の前身は「恐怖麻痺反射」と呼び、胎児の状態で何か有害なものから逃れようとして生じた反射であるとされています。
モロー反射はいつからいつまで続くの
モロー反射が見られるのは、赤ちゃんが生まれてから生後4か月頃までです。脳が発達していくにつれ、赤ちゃんがモロー反射する機会は少しずつ減っていくでしょう。
これは、モロー反射が「原始反射」と呼ばれている反射の1つであるためです。原始反射は生まれた頃から見られる反射ですが、生後3~4か月から1~2歳頃までの間に見られなくなるといわれています。
出典:赤ちゃんのモロー反射と鑑別困難な点頭てんかんの発作|森野クリニック
モロー反射が激しいときの対処法
赤ちゃんは1日に何度も、モロー反射でビクッと両腕を開くことがあります。これは普通のことなのであまり心配はいりません。しかし、赤ちゃんが寝ているときにモロー反射を何度も繰り返してしまうと、睡眠不足になるおそれもあるでしょう。
ここからは、激しいモロー反射が起こっているときに、対処すべき方法を紹介します。
赤ちゃんを刺激しない
赤ちゃんの近くで大きな音がしたり、明るい光などの刺激が加わるとモロー反射が起こるので、赤ちゃんを刺激するものがない環境を作ってあげるとよいでしょう。
大きな音は立てないようにする、照明は少し暗くしておく、窓からの直射日光を防ぐなどの対処法が有効です。扇風機やエアコンなどの風も、赤ちゃんに直接当たらないよう気をつけておきましょう。
ただし、これらの対処をしても、赤ちゃん自身の動きによってモロー反射が起こることもあります。
出典:赤ちゃんのモロー反射と鑑別困難な点頭てんかんの発作|森野クリニック
おくるみで赤ちゃんをあんしんさせる
モロー反射により腕がビクッとするので、おくるみで腕が動かないように制限してあげると、赤ちゃんが落ち着いてくれやすくなるでしょう。腕が固定されるので、赤ちゃんが自分の動きに驚いてしまうことも防げます。
しかし、長時間おくるみで包んでいると、体温が上がってしまう可能性があるので注意してください。
おくるみで包んでいるときは、こまめに様子を見て、顔が赤くないか、汗をかいていないか、呼吸が早くなってはいないか確認しましょう。もしこれらの様子が見られたら、おくるみを外してください。
モロー反射以外の原始反射は何があるの?
「原始反射」とは、赤ちゃんがママのお腹にいる頃から出現し、生後6~12か月頃までには見られなくなる反射のことです。原始反射は、赤ちゃんの命をつなぐ神経を発達させるために必要な反応といわれています。
この反射があることによって、赤ちゃんはお乳を飲んだり、歩いたりといった行動が可能になっています。
ここから、赤ちゃんに備わった原始反射には、どのようなものがあるかを見ていきましょう。
自動歩行
生後数日の赤ちゃんの両側の脇を持って、上体を軽く傾けたときに、両脚を交互に出すような動きをすることを「自動歩行」といいます。自動歩行以外に「原始歩行」や「歩行反射」と呼ばれることもあります。
自動歩行は、生まれたたばかりの頃から見ることのできる反射です。この反射は生後2~3か月頃には消えてしまうので、実際に赤ちゃんが自力で歩きだすような頃には残っていません。
出典:はえば立て4 歩く|北見市小児科の秋山こどもクリニック
バビンスキー反射
「バビンスキー反射」とは、赤ちゃんの足の裏をこすると、足の指が開く反射のことです。このとき足の親指は反り返り、ほかの指は扇のように開くか、曲がります。
バビンスキー反射は、2歳頃までには消えてしまう原始反射です。しかし大人でも、運動障害が生じた場合に病的反射として現れることがあります。
バビンスキー反射はかんたんに見ることができ、反応がわかりやすいことから有名です。
吸てつ反射
「吸てつ反射」とは、赤ちゃんが口のなかに入ってきたものを吸おうとする反応のことです。吸てつ反射があることで、赤ちゃんは誰から教わらずとも、おっぱいを吸うことができます。
赤ちゃんがこぶしを吸ったり指しゃぶりをしたりするのも、吸てつ反射の影響と考えられています。
吸てつ反射はママのお腹のなかにいる頃から見られ、生後6か月頃に消えるでしょう。その頃には自発的に吸うことができるようになっているので、授乳に問題はありません。
探索反射
「探索反射」とは、赤ちゃんの口の周り、頬や口角あたりをさわるとこちらを向いて口を開くようにする反応のことです。
探索反射は哺乳に関係するとされている反射の1つで、乳児特有のものです。生まれてすぐから見られる反射で、生後5~6か月頃には消えてしまうでしょう。
出典:生後3か月を境に授乳パターンは変化します|悠育会 悠育助産院
モロー反射によく似た「点頭てんかん」とは
「点頭てんかん」とは、重篤な脳障害によって起こるものです。点頭てんかんは「West症候群」と呼ばれることがあります。
点頭てんかんの赤ちゃんは、手足を素早く縮めたり伸ばしたり、頭がカクンと前屈するような動作を繰り返すことが特徴です。外部からの刺激によってビクッと両手両腕を広げるモロー反射と、よく間違われることがありますが、別のものです。
出典:赤ちゃんのモロー反射と鑑別困難な点頭てんかんの発作|森野クリニック
両者はどう違うの?
モロー反射と点頭てんかんの違いは、何が原因でそのような仕草をしているかで判断できるでしょう。
モロー反射の場合は、外部からの音や光といった何かしらの刺激を受けることで、起こっています。しかし、点頭てんかんの場合は赤ちゃんが刺激を受けていなくても、手足を伸縮させたり頭を前屈させたりするでしょう。
また、発症時期にも違いがあります。モロー反射は生まれてすぐから生後4か月頃までに見られる反射ですが、点頭てんかんは生後3~12か月頃に発症します。やや男児に多く発症する、という特徴もあります。
モロー反射の時期と点頭てんかんの発症時期が重なるので間違われやすいですが、見わけることは可能でしょう。
出典:赤ちゃんのモロー反射と鑑別困難な点頭てんかんの発作|森野クリニック
成長の個人差を理解した上で心配なら病院へ
モロー反射は、何か刺激になることがあったときに赤ちゃんが見せる、ビクッとして腕を開く反射です。赤ちゃんがよく見せる反射ですが、生後4か月頃には消えていくでしょう。
モロー反射のように、赤ちゃんが生まれた頃から見せてくれる反射は原始反射と呼ばれています。モロー反射以外に、歩行や哺乳に関係する反射などがあります。
赤ちゃんの成長には個人差がありますが、生後4か月を過ぎてもモロー反射のような動きを見せていた場合は、病院を受診するようにしましょう。モロー反射と混同されやすい、点頭てんかんの可能性があるので、こちらの記事を参考に確認してみてください。