子どもが「学校に行きたくない」理由がわからない親にできることとは?してはいけない行動例もご紹介
子どもが不登校になったとき、どう対応していけばいいのかご存じでしょうか。この記事では不登校の理由がわからないときでもできること、不登校によるリスクやするべきこと、してはいけないことなどを紹介します。不登校で悩んでいる方は、ぜひこちらの記事を読んでみてください。
「子どもが学校に行きたくないといった場合、どうしたらいいの?」
「学校に行きたくない理由を聞いても教えてくれない」
このように、子どもが学校に登校したがらず、どうしたらいいのか困っているということはないでしょうか。
この記事では、「学校に行きたくない」理由がわからないときに親ができることを紹介します。記事を読むことで、何もわからない状態でも親にもできることがあると、わかるでしょう。
学校に行きたくない子どもへ親が「するべき」ことや、「してはいけない」行動も紹介しています。子どもに対して、どのような行動がよくて、どのような行動は悪いのか、わかるため、親が動きやすくなるでしょう。
学校に行きたくない理由の例も紹介しているため、子どもがなぜ行きたがらないのか、見当をつけられるようにもなります。
「学校に行きたくない」子どもへの接し方に悩んでいる方は、ぜひ、こちらの記事をチェックしてみてください。
学校に無理に行かなくてもよい
子どもが「学校に行きたくない」と、登校を嫌がるようになることがあります。「学校に行きたくない」と訴える子どもには何か行きたくない理由があるため、無理に行かせるようなことはしないようにしましょう。
まずは子どもの気持ちを優先して、あんしんさせてください。子どもが落ち着いて、なぜ学校に行きたくないのか考える時間を作ります。どうすれば学校に行けるようになるのか、考える糸口になるでしょう。
また勉強の遅れも、学校以外で取り戻すことは可能なため、焦る必要はありません。
学校に行きたくない理由がわからないときにできる7つのこと
「学校に行きたくない」理由を、きちんと話してくれる子どもばかりではありません。親からしてみれば、理由がわかれば対処できますが、理由がわからないのでは何をすればいいのか困ってしまうでしょう。
しかし、理由がわからなくても、子どもの状態を改善するためや、これ以上悪化させないためにできることはあります。どのようなことができるのか紹介するため、こちらを参考に行動してみましょう。
相談相手を見つける
「学校に行きたくない」子どもが、そのことを相談できるように、友だちや信頼できる学校の先生、カウンセラーといった話し相手を探してみましょう。
子どもが学校に行きたくないと感じたとき、最も多い相談相手は家族です。しかし、誰にも相談できない子どもも、同じくらいいるでしょう。子どもの年齢が高くなると、誰にも相談できない割合が高くなる傾向があります。
子ども自身も、学校には、できるだけ行った方がいいことはわかっています。友だちや学校の先生からの声かけで、学校に行けるようになる子どももいるため、まずは、そういう人たちに相談できないか考えてみましょう。
教室じゃない場所に登校できるようにする
「学校に行きたくない」といっても、自分の教室に行きたくないだけというケースもあるため、教室ではない場所へ別室登校できないか、学校に相談してみましょう。
別室登校の対象となるのは、保健室や図書室などです。子どもにとって教室に通うことが苦痛であって、学校に通うのは問題ないのであれば、別室登校できるでしょう。保健室や図書室など別の場所で授業を受けることで、出席日数・単位が認められる場合もあります。
しかし、学校によって対応が変わってくるため、先生やスクールカウンセラーに相談してみてください。
学校以外にも居場所があることを伝える
子どもの居場所は学校だけではありません。家庭で新しく夢中になれることをはじめたり、習いごとやアルバイトをはじめたりして、新しい居場所を作ってあげましょう。学校へ行かないことへの罪悪感を、和らげられる可能性があります。
家庭で、できることとしては、「comotto」などの学習教材の活用がおすすめです。「comotto」では、小学校低学年や高学年向けに、プログラミング教育や自然・環境へのまなびなどが利用できるサービスを提供しています。子どもが楽しく遊びながらまなべるため、おすすめです。
出典、参照:小学校低学年(1-3年生)のまなび|ドコモ
出典、参照:小学校高学年(4-6年生)のまなび|ドコモ
カウンセリングを受けてみるようにアドバイスする
子どもが「学校に行きたくない」という理由に、心身の病気が疑われるケースもあるため、一度カウンセリングを受けるように、すすめてみてもいいでしょう。
たとえば「起立性調節障がい」だった場合、朝起きたり立っていたりすると気分が悪くなったり、立ちくらみがしたりといった症状があります。朝起きることができず学校に行けない場合は、この障がいが原因の可能性があります。
医師やカウンセラーでなければ、わからないことが多いため、一度カウンセリングを受けてみれば、子どもも親も心が軽くなるでしょう。
出典:起立性調節障がい OD(自律神経失調症)|つだ小児科クリニック
子どもの「学校に行きたくない」気持ちを肯定する
子どもに対しては、「学校に行きたくない」という気持ちを否定する言葉をかけないようにしましょう。
子どもが「学校に行きたくない」というのは、これまで受けたストレスが限界になってきているためでしょう。どうして、そう感じてしまうのか、分析してストレスのもとを見つけ、それを避けるようにしてみてください。
ストレスが軽減されれば、子どもの気持ちも少しずつ穏やかさを取り戻すでしょう。
子どもへ自己嫌悪しないように伝える
子どもへは、ほかの子どもと同じようにはできなくても問題がないこと、自分自身を大切にすることを、伝えるようにしましょう。
けして学校に行けない自分はダメだと、否定しないように伝えましょう。子ども自身も、ほかの子どもと同じようには学校に行けないことに不安を感じています。周りと違う自分を認めることは自分を大切にすることにつながると、子どもに知らせるようにしましょう。
転校することを検討する
子どもが、学校に行きたがらないなら転校も手段の1つになりますが、これは冷静に判断する必要があるため、安易に決めないようにしましょう。転校しても問題が解決するとは限りません。
たとえば、今の学校だけに明確に子どもにとってのストレスがある、子どもの命にかかわる、転校してやりたいことがあるなどの場合は、転校した方がいいケースになります。
しかし、ただ今の学校が嫌なだけで転校する場合は、また何かあったら不登校になってしまう可能性があるでしょう。この場合、転校では不登校は解決できない可能性が高いため、安易に転校を決めない方がいいでしょう。
【文部科学省集計】小学生の場合の行きたくない理由
・先生が怖い
・友だち関係の悩み(いじめなど)
・勉強への悩み(勉強の遅れやテストの点が悪かったなど)
・身体の不調
・生活習慣の乱れ
・わからない
文部科学省の「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」によると、小学生が学校に行きたくないと感じた理由の上位はこのようになっています。
先生と合わなかったりすること、友だちづきあいで生じるいじめやすれ違いなどの人間関係の問題が理由になっているようです。しかし、明確な理由がわからないという回答も多くありました。
出典:不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書|文部科学省
【文部科学省集計】中学生の場合の行きたくない理由
・身体の不調(腹痛など)
・勉強への悩み(勉強がわからない、成績がよくないなど)
・先生関連の悩み(先生が怖い、合わないなど)
・友だち関係(いやがらせやいじめなど)
・生活リズムの乱れ
・わからない
文部科学省の「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」によると、中学生が学校へ行きたくない理由の上位は上記のようになっています。
朝起きられないなどの身体の不調が一番多く、次いで勉強の悩み、先生や友だちとの人間関係、そして、生活リズムの乱れで朝起きられないなどが理由です。
小学生と同じく、明確な理由がわからないというケースも多く、部活関連の不満や学校自体への疑問についても、不登校の理由になっていました。
出典:不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書|文部科学省
【3選】学校へ行きたくない子へ「するべき」親の行動
不登校になってしまった子どもとの関わり方に、疑問や不安がある方もいるでしょう。子どもが、これ以上悪い状態にならないようにする、学校に戻りやすくするために、親が「するべき」ことはいくつかあります。
学校に行けない子どもをどう支えていけばいいのか、親が子どもに対して「するべき」行動を紹介するため、参考にしてみてください。
子どもと一緒にこれからのことを考える
「学校に行きたくない」子どもの気持ちを受け入れたら、これからどうしていくのか、子どもと一緒に具体的に考えてみましょう。子どもも学校へ行かないことに不安や悩みがあるため、1人で悩ませず、親も一緒に考えることが大切です。
子どもと話し合って、別室登校や転校、通信制高校などに行くといった希望はないか確認し、本人が行きたいというのであれば、そちらを進めることも検討してみましょう。
引きこもりを防ぐために一緒に過ごす
不登校がそのまま、引きこもりにつながってしまうことがあります。引きこもりを防ぐためにも、できるだけ親が子どもと一緒に過ごして寄り添い、人とかかわることや生活リズムを乱さないようにしてあげましょう。
家のなかに長くいたり、家族とも接しなくなってしまったりすると、家族や外の刺激を怖がって引きこもってしまう可能性があります。ときには一緒に外に出ること、親子関係を良好に保つことが大切でしょう。
きちんとした生活リズムを守り、引きこもらないようにしていれば、学校生活に戻る際にもスムーズに戻れます。
学校に行きたくない子どもの気持ちを肯定する
子どもの話をしっかり聞くためにも、「学校に行きたくない」という子どもの気持ちを否定せず、親子の信頼関係を強くしておきましょう。
子どもの気持ちを親が肯定することで、子どもは親が自分の気持ちを大切にしてくれた、受け入れてくれたとあんしんします。親があんしんできる、信頼できる存在になるため、さまざまなことを相談してくれるようになるでしょう。
これまでは話してくれなかった悩みも、相談してくれる可能性があります。
【3選】学校に行きたくない子へ「してはいけない」親の行動
子どもに学校に行ってほしいと考えるのであれば、「してはいけない」行動があることを知っておいた方がよいでしょう。
子どもが学校に行けない、しかも理由がわからないとなると、親はついつい焦ってしまいます。しかしよかれと考えてした行動が、逆効果になってしまう可能性もあります。
不登校になった、あるいはなりそうな子どもに、どのような行動を「してはいけない」のか、こちらを読んで把握しておきましょう。
理由をしつこく聞く
親としては、なぜ学校に行きたくないのか、理由がわからずに気になった場合でも、しつこく聞かないように我慢しましょう。
親は子どものことが心配で聞いてしまいますが、子どもにとっては親からの詰問に、罪悪感や責任感を感じてしまう可能性があります。特に、「なぜ」や「どうして」といった厳しい詰問口調で聞くのは、負担をかけるためよくありません。
焦らず、子どもが自分から理由を話してくれるまで見守ることが大切です。
無理やり学校に行かせる
無理やり学校に行かせる、連れて行くといった行動は問題の悪化を招き、逆効果になる可能性があるためやめましょう。
子どもはもともと、学校に通わなければならないことは理解していることが多いです。理解していても、何かしらの理由があって行きたくない状態になっているのです。それを無理やり学校に行かせても、子どもから親への信頼が失われるだけでしょう。
また、もので釣って行かせてもいけません。少しの間は学校に行くようになったとしても、何も問題は解決していないため、また不登校になる可能性があります。
学校に行きたくない子どもの気持ちを否定する
「学校に行きたくない」子どもの気持ちを否定すると、子どもから親への信頼関係が失われる可能性があるため、しないようにしましょう。
子どもは本当は学校に行きたいと考えていて、それでも行けないと悩みや不安を抱えている可能性があります。そのような子どもの気持ちを否定することは、追い詰められている子どもをさらに追い詰める可能性があるでしょう。
また、否定の言葉は子どもの自己肯定感を低下させます。「学校に行けないなんて自分はダメな子だ」と子どもが思ってしまわないように、注意しましょう。
【文部科学省集計】不登校だった生徒の約25%は後悔している
文部科学省の「令和2年度不登校児童生徒の実態調査結果の概要」によると、不登校だった小学生の25.2%、中学生は30.3%が、もっと登校していた方がよかったと回答しました。
これに対し、不登校でよかったと答えているのは小学生で12.8%、中学生で10.3%です。不登校だったことを後悔している生徒の割合の方が、よかったと答えている生徒の割合の約2倍~3倍にもなっていることがわかります。
子ども自身が後悔しなくていいように、不登校になったあとにどうするのか、前向きに考えて次に進んだ方がいいでしょう。次というのはもとの学校に通うことだけでなく、転校する、塾や自宅学習などで学力を補う方法があります。
出典:令和2年度不登校児童生徒の実態調査 結果の概要|文部科学省
【3選】不登校になると生じるリスク
子どもの「学校に行きたくない」理由によっては、避けられない不登校もあるでしょう。しかし、不登校で長い間学校に通えなくなってしまうと、子どもの将来にさまざまなリスクが生じます。
親子で話し合うときは、不登校を続けるとどのようなリスクがあるのかしっかり共有しましょう。リスクが起こったときにどうするのか、対応を考えておくこともおすすめします。
進級が難しくなる
小中学校は義務教育であるため、基本的に進級できないということはないでしょう。しかし出席日数が足りない、テストの点数が基準より劣ると判断された場合、私立の中学校に通っていたケースでは、進級が難しくなる可能性があります。
それぞれの学校や教育委員会の判断によって決まるため、詳しく知りたい場合は、お住まいの地域や学校に確認した方がいいでしょう。問題なく進級できるように、不登校でも学力を維持しておくとあんしんです。
学力に遅れが出てしまう
不登校の子どもは、毎日学校に行っている子どもとは、どうしても学力に差ができてしまうため、進学や就職で不利になる可能性があります。またもし学校に戻れても、学力の遅れで勉強についていけず、再び不登校になる可能性もあるでしょう。
不登校でもなるべく学力の差をつけられないように、早いうちから対策しておくことをおすすめします。
しかし、子どものなかには、勉強するために学校に行かせられると考えてしまう子もいるでしょう。親がしなければならないと押しつけるのではなく、子ども自身がした方がいいと感じて勉強できるようになれることが大切です。
将来引きこもりになってしまう
「引きこもり」の実態に関する調査報告書⑦によると、引きこもりになっている人のうち、不登校の経験がある人が約5割を超えています。
不登校になったからといって将来引きこもりになると決まった訳ではありませんが、そうなるリスクはあるといえるでしょう。子どもが引きこもりになることを避けるため、きちんと対策しておく必要があります。
出典:「引きこもり」の実態に関する調査報告書⑦|NPO法人全国引きこもりKHJ親の会
【厚生労働省より】不登校は病気ではなくサイン
不登校は病気ではありませんが、不登校自体が心の病気や、心の病気になる原因のサインである可能性があります。
特に、心身の不調を訴えてきている場合は注意が必要です。たとえば起立性調節障がいや統合失調症、精神疾患や社会不安障がいなどの体や心の病気によって、不登校になっている可能性があります。
子どもの様子を見守りながら、体や心にどのような症状があるのか話し合う機会をもつことが大切です。スクールカウンセラーや教育相談所などの利用も、検討してみましょう。
出典:不登校|駒木野病院
出典:統合失調症|駒木野病院
出典:起立性調節障がい OD(自律神経失調症)|つだ小児科クリニック
理由がわからないときでも子どもに寄り添いましょう
子どもが「学校に行きたくない」理由を話してくれず、わからないことがあります。しかし理由がわからないときでも、親が子どもに寄り添ってできる限り対処することで、子どもの状態を改善していくことは可能です。
子どもが「学校に行きたくない」といっても否定はせず、子どもの気持ちを大切にしましょう。子どもが落ち着いてから不登校の理由やリスクを話し合い、将来について考えていき、学力が遅れないように対策することがおすすめです。